主にFAIRY TAILの二次小説とオリジナル小説を書いているブログです。CP要素が含まれておりますので、苦手な方はご注意ください。
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*以前upした小説の改訂版です。
どうしても上手くいかなかったので、修正させて頂きました。
勝手ながら、修正前の記事は削除させて頂きます。

*前回と同じく、FT31巻のネタバレを含みます。
また、31巻のストーリーを前提として読んで頂けると有難いです。




ジェラール。

と、大好きな声が聴こえた。
振り向くと、大好きな彼女がこちらに駆け寄ってくる。
彼女を抱きしめ、自分も愛しい名前を呼ぶ。

エルザ。

腕の中の彼女の背はまだ低く、顔立ちが幼い。
髪も短い。
あの頃と同じように。

ああ、これは夢だ。
だって、今の自分の腕がこんなに細い訳がない。

それに・・・。

喉の手前まで出かかった言葉を飲み込み、彼は微笑んだ。

今は、忘れよう。

夢の中に浸っていよう。

そしてこのまま・・永遠に、幻想から抜け出せなくなれば良い。

彼女が、自分に向かって笑いかける。
自分も、彼女に向かい笑い返す。

淡いピンクの霧が、2人を包んだ。
2人を全てのものから護ってくれるかのようだった。

2人だけの世界。

この些細な時間が、幸せだった。

否、幸せなのだ、今。

もう一度彼女を抱きしめようと腕に力を入れたが、その前に押し返されてしまう。

呆然としていると、急に大人の女性の姿に変わった彼女が、すっと立ち上がった。

「そろそろ、行かなくては」

「行くって、何処へ」

「還るべき場所にだ」

短く告げると、彼女はさっさと歩き出す。
自分の方には振り向きもせずに。

霧が晴れ、背景は燃えるような赤い空に変わった。
彼女の緋色の髪が、空に溶けるように消えていく。

駄目だ。
これでは、『いつも』と同じだ。

最後の望みを賭け、待ってくれ、と声を張り上げ叫んだ。
すると、彼女が少しだけ振り向く。

寂しそうな笑みを浮かべ、唇だけが動く。

『さよなら』

「エルザ!」

腕を伸ばしたが、届かない。

ダイヤ型の銀色のピアスが、彼女の耳元で輝いて、


「エルザっ!!」

飛び起きるのと同時に、両足に激痛が走った。
痛みを堪え、傍にある椅子を手繰り寄せる。
車輪のついた椅子・・いわば、車椅子だ。

「・・・・また、あの夢か・・・」

額を押さえ、ジェラールは呟く。
そして、足を引きずりながら車椅子に乗った。
直後、部屋に2人の女性が入ってくる。

「ジェラール、調子はどう?」

「大丈夫?」

心配してくれる2人に、何でもない顔でかぶりを振った。
「ああ、大丈夫だ」

そう、と黒髪の女性が俯きがちに言う。
桃色の髪の女性の方も、無言で俯いた。

多分、彼女たちは分かっているのだろう。

自分が、『また』あの夢にうなされていた事に。

何となく気まずくなって、ジェラールは窓の外を見た。
蒼い空に、ぽっかりと白い雲が浮かんでいる。

ああ、あの時もこんな空だったなと、しみじみ思った。


自分がこの2人の女性によって『助けられて』から、2年となる。

2人の名は、ウルティアとメルディ。

2年前、牢に繋がれ瀕死の状態となっていた自分を脱獄させ、看護をしてくれた。
当時傷だらけだった身体も、徐々に包帯が取られていき、今では痕がほとんど目立たなくなっている。
だが、一部の傷は残ったままだ。

