主にFAIRY TAILの二次小説とオリジナル小説を書いているブログです。CP要素が含まれておりますので、苦手な方はご注意ください。
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今、季節は春。

王都アルフィタリアの隣にある『桜の関所』では、たくさんの人で賑わっている。
たまに、はしゃぎ過ぎて問題を起こし連行される者もいるが、無理もない。
桜の開花宣言が昨日出されたばかりなのだから。
通常なら一部を除いて人々が立ち寄らないこの場所は、今や人でごった返している。

・・・・静かで、気に入っていた場所だったのに。

少女は大きな溜め息をつき、『桜の関所』で一番小さい桜の木にもたれ掛かった。
いつもは一番大きな木の下で昼寝をしたりもするのだが、この人ごみの中ではそうもいくまい。
何故なら少女は、王都・・いや大陸では特別な存在なのだから。

王宮で一番高い地位に当たる、女王。
彼女は女王・アルテアだ。

その女王が何故こんな所にいるのかと言うと、・・・ただ単に気晴らしという理由だけだ。
王宮にいると疲れる。
張り詰めた空気の場所では、満足に休憩も取れない。
だからアルテアは、王宮の近くにあり人通りも少ないという好条件の、『桜の関所』にお忍びで来ているのだ。

しかし、この人の多さには参った。
折角人が少ないから休憩場所に選んだというのに、桜の開花の事をすっかり忘れて来てみたらこの有様だ。
これでは迂闊に歩き回る事さえ出来ない。
『桜の関所』で、少しだけ休んで別の場所に移動する事に決めた。

ちなみに今、アルテアはお忍び用の服を着ているが、周りの人々はもうアルテアの存在に気付いているだろう。
アルテアの事を気遣って、気付かない振りをしてくれているだけなのだ。
その事は彼女自身も分かっているので、このお忍び服を着る必要は無いはず・・・なのだが。
彼女がお忍び服を選んだのには、もう1つ理由があった。

これを着ていれば、またあの人に逢えるかもしれない。

という、個人的な理由だった。
いつも忙しそうに金色の髪を揺らしていたあの人を思い浮かべ、アルテアの頬が紅く染まる。
(・・・逢える訳、無いのに・・)

あの人は何処か遠い場所へ旅立ってしまった。

もう二度と逢えないかもしれないのに。

どうして、あの人の為に自分はこんな事をしているのだろう。

あの人は自分勝手すぎるのだ。
いつもいつも、1人で何処かへ行ってしまう。
(どうせなら、私も連れて行って欲しかった・・・)
そういう立場でないのは分かる。
が、あの人を思い出す度にそう感じてしまう。
アルテアは拳をぐっと握り締め、青空を仰いだ。


確か・・あの人と初めて逢ったのは、自分のペットを探している時だったな・・・。

眼鏡とお忍び服のフル装備で来たのに、ペットであるミーヤが暴走したお陰で、危うく自分の正体がばれる所だった。

あの人が捕まえてくれて、お礼にお茶に誘ったら断られてしまったっけ。
『茶は好きじゃない』・・あの人らしいと思った。


あの人と最後に逢ったのは、最後の戦いの夜。
元参謀長でありベアラーだったジュグランに捕まった自分を、助けに来てくれた。


もう、本当にあの人には逢えないのかな。
もう、あの人は死んでしまったのかな・・・。

そんな筈は無い、とアルテアは心の中で首を振る。
あの人はベアラーである以前に、生命力が強い。
少なくともアルテアはそう思っている。
だから、あの人はきっと私の前に現れてくれる。
きっと・・・。


「・・・・・様・・、アルテア様!」
女性の声が聞こえて、アルテアは慌てて飛び起きる。
どうやら、いつの間にか眠ってしまったらしい。
「こんな所で寝て・・風邪を引きますよ、女王様?」
「す、すみません。ベル」
アルテアを起こしてくれたのはベルだった。
リルティ嫌いの1人である彼女が王都に来るなんて珍しい。
「・・・何か、立場が逆になってる気が・・まあ良いですけど。それより、ベルがここへ来るなんて珍しいですね」
「あっそうそう、聞いてくださいよ!すごい情報を手に入れちゃったんです!!」
「すごい、情報?」
「はい!実は、レイルがここに来たって言う・・・」
ベルの言葉が途中で切れ、アルテアに視線が向けられる。
「?」
ふと自分の腹部を見ると、見覚えのあるジャケットが置かれていた。

