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結局あの後、ジェラールはエルザの家に住む事になった。
住むと言っても居候のようなものだ。
ましてや、自分は天使。
正体こそ明かさないものの、どちらにせよ彼女に迷惑をかける訳にはいかない。

そういう思いで、ジェラール本人の申し出で家の2階に住まわせて貰う事にした。
毎日の日課と言えば、朝起きてから窓の外を眺めるだけ。
食事は取らなくても生きていけるので、あまり食べ過ぎないようにしている。
と言うのは、ジェラールが食べる事を断ってもエルザがそれを許さないからだ。
「人は何かを飲まないと死ぬ。何かを食べなくても死ぬ。だから、お前も食べろ。・・・せっかく私があの時助けてやったのだ、少しくらい自分の命を大切に扱ったらどうだ」
確かに、エルザはジェラールの恩人だ。

だが、自分は人間じゃない。

天使。
人ではないから、多少食べなくても死にはしない。

エルザにそう説明したかったが、何度も言っている通り自分の正体は明かせない。
仕方なく、ほんの少しだけ食事を頂く事にしている。
「少食だから」という言い訳をしているが、エルザは依然不機嫌そうな表情をしているばかりだ。
「それでは食べていないのと同じだ」と無理矢理食べさせられる事もある。
あまりエルザを困らせたくないので、そういう場合は素直に従うのだが。


この日の朝は、空をうっすら雲が覆う暗い空の日だった。
人間界の季節で言えば冬に当たる為、肌に当たる北風が少し冷たい。

「・・・こんな日に何処か出かけるのか?」
朝食を済ませ、ジェラールは後片付けをしていた。
家に住まわせてもらう代わりに、自分は家事を手伝わせて貰っている。
そんな時に、エルザは忙しそうに出掛ける支度をしていた。
「あ、ああ。少し用事があってな・・・」
彼女にしては珍しく言葉を濁し、慌てて家を出て行く。

1人残されたジェラールは不審そうに眉を寄せ、そっと2階に上がっていった。
窓を開け、家の下の様子を伺う。
エルザはまだ玄関先に留まっているようだった。
ジェラールが真下を覗き込むのと同時にチャイムが鳴る。
(誰だ・・?)

しばらくして、エルザが誰かと家を出て行くのが見えた。
黒いシルクハットをかぶり、黒いタキシードを着た者。
その身体つきから男性だと思われる。

男。

何故、今まで考えなかったのだろう。

と言うより、考えたくなかった。

エルザが誰かと付き合っているという事を。


空を覆っていた灰色の雲が、少しずつ黒く変わっていく。
やがて雨が降り出したが、ジェラールは身動き一つしようとはしなかった。
開いていた窓から吹き込んできた雨粒が、青年の顔に当たる。
彼は呆然と固まっていたままだった。

しばらく経って、自分の身体が冷えている事に気付いたジェラールはやっと動き出す。
窓を閉めようとした時、走って家に向かってくるエルザが見えた。
はっと時計を見てみると、まだあれから1時間しか経っていない。
雨が降ってきたから帰ってきたのか。
「ジェラール!」
息を切らしながらエルザが部屋に飛び込んでくる。
「今日、私が出掛けるのを見ていたか?」
「・・・・まあ、一応・・」
「それでな、私の隣にいた男がいただろう?グレイって言うんだが、あいつが街中でいきなり服を脱いだんだ!」
「・・・・・グレイ・・・」
「おかしいと思うだろう?街の真ん中でだぞ?それもいきなり」
ジェラールの呟きには耳を貸さず、エルザは一方的に喋り続ける。
こんなエルザは初めてだ。
「・・・エルザ・・何者なんだ、そのグレイという男は」
「あ、ああ・・グレイはだな・・・」
エルザは一瞬躊躇した後、

「私の、婚約者だ」
恥ずかしそうに頬を高潮させながら、言った。

その一言で、世界が一気に暗転した。

婚約者。

だからこんなに、楽しそうに・・・

楽しそうに、話すのか。

感情を抑えることが出来ずに立ち上がったジェラールは、ふらふらと部屋を出て行く。
途中でエルザの声が聞こえた気がするが、止まることは出来なかった。

放っておいてほしい。

誰もいない部屋まで来ると、近くのソファに倒れこんだ。

声を噛み殺し、熱い水滴を零しながら。



続く
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【2011/03/28 21:50】 | FT二次小説
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