まず、足が動かない。
牢にいた時、あまり動けず、食事もろくにとれなかったせいか、ショックで麻痺してしまったらしく、全く動かないのだ。

それから、右目も視えない。
右頬に描かれた紋様が鬱陶しかったのか、或いは忌々しかったのか、評議員に刃物で切りつけられ、右目まで視えなくなってしまった。

何より、心の傷が残った。

牢で散々傷つけられた傷ではない。

流されるしかなかったとはいえ、罪から逃げたという意識。

ウルティアたちは、自分たちのせいで人生を狂わせてしまった人たちを救いたいのだという。
自分もその1人だから、せめて牢の外で穏やかに暮らしてほしいと。

だが自分は、逃げたくなかった。
出来るものなら、今すぐ牢に戻って罰を受けたい気持ちだ。
それが自分の、罪滅ぼしだと信じているから。

しかし、それをするのはウルティアたちに申し訳なかった。
だから、今ここでひっそりと暮らすしかない。

その苦悩が、ストレスになってきている。
自分の今の状態を知っていて、ウルティアやメルディは少し悔やんでいるようだから、余計辛い。


「ジェラール、悪いんだけど」
未だ外を見つめているジェラールに、ウルティアが話しかけてきた。
「そろそろ、この場所を発たないと。もう此処に来てから1週間になるし」
「・・・ああ、そうだな」
ジェラールは横を向いたまま返事をした。

今この場所にいる3人は全員、犯罪者だ。
あまり同じ場所に居続けると、何者かに感づかれる危険性がある。
そのため彼らは、定期的に寝床を変えていた。

「・・・今、辛いのは分かるけど」
今度はメルディが口を開く。
「今を乗り越えれば、きっといつか、幸せになれる日が来るから」
「・・・・そうだな、ありがとう」

いつか、か。

心の中だけで呟くと、脳裏にある人影が映る。

誰よりも大切な、誰よりも大好きな彼女。

エルザ。

自分が脱獄する前に、天浪島で行方不明となり、未だに生死は分からない。

アクロノギアとかいう黒竜に、天浪島は滅ぼされたのだという。
大半の人の話によれば、攻撃を受けた者は、生きてはいないだろうとの事だ。

どうして、彼女が。

エルザが、何か悪い事をしたとでも言うのか。

こんな自分を励まし、笑いかけてくれた彼女が?

どうして。
どうして。

むしろ、殺されるのは自分で良かったんじゃないか。
罪を犯した自分なら、殺されても誰も文句は言わないだろう。

だけど、何を言っても・・もう、彼女には届かない。

彼女の笑顔を、二度と見ることはできない・・・。

たった一度・・もう一度だけで良いから、エルザに逢いたかった。

自分を励ましてくれてありがとうと、たったそれだけ、お礼を言いたかった。

エルザがいなければ、もう生きる意味などなかった。

彼の中を、絶望が支配する。

何も出来ず、ただ口癖のように、彼女の名前を呟く。

「エルザ・・・」

逢いたい。

その言葉は、塩辛い涙の粒に溶け、消えていった。



中編に続く






もうすぐサイトが2周年となるので、その記念の小説とする事にしました。
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【2012/03/10 22:30】 | FT二次小説
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No title
LandM
2周年おめでとうございます。
再びやってきました。そういえば、リンクをお繋ぎしてもよろしいでしょうか。なかなかみみ様の小説を読めないでいるときも多いのですが、いつかみみ様の作品のキャラクターもかっこよくて、グッゲンハイムでの合作をしてみたいなあ!!・・なんて思っている日々でございます。実際にそれが動くは相当後になりそうですけど。今のうちに。。。と思いまして。

Re: No title
mimi346
ありがとうございます!
ここまでサイトを続けていられたのも、LandM様を初めとする皆様のお陰です!!
これからもどうぞよろしくお願いいたします^^

リンクですか!
こんなサイトで宜しければ、ご自由にどうぞ!
私も、今更ではありますが、LandM様のサイトをリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
ずっとLandM様のサイトをリンクしたかったのですが、なかなか言い出せないヘタレだったもので・・すみません;

が、合作・・!?
私なぞのキャラクターでよろしければ、ご自由に使っていただきたい気分です!
本当に光栄です!!
1年でも5年先でも待ってます^^

舞い上がってしまってすみません;
改めて、色々とご迷惑を掛けてしまうかもしれませんが、宜しくお願いいたします(*^^*)

長文になってしまい申し訳ないです。
コメントありがとうございました!