この厚みのあるジャケットは、レイルの物だ。

「・・・まさか・・そんな」
「じゃあ、あの情報は本当だったんだ!」
信じられないと言うように呟くアルテアと、ぱっと顔を輝かせたベル。
2人の表情は違っていたが、2人の瞳には涙が溢れていた。


『時計広場で待っている』。
しばらくしたある日、アルテアはそんな手紙をシドから受け取った。
わざわざ王都まで届けてくれたのだ。
「これ・・誰からでしょうかね」
不思議そうに便箋を覗き込むアルテアに、シドは苦笑いする。
「奴からの手紙に決まっとるじゃろ」
「・・・奴?」
「レイルじゃよ、レイル」
レイル。
懐かしい響きだ。
「ほれ、早く行ってくるとええ」
シドに無理やり背中を押され、アルテアはよろけながら『王都-草原駅』を後にする。
後ろを振り向くと、まだ駅にはシドがいて、アルテアに向かって手を振っていた。


「・・・・遅いですね」
時計広場に着き、しばらく待っていたアルテア。
だが、いくら待ってもレイルは来ない。
(待っているって、言ったのは貴方ですよ?)

まさか、またトラブルに巻き込まれたとか。
その可能性は高いかもしれない。
そういう人だから。

数分が経過した時、玄関ホールの方から何か騒がしい声が聞こえてきた。
護衛兵の怒声も混じっているようだ。
「あの、何かあったんですか?」
ちょうどホールから逃げてきた老人に尋ねると、しわくちゃの顔で息を切らしながら答えてくれた。
「・・・ベ、ベアラーが・・」
「え?」
「ベアラーが、急に暴れ・・だして、のう・・・」
老人はやっとそこまで言葉を紡ぐと、後ろに倒れて気絶してしまった。
よほどその出来事が恐ろしかったのか、それとも疲れてしまったのか。
(ベアラー・・・)

まさか・・トラブルに巻き込まれたのではなく、巻き込んでいるのではないか?

恐ろしい考えが浮かび、その考えを否定する事無くアルテアは走り出した。
途中にあった階段をもどかしく思いながら、玄関ホールに向かって急ぐ。
もし本当に巻き込んでいるのだとしたら、早く止めてあげないと。
あの人は、加減というものを知らないのだから。


「レイルー!!」
ホール中央にいた金髪の青年を見つけると、アルテアはさらに加速する。
そして、階段を下りる事などせず、突き出した柵を飛び越えた。
人々はそれを見て驚き、腰を抜かす者までいた。
だが、そんな事は気にしない。
アルテアはさらに仕込んであった太い棒を取り出し、金髪の青年に向かって思い切り投げつける。
青年は少々驚いたようだが、すぐに身構えて右手を差し出した。
直後に棒は軌道を変え、何処かに吹き飛んでいく。
人々はこれまたぽかんと口を開けてその様子を眺めていた。

「レイル、何やっているんですか!」
走り寄ったアルテアに青年はぽりぽりと頭をかく。
「いやあ・・つい癖で郵便モーグリにちょっかい出したら、急に近くにいた兵が怒り出して・・・」
「当たり前じゃないですか、罪も無い生き物に暴力を振るうなんて!」
レイルはその言葉を聞いて目を見開いた。
「・・・・あんた、何か変わったな」
「何がですか」
「前はもっとこう、控えめな感じだったのに。今はちょっと積極的になったというか、何と言うか・・・」
言葉を濁すレイルにアルテアは余計腹を立てたようだ。
「貴方も変わりましたね。前は、思った事を何でも言うような人だったのに」
「間接的に失礼な事言ってるな・・・」
「それはこちらの台詞です」
つんと澄ましたアルテアだったが、やがて無表情に戻ってベンチに腰掛けた。
レイルは立ったままでいる。

「・・・やっと、逢えましたね」
「だな。・・しばらく、心の整理がついていなかった」
軽く地面を蹴るレイル。
何か言いづらい事がある時の彼の癖である事を、アルテアは知っている。
「・・・・あんたらに、迷惑をかけるような気がしてたし」
「何を言ってるんですか!」
アルテアが急に飛び上がった為か、レイルはびくっと身体を仰け反らせる。
「私は、ずっと待ってたんです。貴方がもう一度帰って来てくれるのを。それなのに・・・」
「・・・ああ、すまなかったな」
レイルは目を閉じ、アルテアの方に身を寄せる。
今度はアルテアが驚く番だった。
「な、何を・・・」
「疲れてたのかもな」
「・・・・戦いに、ですか?」
「あと、日常に」
彼の口から、そんな言葉が出るとは思わなかった。
言葉が悪いかもしれないが、いつでも日常をエンジョイしているような顔をしているように見える。
そして、レイルはアルテアの手をぎゅっと握った。

