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この世界には、魔法剣士というものが存在する。

魔法剣士とは、様々な形状の剣に多種多様な魔法を宿らせ、剣や己の能力を増幅させながら戦う者のことだ。
その魔法には大きく分けて6つの属性がある。
光、闇、水、炎、風、土。
この6属性は、自然界の中で最も重要な役割を持つ力が魔法として具現化したものだ。
属性が違えばその能力の特徴は大きく異なり、それを上手く活かしながら魔法剣士は少しずつ力を伸ばしていった。

かつて、魔法剣士は王や教皇に値する程の神聖な存在で、人々から畏怖と尊敬の眼差しを受けていたのだという。
魔法剣士にさえなれば、将来の希望と富は約束されたようなものだった。

しかし、銃の登場で流れは大きく変わった。

大量生産できる銃と比べ、魔法剣士を雇うには膨大なコストがかかる。
戦場で、銃は魔法剣士の力とほぼ同等の威力を発揮するため、必然的に魔法剣士たちは仕事を失った。
それに拍車をかけるように民主主義や平和主義が世の中を動かし、戦争自体が世界から無くなっていった。
次第に活躍の場を無くしていった魔法剣士は、現在では多くの国で『流れ者』というイメージが強い。

だが、その例外として『カトレア国』がある。

この国は今でも魔法剣士を国が雇い、国内の治安を保護させている。
他国で言うところの『警察』のような立場だ。
国も民主主義となった今、権力を持って政治を動かすのは政府であり、崇められるような存在ではなくなったが、魔法剣士は今なおこの国に深く息づいている。


そこまで読んだ所で、書物室の窓から滑り込んできた風が、ページをパラパラと捲った。

「・・・あ」
せっかく読んでいたのに、ページが捲られてしまったせいで、どこまで読んでいたか分からなくなってしまった。
すっかり様変わりしてしまった文章を見つめ、溜息をつきながら本棚へ向かう。
閉じられた渋い赤色の本は、狭い隙間に無理やり押し込められた。
彼女の蒼い双眸が、本の背表紙を映す。
『魔法剣士の歴史』。
本の背表紙にはそう記されている。
魔法剣士になったばかりの新米剣士が読むような、ごくごく初歩的な歴史書である。
昔の記憶を辿るように、文字の凹凸にそっと指を滑らせ、彼女は微笑んだ。

「エアル部隊長」
と、名前を呼ばれ、彼女は振り向く。
開きっぱなしの木製の扉の横に、白い鎧を纏った男が立っていた。
「今回の仕事は10時に集合です。あと20分程なので準備しておくように、と騎士長から命令です」
「分かった。わざわざありがとう」
「では、私はこれで失礼します」
きっちり45度腰を曲げ敬礼すると、どこか機械的な挨拶を残して男は去っていった。
彼は、エアルと呼ばれた少女の部下だ。


エアル・フィザー。

ホワイトツリー地区管轄部署、第1部隊を束ねる部隊長である。

彼女も部下の男も、同じ『光』の剣士・・もとい『白騎士』だ。
6属性の中で特に大きな要素を占める属性である『光』と『闇』の剣士は、別名で呼ばれることの方が多い。
それぞれ『白騎士』『黒騎士』と。
諸説あるが、世界を構成する『光』と『闇』を司る大きな役割を持っている為にこう呼ばれるようになったのではないか、という説が一番有力だ。

その白騎士に属し、しかも部隊長を任されているのだから、エアルにはいつもプレッシャーが重くのしかかっている。
日々訓練は欠かさず行っているが、あまり伸びない実力に焦りを感じる今日この頃である。


「・・・さて、そろそろ広間に行ってみるかな」
書物室から出て扉を占めた時、廊下の向こうから大柄な人影が見えた。
思わず大声で相手の名前を叫びそうになったが、仮にもここは白騎士の詰所である。
非常時以外に廊下で大声を出すことは禁じられていて、もしその掟を破れば即懺悔室行き、しかも先輩の騎士たちに目をつけられるという嬉しいオプション付きである。
相手の方もエアルに気付いたようで、ある程度距離が近づいたところで声をかけてきた。

「エアル、これから広間に行くのか」
「うん。オリオンも?」
「ああ、集合時間が近いからな」


親しげに声をかけてきた青年こそが、白騎士長のオリオン・ヴィアズだ。

17歳という若さで白騎士長に就任し、それ以来白騎士たちを束ねてきた切れ者である。
淡々としているように見えて意外と人情深いため、部下たちに厚く慕われている。

彼は、幼い頃からエアルとともに鍛錬を重ねてきた唯一無二の友でもある。
本来なら『白騎士長』と呼ぶべきだろうが、あえて親しみを込めて『オリオン』と呼び捨てで呼んでいる。
それを許してしまう所が彼らしい。


廊下を歩きながら、エアルは今回の仕事について聞いてみることにした。
「今日の仕事は、裏の森だよね」
「ああ、近隣の住民から通報があった。詳しくは集合してから皆にも話す」
時間が押していて急いでいるのか、オリオンは早口に応えた。

裏の森はこの部署の管轄外だ。
何か不穏なものを感じたが、エアルは黙って集合場所に急いだ。

歩幅の大きさではやはりかなわないので、エアルがオリオンの一歩後ろを歩く形となる。
いつかその背中と並んでみたいな、と思いながら、エアルは金属鎧が擦れ合う音を聞いていた。



続く
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【2013/02/27 19:22】 | オリジナル小説
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LandM
おお、エアル登場ですね。
エアルのキャラクター性は個人的に好きなんですよね。私は。聖堂騎士に近いところがたまらなく良いです。

Re: タイトルなし
Rubellum
LandMさん、コメントありがとうございます。

あれだけ影が薄かったエアルを気に入って頂けるとは・・・(笑
改訂版では頑張って主人公の良さを引き立てようと思っております。

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