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どこにでもありそうな、木造2階建ての小さなアパートメント。

青年は、錆びかけた金属製の階段を軋ませながら踏みしめていき、2階の一番奥にある部屋の前で歩みを止めた。
慣れた手つきで鍵を開け、部屋の中に足を踏み入れる。

「ただいま、エルザ」

その呼びかけに答えるように、女性が慌しく駆け寄ってきた。

「お、おか、おかえり・・ジェラール」

顔を真っ赤に紅潮させて俯く彼女・・同居人を見て、ジェラールは思わず微笑んだ。


2週間くらい前から、エルザとジェラールは同居を始めていた。

お互いのギルドの仕事も一旦休止し、常に危険が伴う仕事を忘れ、2人は静かで穏やかな生活を楽しんでいる。
ただ、仕事をしないとお金が入ってこないので、近所の雑貨店でジェラールがバイトをしているが。

1LDKの、古いが比較的綺麗な部屋。

一緒に起きて、一緒にご飯を食べて、一緒の部屋で寝て・・・。

決して豊かではないけれど、ほんのささやかな幸せ。

2人でずっと一緒にいられるなら、それで良い。


ジェラールは、未だ俯いたままのエルザの額に、ただいまのキスでもしてあげようと腰を屈めた。

が、それは突然の爆発音によって阻まれてしまう。

ボンッ、という爆音に2人は身体を飛び上がらせた。
「今のは・・?」
「あ、しまったっ」
一瞬で顔を青くさせ、エルザが台所に走っていく。

ジェラールも彼女の後を追って台所に入ると、そこはすでに惨劇の舞台と化していた。
水道の近くに設置された竃を中心として、黄色い物体が部屋の四方に飛び散っているのである。

「・・・・また派手にやったな、エルザ」

1つ溜息をつくと、ジェラールはその無残な物体を拾って、生ごみを入れる袋に集めた。
こんな事は、もはや一度や二度ではない。
慣れてしまった。

フライパンも床に落ちている所を見ると、多分卵を焼いていて失敗したのだろう。
何をどうしたら爆発してしまうのか、全くもって理解できないが。

「・・・・すまん。また卵の中に変な物を混ぜてしまったかもしれない」

「・・・・・・」

・・・その何が入っているのか分からない玉子焼きを、俺は食べさせられる所だったのか。

爆発するといえば、水素しか思い当たらない。
だが、水素をどうやって入れるのか。
どうやったら入るのか。

「本当に、毎回毎回・・すまないっ・・・」
「別に謝らなくても大丈夫だよ。料理なんて、やっているうちに覚えられるさ」
涙目で頭を下げるエルザの髪に触れ、撫でてやる。
しかし、エルザはまだ納得がいかないようだった。

「でも・・私は女なのに・・料理1つもこなせないようじゃ、その・・・」

「その?」

「・・・ジェラールの、お嫁さんに・・良いお嫁さんに、なれないだろうっ」

恥ずかしかったのか、後半はやけくそになりながら吐き捨てた。

ジェラールはきょとんとしてから、すぐに表情を崩す。

「な、何がおかし・・!!」

ちゅ、と唇が触れる音がした。

驚いたエルザは、電光石火の勢いで後退する。
部屋の中央に置かれたテーブルに腰がぶつかり、彼女は痛そうにそこを擦った。

「エルザがそんなにストレートに感情ぶつけてくるって、珍しいな」

至って冷静にジェラールが言う。

「ななな、何でキス・・・」
口付けされた額を右手で押さえながら、エルザは口篭る。
さらに、先程の言動を指摘されたことで、彼女の顔が見る見るうちに赤くなっていく。
それはあれだ、その、などと言い訳を並べているエルザの頭を、ジェラールはもう一度撫でた。
エルザはさらに混乱する。

