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夕日が、空をオレンジ色に染めながら沈んでいく。
夏も過ぎたばかりの秋・・10月とはいえ、夜が近付くと少し肌寒い。
彼女は小さく震えた。

「ねー、ウイザド。今日はもう宿に戻ろうよ~。寒くなってきたしさぁ」
ウイザドと呼ばれた青年は、隣の少女をちらりと横目で見てから、ぼそっと呟く。
「お前が寒いなんて思う訳無いだろ、レイニー。身体は男のくせに」
「男じゃないし!!人をオカマみたいに言うなっての!それに、本当に寒いんだってば!」
駄々っ子のように足をじたばたさせ訴えるレイニーに、ウイザドは心底呆れた。
そして、レイニーの肩越しに、彼女の隣にいる赤い物体に話しかけた。
「フレイムからも、何か言ってやれ」
ふよふよと空中を漂っていた真紅の物体は、レイニーの肩にちょこんと乗る。
同時に、レイニーのショートカットの紅い髪が少し焦げた。
が、彼女は全く気にせず、「熱ーい」とだけ口にした。

そう、この赤い物体は炎から出来た生物だ。
しいて言えば、生物ではなく『魔物』。
炎を自在に操れると言っても過言ではない、かなり強力な魔力を持っている。

「レイニーの餓鬼っぷりにはもう慣れたんよ。つぅ事で、ノーコメント」

ちなみに、このフレイムという魔物は何故か関西弁で喋る。
魔物は強力なものならば、普通に喋る事だって出来る・・らしい。
自分は魔物を所持していないので、よく分からない。

「餓鬼って何、餓鬼って!!あたし、こう見えても17歳なんだけど!!」
歯を思い切り食い縛り、フレイムに向かって威嚇する。
どう見ても17歳の少女が取る態度とは思えない。

この何とも子供っぽい少女、レイニー・フレイム。
関西のオバちゃん・・失礼、炎の魔物、フレイム。
そして俺、ウイザド・ブラウン。
この3人で、俺達は旅をしている。

旅というより、ただの金稼ぎだ。
適当に仕事で稼いだら、適当に何か食って、気が向いたら実家に帰る。
その実家も、帰れるのはレイニーしかいない。
俺やフレイムに家は無い。

レイニーはフレイムのような『魔物』や『聖霊』といった魔法生物を使い、仕事をする。
対して俺は、『聖霊』だけを使っている。
『魔物』だって魔法生物だが、『聖霊』と違う点は、『契約を結ばないと使う事が出来ない』点だ。
『使う』なんて物のように扱っているような言い方だが、他に上手い言葉が見つからないので、ほとんどの者はこのような言い方をしている。

『旅』を続けていた俺達は、今日は宿に泊まる事にしていた。

「とにかく、早く宿まで行こうよ。この辺り、人通りも少ないし・・スリの多い事で有名なんだってさ」
「ふーん」
金を盗まれたくないとでも言いたいのだろうか。

まあ、確かに盗まれるのは嫌だ。
せっかく働いて手に入れた金なのだから。
一般市民にとってはほんの小遣い程度の金だとしても、自分達にとってはその金の有無によって死活問題にもなりうる。

宿に向かって歩き出した時、突然男がレイニーにぶつかってきた。
「痛っ!」
レイニーが呻き声を上げても、男は無視して走り去っていく。
「ちょっと、謝罪の言葉も無い訳!?ちゃんと謝りなさいよ!」
「これだから最近の若者は・・常識ってもんが頭にあらへん」
「フレイム・・お前、急に老けて見えるぞ」
「やかましいわ!!」
フレイムの跳び蹴り・・ならぬ火の玉攻撃を、ウイザドは慌てて避ける。
その時ふと、ウイザドはある事に気付いた。

「おいレイニー、財布は何処にある?」
「何処って、ポケットの中に決まって・・・あれ?」
ポケットの中を裏返してみたが、出てきたのは糸屑だけだった。
「あれぇ!?無いんだけど」
「まさか・・ウイザド、さっきの男が例のスリだって言いたいんか!?」
「そのまさかだ。早く取り返すぞ!」
ウイザドに続き、レイニー、フレイムと、スリの走り去った方向を追いかける。
「スリぃぃぃ!!宿代を返せぇぇぇ!!」
「・・・貧乏人みたいに見えるから、叫ばんといてや」
「貧乏人だけどな。まぁ、安心しろ。指摘された時は俺の美貌で誤魔化してやるから」
「それって女子限定じゃん」
「・・・・・・」
フレイムが何故か、残念そうにウイザドを見てきた。


やっとスリの男の背中を見つけた頃には、辺りの景色が全く違っていた。
商店や住宅などが立ち並んでいた街の風景ではなく、森に囲まれた狭い平原。
男は平原に建てられた、小さな民家へ入っていく。

「・・・何、あそこ・・あのスリの家?」
「さあ・・・」
「とりあえず、様子見って所やな」
「様子見ててどうすんのよ、あたし達の金はどうなるの!?」
「!!・・静かに」
2人が喧嘩を始める直前で、ウイザドが静止する。

その直後、3人の耳に入ってきたのは・・紛れもなく、誰かの悲鳴だった。



続く
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【2011/06/02 22:07】 | オリジナル小説
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