「あんたが、つらそうな顔してたからさ」
あんたがそんな顔してると、日常が嫌になってくるんだよ。

「・・・え」
「黙って行っちまって、本当にすまなかった」
下を向いていたので、レイルの表情は分からなかったが。
アルテアには何故か、涙を浮かべているように思えた。


「お茶、どうですか?」
「茶は好きじゃない」
あの時と同じ会話を交わし、2人で王都を出て行く。

2人の足は、桜の関所へと向かっていた。

「今度は、一緒に桜を見ましょうね」
「・・・ああ」



終わり
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【2011/04/04 21:47】 | FFCC二次小説
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「ここどこだろうな」
「そうっスねー」
「さっきのボタン、どう考えても」
「間違えたっスねー」
「・・・その語尾、なんかイラッとくるからやめろ」
「はいはい・・・・・あー、うそです冗談ですごめんなさい」
「・・・はあ」
(まったく、面倒なところに来ちまったな・・・)
「・・・・うん?ここってもしかして」
「海底洞窟っスねー」
レイルは気のない返事をした。
「・・・・・・・・・なんか恨みでもあるですか?」
「決まってんだろ」
そう言いながらも、迷わず洞窟の奥へと進んでいく。
「でも、どうするですか?こんなところで」
「・・・さあな」
「・・・・・・誰かいないかなあ~」
リルキィはふらふらとまわりを見回していたが、こんな浮世離れした場所に人などいるはずもない。
「・・・おっ?」
「何!?何か進展があったですか!?」
リルキィは急いで振り返ったが、
「こんなところにジャイアントクラブが」
レイルはしゃがみながらそう言った。
「・・・ちっがぁぁぁう!!なにか脱出する方法を・・・」
「おっ、この岩開いたぞ」
「・・・・・・・え?なんで??」
リルキィは不思議そうな表情だった。


「・・・・ああああああ!!」
「リルキィ!?どうした!?」
「人がいる!」
「・・・・当たり前だろ?」
「な、なんでっ!?」
「だってここ、ユークギルドだし」
「・・・へ?」
言われてみれば、確かにユークしかいなかった。
「奥はユークギルドだからな」
「・・・ほへー」
あきれるのを通り越して、もう感心だった。
「まあ、とりあえずそこのユークたちに・・・・」
そこでレイルの口が止まった。
「・・・・・・」
「レイルさん?」
「・・・あいす」
「え!?」
振り向くと、そこにいたのは確かに・・・
あいすだった。

「あいすさん!?」
「あら、レイル。それにリルキィさんも」
「レト水道に向かったんじゃないのか!?」
「でも、もう調査は終わりましたから」
「調査?」
「ほら、例の洞窟の」
そこでレイルが口を挟んだ。
「・・・・あいす」
「はい」
「・・・修道院近くで、一時行方不明になったよな?」
「あ、はい。そうですが?」
「そのとき、どこへ行ってたんだ?」
「ああ」
あいすはそのことか、というように言った。
「・・・穴に入ったんですよ」
レイルもリルキィもじっと話を聞いていた。
「そうしたらですね」
(・・いいから早く言ってくれ)
「あの洞窟にいたんですよ」
「・・・やっぱりか」
「はい?」
「ああいやなんでもないから、続けてくれ」
「で、それからまた修道院に向かいました」
「・・・は?」
「どうかしました?」
そこでレイルは、洞窟であったことを話した。

「そうですか・・・」
あいすは考え込むように姿勢を変えた。
「・・・間違いなく、それは霊泉の波動を乱すものですね」
「・・誰だか特定できるか?」
「・・・・私たちのことを知っている人物だと思います」
「・・・うーん・・」
「それから、私に化けられるほどの魔力を持つもの・・・」
「・・お前の知り合いにいるか?」
そこでリルキィに聞いた。
「そんなことする人いませんよ」
「そうだよな・・・」
「あとは・・・」
「あいすさん!!」
そこで、一人のユークが駆け寄ってきた。
「・・あ、話の途中ですみません」
「いえ、いいんですよ。それより、どうかしましたか?」
「ありましたよ!例の洞窟の、4つ目が!」
近くでおおっと声が上がった。
「こっちです!」
ユークはそういってあいすを連れて行こうとする。
「・・・レイル」
あいすは静かに続けた。
「よろしければ一緒に来てください。ただ・・・今の話は着いたらにしましょう」