「さっきのキスは、しそびれた『ただいま』のキスだよ」

「・・・・・」

「・・・俺は、エルザが料理できない事なんて、全然気にしてない。ただ、エルザが笑ってくれるだけで・・俺は幸せだ」

「ジェラール・・・」

「俺たちは折角同居してるんだろ?だったら、2人で助け合えば良いじゃないか。何も1人で抱え込む事なんてない。エルザはいつも、1人で頑張りすぎなんだよ」

大好きな彼女を抱きしめると、エルザはぼそっと呟いた。

「私も、お前と同じく・・今が一番幸せだ」

身体を引き離し、2人は顔を見合わせて笑った。

「じゃあ、料理・・作り直そうか。俺も手伝う」
「ありがとう。・・・お前も、バイトの事で何か悩んでいたら、何でも言ってくれ」

2つの影が、台所に並んだ。


貴方を、ずっとずっと愛してる。

だから自分も、愛されているんだ。


1LDKの、小さな部屋で。

2人暮らし、はじめました。



「し、しまった!!今度は焼いていたパンが爆発した!」

「・・・・根本的な問題は、その買ってきた材料じゃないか?」



終わり


↓近況等は、追記にて


お久しぶりになってしまいました。

今回はどうしてもこの話が書きたくて、本当ならオリジナル長編を進めるはずが、二次小説の短編を書いてしまいました・・・。
もしオリジナルの方を見たかったという方がいらっしゃいましたら・・ごめんなさい。


VOCALOIDに詳しい方は分かるかもしれませんが、この話はタイトルに文字ってある通り、「1LDK」という楽曲が元ネタです。

話の始まり方が似ていたり、曲中の歌詞に似た言葉が入っていたりします。

本当は百合曲なんですが、どうしてもジェラエルで書きたくなったので。


久々に上手くまとめられた気がします。
書いていて、すごく楽しかったです^^


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【2012/02/08 22:03】 | FT二次小説
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一度教会に入ったものの、する事がなかったルーシィは、また墓地へ引き返す事にした。
墓地へ、しかも雨の中向かうとはルーシィも物好きだな、とエルザにからかわれてしまった。
自分だって、好き好んで墓へ行く訳じゃない。

ただ、気になったのだ。
あの時聞こえた声と、幽霊・・そして。記憶の断片が。


先程の墓石へ向かう途中、地面に何かが落ちている事に気づいた。

紙・・本のページの切れ端のようだ。

拾い上げてみると、雨が降っているというのに紙は濡れておらず、新品の本のように真っ白で綺麗だった。
ルーシィは、上段に記された文字を読んでみる。

「『Floriography』?」

何かの本のタイトルだろうか。
だとすると、これは小説の一部?

