主にFAIRY TAILの二次小説とオリジナル小説を書いているブログです。CP要素が含まれておりますので、苦手な方はご注意ください。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

気が付かぬ内に、エルザはその青年に見入っていた。
紫色に輝く髪に目が引き付けられ、群青色の瞳にすいよせられる。

まるで、恋に落ちたかのようだった。

(・・・駄目だ。今日は結婚式なんだぞ、気をしっかり持たねば・・)
とりあえず、花の名前を教えてくれた事に礼を言って、立ち去ろうとする。
だが、足が全く動かない。
彼から離れたくない、という意思表示のように。
こんな事をしていては駄目だ、と思えば思うほど、身体は石になったように動かなくなる。
それでも強引に足首を動かしたが、バランスが取れず身体がぐらりと揺れる。
「・・っ・・」
地面に倒れる寸前。

エルザの身体を支えたのは、青年だった。

「おっと・・危ねぇな」
倒れかかって彼の胸に顔を寄せた姿勢のまま、エルザは心臓の鼓動が速くなっていくのを感じた。
しばらく経ってから、顔を赤くして慌てて身体を起こす。
「す、すすすまない!!」
彼の表情を窺うと、青年は訝しげな表情でエルザを見つめていた。

やはり、いつまでも変な姿勢でいたのが不味かったのだろうか。
あ、そういえばまだお礼を言っていなかった。

「・・・あ、その・・ありがとう」
「・・・・ああ、別に大丈夫だ、今度は気をつけろよ。それより・・・」
エルザの漆黒のドレスの裾を掴み、青年は寂しそうに言い放つ。

「お前は、花嫁だったんだな」
彼は一瞬だけ、
儚い瞳で笑った。

その瞳に、エルザは何故か胸がきゅんと締め付けられる。

この青年に、あの人を重ねてしまう。
あの人・・あれ?

あの人って、誰だった?
思い出せない。
何故?

「・・・どうした?」
不思議そうに青年が覗き込んでくる。
エルザははっとして、彼の視線から逃げるように顔を逸らした。

この青年は、どこか危険だ。

そう直感したエルザは、青年の横を通り過ぎようとする。
「これから式が始まるんだ・・これで失礼する」
「待てよ」
強い力で青年に腕を掴まれ、身動きが取れなくなる。
「・・・何か用か?」

「お前、自分の婚約者がどんな奴だか知ってるか?」
数秒間、エルザはぽかんと口を開ける。
たっぷり空いた空白の後、彼女は慌てて青年の言葉を訂正した。

「そう言うお前こそ、私の婚約者の事など何も知らないだろう。知ったように言うんじゃ・・・」
「知らないのはお前だ。俺は、お前の婚約者が・・グレイ・フルバスターが、どんな人物なのか知っている」
「どんな人物って・・あいつはただの普通の貴族で・・・」
「・・・・知らないなら教えてやる。グレイ・フルバスターは・・」

「・・・エルザ?」

噂をすれば、というやつだ。
青年の言葉を遮りやって来たのは、グレイ本人だった。



続く
スポンサーサイト

【2011/05/29 20:26】 | FT二次小説
トラックバック(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。