「・・・で、話は?」
「ええ・・・気になることがありまして」
リルキィは先ほどから上の空で、あたりをうろうろとしている。
「修道院にいたユークのことなんですが・・・」
「私が戻ったとき、気絶していたんです」
「気絶!?」
「それで、クラヴァットの少女たちが懸命に介抱をしていました。
 私が戻ってしばらくして、赤い穴が消えたとき意識が戻ったようです」
「そうだったのか・・・」
そのとき、リルキィが叫んだ。
「レイルさん、また・・・!」
「どうした!?」
「光が・・・」
「!?」
また、洞窟内は赤い光に包まれていた。
「どうなっているのですか!?」
さすがのあいすも混乱しているようだ。

そして、聞き覚えのない奇妙な声が聞こえ始めた・・・。



続く

【2010/06/12 19:18】 | FFCC二次小説
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「レイルさんっ!?ど、どうしたですか!?」
リルキィがそう声をかけても、レイルはぴくりともしなかった。
半分涙目になって混乱しているリルキィが、もう一度声をかけようとした、その時・・・・
「!?なっ・・・」
何が起こっているのか、と声に出そうとしたが声に出せない。

瓦礫が・・・浮いている。

それだけではなかった。
行き止まりだと思っていた所が瓦礫に埋もれていたらしく、出口が現れていた。
「・・・・ほわぁぁ~~・・」
リルキィは思わず、感嘆の声を上げた。
「・・・・・はあ」
後ろから疲れたようなため息が聞こえた。
「あっ・・・レイルさん!?」
リルキィの目がまた涙で潤んだ。
それを無視して、レイルはまたため息をついた。
「・・さすがに疲れたな」
ばったりと今にも寝てしまいそうなレイルを、リルキィはあわてて起こした。
「ま、まさかこれ、レイルさんが・・・!
 で、でもこんなこといくらレイルさんでも無理・・・」
「テンション上がってたから」
きっぱりと言い切ったレイルに、リルキィは怪訝な顔をして思った。
(瓦礫落ちてくるとテンション上がってくる人っていったい・・・)
それに気づいたレイルが、あわてて付け足した。
「いや、それだけじゃないんだが・・・」
「・・・え??」
「この洞窟は、昔クリスタルが祀られてた場所らしいな」
「え?そうなのですか?」
「ユークやクラヴァットたちに聞いた事がある。ある死者のためにはるか古代、クリスタルを祀っていたと」
「・・・・・」
「だが、4種族のクリスタルが創られた時に消滅してしまったらしい。・・・・そのかけらが、今もここに残っている んだと思う。・・最も、ここの正確な場所は不明だがな」
「そう言われればそうですね~。修道院の近くのこんなところがあるとは思えないですー」
「ああ。・・・じゃ、そろそろ出るか。こんなところにいても・・・・」
「ちょ、ちょっと!?まだ肝心なところを聞いてないですよ!?」
「うん?何だ、早くしろ」
レイルは何でもなさそうに答えた。
「レイルさんはどうやってこんな風にしたですか!?」
「ああ・・・だから、このクリスタルのかけらを利用したんだって」
「えええええ!?どうやって・・・」
「うーん。なんていうか・・・浮かせてみようと思ったらできた感じだ」
「す、すごっ。神かこの人」
「あー・・・。そういう意味じゃなくて・・・、よほどクリスタルの力が強かったんだな、きっと」
「そういう意味ですか」
リルキィはがっかりしたように肩を落とした。
「そうだなぁ・・・。お前もレーザーぶっ飛ばそうって思ってみろ。そしたら俺たち骨も残らないからな」
「ぐ、グロいの想像しちゃったじゃないですか!やめてくださいよ!」
リルキィはぷりぷり怒った。
「・・・とりあえず、もう出るぞ。いくらなんでもそう長くは持たないだろう」
「あ、そうですね~」
リルキィはあっさり受け流すと、レイルの後をついていった。