「小説!」
土砂降りの中で、ルーシィの顔にぱっと華が咲いた。

早速読んでみようとした時、紙は彼女の手を離れてしまった。
そのまま、ふわりふわりと遊ぶように空へ上っていく。

「か、紙が勝手に動いてる!!ていうか、ちょっと待ってー!」
切れ端を目で追いながら、ルーシィは走り出す。
すると、空の違和感に気付き、彼女の足が止まった。

よく目を凝らしてみると、墓地中で同じような現象が起こっていた。

無数の青い星屑の如く、宙へ舞い上がっていく頁。

やがてそれらは1つになり、ルーシィの真上から本となって降りてきた。

本の表紙には、やはり『Floriography』と記されている。

躊躇わずその表紙を開くと、今度は本全体が白く輝き出した。

同時に、周りの景色が歪んでいく。

自分の身体全体に、様々な感情が押し寄せてきた。
著者が自ら、何か訴えてくるように。

敵の罠ではないかとは、微塵も思わなかった。

だって、悪魔が仕掛けた罠だとしたら。

こんなに、優しい感情は流れてこない。


あるところに、ひとりの女の子がいました。

女の子は、小さなやしきでひとり、さびしくはたらいていました。

その日もまた、雨がふっていました。


「今まで、お世話になりました・・・」

まだ幼さが残った声で、小さな少女が大男に向かって告げた。
二度と来るな、と言いたげな目で少女を睨むと、男は乱暴に扉を閉めた。

地味だが、高価そうな飾りがついた扉。
庶民が暮らす家の3倍はある、大きな屋敷。
よく手入れのされた美しい庭。

つい先程まで、少女が働いていた屋敷だった。
働いていたと言っても、ただの雑用に過ぎなかったが。

その雑用さえもこなせなかった自分は、こうしてまた捨てられた。

こんな事は1度や2度ではなかった。
もう、すっかり慣れてしまった。

自分はやっぱりいらない人間なのだと、屋敷の扉に向かって溜め息をついた。


「お前、また『ポイ捨て』されてきたのかよ」

少女が元いた孤児院に戻るなり、同年代の少年に馬鹿にされた。
リーダー格の少年の取り巻きも、一緒になって少女を罵倒する。

「雑用もこなせないとか」
「お前何なの?人間以下じゃん」
「この孤児院じゃ、働かなきゃ生きていけないのになぁ」

少女を引き取った孤児院は、財政難で資金も無い為、その孤児が屋敷や農家等で働かなければならなかった。
つまる所、この孤児院はただの仲介所だ。

少年たちの言う通り、仕事が無くなればまた『捨てられる』だけ。
孤児を守る筈の孤児院に、無能な孤児が捨てられる。

「そういえば、さっき院長がお前のこと呼んでたぞ」
「あ、もしかして出て行ってくれんの?」
「出て行くならさっさと出て行ってくれねぇ?お前がいると、ここが湿気くさくなるんだけど」
「出てけ、雨女ー」
「でーてけっ、でーてーけっ」

罵倒の言葉を浴びせられながら、少女は院長室へ向かった。
彼女の瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。


「失礼します・・・」
「やっと来たか、ジュビア・ロクサー」
院長が呆れたように溜め息を漏らす。
続けて、院長は隣の女性を指差した。

「お前の新しい雇い主だ」

顔を上げると、確かに女性は貴族らしい格好をしていた。
優しく、強そうな笑顔で、少女・・ジュビアを見ている。

「ジュビアって言うの?よろしく」

女性が、手を差し出してくる。
ジュビアは驚きで目を丸くしながらも、片方の手で握手した。

依頼主が握手を求めてくるなんて、今まで一度も無かった。

「しかし、本当によろしいのですか?ジュビア・ロクサーは、雨女な上に雑用さえこなせず・・」
「大した問題じゃない。・・・それにこいつが、この子がいいって聞かなくてね」

彼女の言葉を待っていたかのように、1人の少年がひょこっと顔を出した。

黒髪の、ジュビアと同じくらいの年の少年だった。

「悪いかよ!」
「誰も悪いなんて言ってないだろ」
反発した少年を、女性は軽く殴りつける。

・・・かなり男勝りな女性のようだ。

「・・・・こほん。とにかく、そういう事でよろしいですね?」
「あ、はい。・・・ジュビア・ロクサー」
院長が手招きをして、少女にそっと耳打ちをした。

「これで失敗したら、後はないぞ」

分かりきっていた事なので、ジュビアは特に動揺しなかった。
ただ、これが自分の最後の仕事になるんだな、としみじみ思った。


3人はそろって院長室を出た。

「よろしくお願いいたします」

「よろしくな!」

静かに依頼主に向かって礼をすると、先に少年が前に出てきて、親しげに挨拶をしてきた。
「お前じゃねぇよ」
「いってぇ。子供を殴んな、この男女!」
低レベルな喧嘩を呆然と見守っていると、女性が少年を強引に引っ張った。