「・・・・・クリスタルの間、か?」
洞窟を出た途端すごい音がしたかと思うと、レイルたちはクリスタルの間に立っていた。
「・・・あら、いらっしゃいレイル。急にどうしたのですか?
 来るなら知らせてくれれば・・・・あら?その方は・・・もしかして」
「違うからな」
先を読んだレイルが即答した。
「あ、旅の方じゃないんですね。じゃあ彼女でしょうかね」
クラヴァットの女性はにやりと笑った。
「いやあ、照れるなあ~・・そんなお似合い・・・・・あだっ」
「・・・・馬鹿ですまないな」
レイルは笑っているような表情を見せたが、目は完全に笑っていなかった。
「いえ、私が一番悪いのですから。いいんですよ?
 ・・・それはそうと、なにか急用でもできたんですか?」
ここは、ユークたちのクリスタルのある場所だ。
一応ユークギルドなのだが、マニアでもない限り訪れる一般人は少ない。
まあ、クリスタルと普通の者には理解不明の術式しかないような場所だから、当たり前と言ったら当たり前なのだが・・・。
「あ、あのっ、瞬間移動したんです!」
「はい?」
クラヴァットの女性は、その一言からはいまいち状況がつかめていないようだ。
「・・・・あいすが行方不明になっていることはもう聞いたか?」
レイルが溜まりかねて言った。
「ああ、そのことなら、もうあいすさんは見つかったようですけど?」
「・・・・え・・・?」
2人の表情が曇った。
「・・・あの、あいすさんがどうかしたんですか?」
「・・あ、ああ・・・。あいすは普通だったか?」
「何言ってるんですか・・・?普通に決まってるでしょう」
「そうか・・・・。・・実は、さっきあの伝記にあった洞窟にいた」
「え、あの言い伝えにある洞窟ですか!?どうやって行ったんですか!?」
女性は興奮しながら尋ねた。
「・・・あのな、信じられないっていうかあきれると思うんだが」
「いいから教えてくださいよ」
「・・・・・・・・穴に落ちた」
「・・・・・・・・・・うん?」
女性はきょとんとしている。
「あー、だから言っただろ?とりあえず、まあその・・・瞬間移動したんだよ。
 入ったときも出たときも」
「はあ、そうですか」
そこで、リルキィがあきれたように口を開いた。
「絶対信じてないですよ、この人」
「そりゃそうだろ」
レイルが当たり前のようにうなずいた。
「い、いや、なんか状況が飲み込めないんですけど!?」
女性はあわてて付け加えた。
「まあ、そこでちょっと頼みがある。修道院周辺を調査してくれないか?」
「ええ、そのくらいなら頼んでおきます」
女性はやっと平静を保ってきた。
「・・・あと、あいすは今どこにいるんだ?」
「えーと、確かさっき聞いた話では・・・・」
そう言って、パラパラとメモらしきものをめくる。
「あ」
女性の手がぴたりと止まった。
「どうした?」
「なんか、一度は修道院に向かったみたいなんですけど・・・そこから・・えーと、どこだったかな・・・」
ぶつぶつと何かを考え込むようにつぶやいている。
「・・・なんかあやふやだなあ」
レイルがため息をつくと、女性がやっと思い出したように喋りだした。
「あーっ、そうだった!確か、レト水道だったはずです!」
「そうか、助かった。じゃあ・・・・」
レイルの言葉をさえぎって女性はまた喋りだした。
「あいすさんが、あそこの洞窟を調べるって言ったらしいんですよ!!」
「・・・・洞窟?2つもあったのか?」
「ええ」
女性は言葉を続ける。
「本当は4つあったみたいなんですが・・・・。
 一つはそのレイルたちが言った住所不明の洞窟。そして、二つ目がレト水道の切り立ったがけにある洞窟。
 三つ目はセルキーギルドちかくにあったようですが、崩壊してしまったようです」
「四つ目は?」
「・・・・・・異世界です」
「は?」
「異世界?」
「だ、だから、そこも住所不明なんですよ!」
「まあ、いいか。とりあえず、レト水道に行くから後は頼むな」
「ええ、任せてください」


「レイルさん、何であそこで「俺に任せろ」って言わなかったですか?」
「はあ?」
「あーー、いやなんでもないですよ?」
「・・・・・・」
レイルは無言で、装置の「レト水道」というボタンを押した・・・・。



続く 

【2010/05/09 21:00】 | FFCC二次小説
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「・・・じゃ、行ってくるね」
チェリンカは、家の中から出てきたミースにこう告げた。
が。
「あっ、まだダメなのですー。
 ちゃんと、ミースの料理を食べてから行くのですー」
ミースはぴょんぴょん跳ねながら言った。
「だ、大丈夫だよ。もう自分で食べたし」
チェリンカはあわててそう言ったが、ミースは強引に家の中へと引っ張っていく。
「チェリンカとごっはん♪」


「わあ、おいしそう」
チェリンカの目の前には、色とりどりの夕食が並べられている。
満腹だったはずの彼女のお腹から、ぐううと空腹を知らせる音が出た。
思わず満面の笑みになったチェリンカを見て、ミースも笑顔になった。
「あっ、シチューだ・・・。・・ほしがたにんじん・・・」
途端にチェリンカの表情が変わり、はあとため息をついた。
「なに落ち込んでるのですー。ほしがたにんじんなんてシチューにしちゃえばいくらでも食べれるのですよ?」
そう言いながら、ミースはほしがたにんじんをパクリと一つ口の中に入れた。
「・・・あっ、ミース行儀悪いよ!!」
チェリンカはテーブルをドンとたたいた。
「・・・食べないで残すよりは断然いいのですー。そういうことはちゃんと食べてから言うのですー。
 ストップ温暖化!!生ゴミ減らそう少しでも♪」
ミースはどこから聞いてきたのか、なにやら歌っている。
「・・・・・・・ぐっ」
チェリンカは言葉につまり、しぶしぶうなずいた。
「だいたい、チェリンカはもう大人なのですよ?ほしがたにんじんごときで嫌がってちゃダメなのですー。
 それだからチェリンカはなかなか大きくならないのですー」
「そ、そんなことないってば!!」
チェリンカは少しムッとしたようだ。
「少しはユーリィを見習うのですー。チェリンカだって料理ぐらい出来なきゃ何にも出来ないのですー。
 この前のスープなんかほしがたにんじんが丸ごと・・・・・」
ユーリィ。
その言葉に、チェリンカはどきっとした。
「・・・・・・・」
黙ってしまったチェリンカに、ミースはあわてて付け加えた。
「べ、別にチェリンカのこと悪く言ってるわけじゃないのです!!そ、その」
「・・・ううん、ミースは何も悪くないよ?
 ただ私がボーっとしてただけだから、ね?」
そう言いながら、さりげなくミースの頭をなでた。
「・・・はふぅぅ」
ミースはとても気持ちよさそうにしているミースを見て、チェリンカは思った。
(・・・ミースは相変わらずだなあ)


「・・・ごちそうさま~」
「なのですー」
チェリンカが食器の片付けをしていると、ミースがぽつりとつぶやいた。
「・・・・ユーリィ、遅いのですー」
「・・・・うん」
チェリンカは不安だった。
ただ新しい装備を王都に買いに行くだけだから、とユーリィたちは言っていたが、それでこんなにも遅くなるのだろうか?
朝出かけていったのに、夕飯時になっても帰ってこないのだ。
本当はユーリィに頼まれて夕方に裏山の洞窟に行くはずだったが、もう遅いからとミースに止められた。
・・・・・嫌な予感がする。
そうチェリンカの頭をよぎり、我慢できなくなってチェリンカは外に飛び出した。
(・・・・ユーリィ・・・!)
ミースが何か叫んでいたようだが、チェリンカの耳には届いていなかった。
(もし、また神殿が・・・)
そう思うだけで、身震いがした。
(・・・もう、そう考えるのはやめよう)
そう思っても、チェリンカの足は止まらなかった。
やっと王都が見える位置まで来ると、青く輝く光が見えた。
「・・・・・」
その光は、チェリンカの心を静めさせてくれた。
(・・・鬼火・・・)
確か、お父さんはそう言ってたはずだ。
(・・・そっか。どんなに世界を創っても・・・)
レラ・シエルが崩壊した事実は変わらない。
チェリンカは、その場にぺたんと座り込んだ。
(・・・シエラ湖・・・)
レラ・シエルが出来る前は、どんな湖だったんだろうとふと思った。
(・・それとも、人の手で作られた湖なのかな・・・)
チェリンカは、その位置へ来た本来の理由をすっかり忘れていた。
『ドォーン』
「!?」
チェリンカは我に返った。
(今の音はなに!?)
今の音は、王都から聞こえていた。
まさか、何か起こったんじゃ・・・。
「・・・ユーリィ!?」
そう叫んだ時、後ろから声がかかった。
「・・・はー、はー、チェリンカ、どうしたのです?」
息を切らせながらミースが走ってきた。
「ミースッ!!今、王都から・・・」
チェリンカはミースに掴みかけた。
「・・・チェリンカ、どうしたの?」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「・・・ユーリィ・・!」
チェリンカは思わずユーリィに抱きついた。
「わ、わ、ちょっ・・チェリンカ!?どうしたの急に!?」
状況を飲み込めないユーリィは戸惑った。
「いったいどうしたのであるか」
あとから来たアルハナーレムは顔をしかめた。
「アル!!」
今度はアルに抱きついた。
「・・・ぐぼお!?」
アルはその場にばったりと倒れた。
「・・・あっ、ごめんねアル」
チェリンカはあるを起こした。
「もうっ、心配した・・ん・・だから・・・ひっく」
チェリンカは急に泣き崩れた。
「・・・ごめんね、チェリンカ」