「ああ、いきなりびっくりさせちゃってごめん。私の名前はウル。で、こっちが私の養子の、グレイだ」

むすっとした表情で引きずられるグレイを見て、ジュビアは微笑んだ。

可愛い。

「じゃあ、一通り自己紹介も終わった事だし、さっさと帰るよ」
「あ、はい。ご主人様」
返事をすると、ウルは何故か不機嫌になった。
意味が分からず、ジュビアは小さく首を傾げた。
「・・・そのご主人様ってのやめてくれない?普通にさ、ウルって呼んでいいよ。名前で」
「で、では、ウル様」
「うん、まぁそんな感じかな」
ウルが満足そうに頷いたので、ジュビアはほっとした。

この貴族らしからぬ貴族の元でなら、上手くやっていけそうだと思った。



続く


↓話の説明などは、追記から


まだグレジュビ要素はないです。
3話からが本番だと思います。
幼少グレジュビむふふh(ry

現在、絶賛スランプ状態な為、ただでさえ意味の分からない話が、もっとひどい事になっています。
質問や誤字・脱字訂正、罵倒も喜んで受け付けます。
アドバイスくださると嬉しいです。


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【2012/01/29 16:21】 | FT二次小説
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どんよりと曇った寒空の下。

2人の少女が、墓石に向かって手を合わせていた。
冷たい冬の風が吹き、彼女達の髪が揺れる。
金髪の少女が静かに目を開き、そっと隣の少女の様子を伺う。
もう片方の少女は、乱れた緋色の髪を整える事もなく、ただ墓石の前で手を合わせ続けていた。

「・・・・エルザ」

金髪の少女・・ルーシィが、彼女に向かって声を掛けた。
だが、エルザと呼ばれた少女は無言のまま。
ルーシィはまた墓石に視線を戻したが、沈黙に耐え切れなくなって、もう一度呼びかける。
「エルザ」
現実に引き戻されたように、エルザの瞳がぱちっと開かれる。

「ああ、すまない。・・・もう仕事に行く時間か?」

「ううん、まだ時間に余裕はあるわ」

かぶりを振って、ルーシィは手元の時計に目を移した。

今の時間は午後2時6分。
次の『警備』の仕事は4時からだから、あと2時間はある。

ルーシィの仕事とは、そこらの百貨店の警備とか、そういうものではない。

人間達を監視する役目を持つ『天使』の仕事だ。

姿こそ普通の人間と変わらないが、ルーシィは『天使』なのだ。

先日、宿敵の『悪魔』から、『バックストレージ作戦』と題した挑戦状が届いたせいで、天使たちの警備はより厳重なものとなった。
もちろんルーシィも例外ではなく、1日3回、担当区域を回らなければならない。

悪魔達が大人しくしていれば、こんな事にはならなかったのに。

ちなみに、エルザは普通の人間だ。
全く無関係、という訳ではないが。

「仕事の話じゃなくて。・・・この人たちが亡くなった事、いつ知ったの?」

躊躇いがちに本題を切り出すと、エルザは正面を見据えたまま、悲しそうに眉を寄せた。

「・・・つい昨晩の話だ。グレイとジュビアが死んだ、という話を、グレイの家系の者が伝えに来てくれてな・・それで知った」

「そう・・・」

隣り合った墓石には、それぞれはっきりと名が刻まれていた。

グレイ・ソルージュ。
ジュビア・ロクサー。

1週間前に起きた、とある事件が発端となり、命を落とした人間たち。

本当なら、あんな所で亡くなる事はなかったのに。

「・・・ジュビアは、私を撃った後に、グレイの自宅で自殺していたらしい。・・・グレイの亡骸の隣で」

「・・・・・・」

エルザはそれ以上、当時の状況を話さなかった。
現場がいかに惨かったか、ルーシィにも想像はつく。
代わりに、エルザの唇が震えた。
風と一緒に消えていってしまいそうな声で、懺悔の言葉を呟く。
「・・・・私のせいだ。私が、あんな・・あんな裏切り方をしなければ・・・」
「エルザ、その事は言わないって約束でしょ?」
手で顔を覆ってしまったエルザを、ルーシィが必死に宥める。