「・・・・えっ、さっきの音・・」
「うん、太陽祭の前日祭が始まった音」
「・・太陽祭・・・」
チェリンカの顔が曇った。
「・・・大丈夫だよ、もう」
ユーリィはチェリンカにこっそり耳打ちした。
「・・・って、ずるいよユーリィ!何で教えてくれなかったの!?」
「えっ、だって知らなかったし・・・。それに明日が本当の太陽祭なんだから、明日一緒に行こうよ」
「・・・う・・ま、まあいいけど」
「で、はい、これお土産」
チェリンカの顔がぱあっと明るくなった。
「本当!?ありがとう」
チェリンカはいそいそと袋を開けた。
「・・・・・・!」
チェリンカは思わず息を飲んだ。
袋の中には、立派な装備一式が入っていたのだ。

ラグナロク。それからメイド服セットに、オニキスピアス。
「す、すごいじゃないユーリィ!!特にラグナロクなんて素材集めるの大変だったでしょ?」
ユーリィは少し照れながら答えた。
「そ、そうでもないよ。それに結構楽しかったから、今度一緒に行こうよ」
「た、楽しかったって・・・・。い、いいよ?」
(・・・やっぱり、ユーリィは相変わらずだなあ)
それに、すごく強い。
今だって、あのレイルジャケットを着ているのだ。
さすがにギル集めはうんざりするほど大変だったようだが、それでも買えたときはとても嬉しそうだった。
「・・今日はもう遅いから、それは明日着てみようよ」
ユーリィの言葉に、チェリンカははっとした。
「で、でもメイド服なんて着るの恥ずかしいよ」
チェリンカの顔は真っ赤になった。
「そう?じゃあ、この潜水マスクのほうがよかった?」
「・・・・・!!」
チェリンカの顔色が変わりあわてて言った。
「や、やっぱり着てみるよ、うん」
「・・・なんでそんなに嫌がるであるか」
あきれたようにアルが言った。
それでもまだ決心がつかないチェリンカに、ユーリィが言った。
「・・・チェリンカなら大丈夫だよ」
ユーリィはそう微笑んだ。
「・・・・うん!」

ユーリィの笑顔に、いつも励まされてきた。

それでも、時々不安になる事もある。

そんな時、いつもユーリィの笑顔を思い出す。

そして私も、微笑むんだ。

私たちは、そうなるように生まれてきたのだから。

二人で一つ。

それは、これからもずっと・・・・・。



終わり


あとがき・・・↓からどうぞ!

【2010/04/25 18:12】 | FFCC二次小説
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「・・・レイル!?レイルですか!?」
向こうにいいるユーク族らしき者たちから、おおっと声が上がった。
「・・・いったいどうしたんだ!?」
レイルがそう叫ぶと、ユーク族の一人が答えた。
「あいすさんが、向こうへ行ったまま戻ってこないんです・・・!」
ユークが指差した方を見ると、そこは年中強風がふいていることで有名な道だった。
「・・・って、この吹雪の中ですか!?ただでさえ風が強いのに」
リルキィが驚くと、ユークが困ったように言った。
「えっと、霊泉の波動を乱すものが向こうから近づいてるって・・・」
「だからって行くか!?くそっ、追いかけるぞ」
レイルはそう言って下の道のほうへ下りていった。
「・・・・ちょ、ちょっと待ってです~」
リルキィもあわてて駆け下りていった。

「はあ、はあ・・・・あいすさーん・・・!?」
リルキィが叫んだ瞬間、突然現れた闇の中へ落ちていった。
・・・・・落とし穴。
レイルがそう認識した時には、彼も暗闇へ落ちていった。