その時、ルーシィの頬に冷たいものが当たった。

地面を見れば、土の表面に転々と水玉模様が出来ている。

「雨?」
「・・・ああ、降ってきたな・・・」

とりあえず建物の中に入ろうか、とルーシィが促した時には、雨が土砂降りのように降ってきていた。

「すごい雨だ・・傘は持ってきていないぞ」
「早く中に入ろう!風邪引いちゃう!」
2人は慌てて、すぐ側の教会へ向かう。
「あーあ、泥の中巡回しなきゃいけないのかぁ。憂鬱だなぁ」
教会まであと少しだ。
だが、土が早くもぬかるんで走りづらい。

(・・・ごめんなさい)

「?」

誰かの声がした気がして、ルーシィは立ち止まった。
しかし、振り返っても背後には誰もいない。

(ごめんなさい)

よりはっきりとした声が木霊する。
辺りを見回しても、やはり誰もいない。
エルザには聞こえていないようで、一足先に教会の中へ入っていく。

まさか、幽霊?

急に寒気がし、ルーシィはさっさと教会へ入ろうと走り出そうとした。

が、何故かその足が止まってしまう。

(ごめんなさい・・・)

『ごめんな・・・』

(私のせいなのです)

『俺のせいで』

幽霊の声と、それとは違う誰かの声がリンクする。

懐かしい、誰かの・・・。

頭がぐるぐると回転する。

『ごめんな・・ごめんな、ルーシィ』


「ルーシィ?」

エルザに名前を呼ばれ、はっと振り向いた。
「入らないのか?」
どうやら、今のは一瞬の出来事だったらしい。
「あ、ごめんね。今入るー」
何事もなかったように装って、ルーシィは教会の中へ入っていった。

雨の音に紛れて、先程の声は聞こえなくなっていた。

ただ、墓石の隣に咲いた瑠璃色の花だけが、小さく揺れていた。



続く


追記に、今回の話の説明など↓


最後に書いた、ルーシィが聞いた2つの声・・何となく想像がつく人いると思います。
管理人の事をよく知っている人は特に。
分からないなら分からないで、それに越した事はありません^^
というか分からないでくだs(ry

次の話から、過去に移ります。多分。


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【2012/01/07 19:38】 | FT二次小説
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ずっと、友達が欲しかった。

名ばかりではなく、心の底から信じ合える、本当の親友を。

その悲願を、あなたは叶えてくれた。

親友どころか、それ以上の存在になってくれた。


自分は・・あなたの為なら、何だってしようと思った。

何にだってなってやろうと思った。


しかし結局は、自分の欲を満たしたい気持ちが勝り、
あなたを振り回してしまった。

あなたを地の底にまで落としてしまった。


この罪はきっと、一生・・生まれ変わってもずっと、消えないだろう。

死という逃げ道しか選べなかった自分を、許してください。


あなただけは、罪の鎖に囚われていない事を信じて・・・



第1話へ続く


↓この話の説明的なものは、追記からどうぞ
まずは、しつこいくらいですが・・あけましておめでとうございます。
2012年もよろしくお願い致します。


・・・それで、「秘蜜-影の誓い-」の事ですが。
タイトルからお察しの通り、「秘蜜-黒の誓い-」の続編というか・・第2部のような感じです。

今回は、時間軸を第1部のずっと前まで巻き戻して、視点を変えて書いていこうと思います。
長編小説の王道ですね(自分的には)

第2部では、「秘蜜」以外のボカロ曲のパロディも盛り込んでいこうと考えてます。
ボカロが苦手な方も読めるように頑張ります。
今の所、1~2曲入れれば十分かなと思います。

これからも頑張りますので、よろしくお願いします!


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【2012/01/02 21:40】 | FT二次小説
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