「・・・くそっ、逃げられたか!?」
クァイスたちは、モーグリの森で捜索をしていた。
「・・・もうっ!!どこにいんのよ!?隠れてないで出てきなさいよ!!」
ベルがそう叫んだ時、近くにいたセルキーの男性から声がかかった。
「マスター!!緊急事態ですよ!!」
すぐに反応したクァイスが答えた。
「どうした!?」
セルキーが息を切らせながら走ってきて、こう言った。
「捜索している者たちが、修道院の落とし穴に落ちたって・・・!」
・・・・・・・・落とし穴?
一瞬沈黙が流れた。
「・・・はあ?今時、落とし穴・・・?」
ずいぶん古風だな、というような顔だ。
「・・・ブッ・・あはははは!!落とし穴ぁ!?
 な、何それ!!すごく笑え・・・・あだっ」
ベルは笑い転げていたが、後から来たアルテアに制止された。強く小突かれたようだ。
「・・・とりあえず、修道院まで行って確認を取りましょう」
アルテアがそういって、3人は装置へ向かった。


「・・・・・・早くっっ!!」
「まだ着かないのか!?」
ゆうくとセルティにせかされながら、くりすは必死にヘリの運転をしていた。
「ちょ、本当に待ってよ・・・。これがギリギリのスピードなんだから・・・!」
「・・・まさか、落とし穴なんてな・・・。・・今時」
「とにかく、ギルドの人に聞けてよかったよ。ちょうどギルドを捜索してたし」
必死に目を凝らして運転しながら、くりすが答えた。
「『あいす』さんも行方不明なんでしょ?」
「うん・・・なんか心配だね」
くりすがそういったとき、修道院が見えた。
「・・おい、見えたぞ!」
セルティは、修道院のほうを見て顔をしかめた。
「・・・何あれ・・・。変な赤い円があるよ・・・。光ってる。ブキミな色だね」
セルティの見ている方角を見て、くりすも顔をしかめた。
「本当だ。・・・ユークたちは気づいていないのかな?」
「・・・・・ユークたちの様子も変だぞ」
くりすたちは、急いで大雪原の洞穴にヘリを止めると、修道院へ向かっていった・・・。


「・・・なんだここは」
洞窟のような場所だ。
辺りにはいくつもの黄色い明かりがついている。
そして中央には・・・・
「・・・あいすさん・・・?」
「・・・・・・」
あいすは無言だった。
あいすの周りには、不気味な赤い光が取り巻いている。
「あいす・・・」
レイルがそう言いかけた時、赤い光が洞窟全体を取り巻き始めた。
あの黄色い光も、すでに赤く光り始めている。
「ほぎゃ!?」
リルキィが混乱している。
「・・・リルキィ、落ちつけ」
「で、でも・・・・」
「・・・こいつはあいすじゃない」
「・・・え?」
そう話している間に、洞窟の赤い光はどんどん強くなってきている。
「外見はあいすだが・・・・、中身はおそらく違う人物だ」
「ええええええええ!?」
リルキィはますます混乱してきたらしい。
しばらくぴょんぴょん飛び跳ねていたが、やがて動きを止めた。
「・・・・ん?」
レイルが上を向いた。
「・・・・洞窟が・・・!?」
崩れ始めている。
「・・・・チッ」
あいす・・・・の姿をした者は舌打ちをすると、一瞬にして消えた。

「・・・なんだったですか・・・」
リルキィはそうつぶやいたが、すぐに辺りをきょろきょろと見回した。
「・・・あれ!?レイルさんがいないです!!」
あわてて走り出した時、リルキィは立ち止まった。
「・・・・・はわ?」
洞窟が急に青く光り始めた。
あの赤く光っていた明かりもだ。
「・・・レイルさんっ!?」
リルキィはますます慌てて走った。

・・・・・赤い光は、邪なるもの。

・・・・・青い光は、聖なるもの。

「!?」
何かの声が聞こえる。

・・・・・黄色い光は・・・

・・・・キ・・シ・・ウ・・・

「・・・聞こえないですー」
もうこの洞窟は崩れ落ちそうだ。
早く脱出しなければ。
・・・しかし、肝心な出口が見つからない。
そう焦っていた時、立ち止まっているレイルを見つけた。
「・・・レイルさん・・?」
リルキィが首をかしげた。

・・・動かないのだ。

立ったまま。

・・・まるで、死んだように・・・。

「レイルさん!?」



続く

【2010/04/17 16:25】 | FFCC二次小説
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