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ルシフェニア王国は、『星ノ国』とも呼ばれている。
理由は単純に、『星の魔法を使う者が多くいるから』だ。
『星の魔法』というのは、絶大な破壊力を持つ『天体魔法』や、鍵を使って星霊を呼び出す『星霊魔法』の事を指す。
それらの魔法を使う者の魔力は、星の見える夜に増幅される。


今日は晴天。
夜は星が良く見えそうだと、窓からぼんやり空を見ていたジェラールは、隣の人物から殺気を感じ我に返った。

「何だ、この不味い飯は!!」

クロステーブルが捲り返され、倒れた食器と花瓶が、がちゃんがちゃんと耳障りな金属音を立て落ちていく。
その光景に、周りの召使達は思わず目を瞑った。
王子の隣に控えていたジェラールも俯く。

無論、この状況は王子が・・俺の双子の兄でもある、ジークレインが作ったものだった。
昨日入ったばかりのシェフが、王子の味の好みがよく分からず、濃い味にしてしまったらしい。
濃いと言っても、普通ならそれ程気にならないくらい微妙なのだが、我が侭なジークレインにとっては激怒する程気に障ってしまったのだ。

「こんな事になると思ったから、新人には作らせない方が良いって止めたのに・・・」と言いたげな顔で、侍女長のシャルルが密かに溜め息を漏らす。
案の定、ジークレインの暴走は止まらない。

「こんな飯を作るのはいつもの料理長じゃないな・・おい、貴様か!?」
辺りを見回していたジークレインにとうとうその姿を見つけられてしまい、シェフはがたがたと震えながら、ジークレインの前で跪く。
「も・・申し訳ございません!!どうか・・どうか、お許しを・・!」
「五月蝿い奴だな・・余計癇に障る。・・・もう良い、お前は首だ」
自らの怒りを収めさせる為なのか、打って変わって冷たい声で言い放つ王子。
そんな王子に、シェフは一層震えた。
「そ、それだけは!!」
「黙れ!!・・・ルーシィ、お前の出番だ!こいつの首を刎ねろ」

ジェラールと同じく召使いのルーシィは、罪を犯した者の処刑も担当している。
多分、強力な星霊魔法を使えるからだと思うが、これではルーシィがあまりにも可哀想だ。
彼女は年頃だし、何より人一倍優しい性格のため、この処刑係が嫌で嫌で堪らないようだった。
しかし、王子に逆らえば今度はルーシィが処刑される。

ルーシィを苦しみから逃れさせ、シェフを助けようと口を挟んだのは、ジェラールだった。
「王子、落ち着いてください」
「・・・ジェラール、お前も首にされてぇのか?」
「そんなつもりではございません。ただ・・よろしければ、こちらで王子の御口を直して頂ければと」
ジェラールはそう言って、懐から白い包みを取り出す。
無言で布を払い除けたジークレインは、中身を見て微笑した。
「これは・・ブリオッシュか?」
「はい。私が仕事の合間に作った物でございます。菓子類を作るのは初めてですので、御口に合うかどうかは分かりませんが・・・」
「・・・・こんな者で処刑を取り止めてくれとでも言いたいのか?まあ、良いだろう・・今回は見逃してやる。ただし、次は今度こそ首を刎ねるぞ」
「あ、ありがとうございます・・!!」
シェフは王子、それからジェラールに向かってぺこぺこと頭を下げてきた。
ジェラールもジークレインに礼を述べ、一礼して下がる。

好物の1つであるブリオッシュが食べれて嬉しいのか、王子は上機嫌だった。
「飯はもういらないから下げとけ。・・・それにしても、このブリオッシュはなかなかいけるな。そうだ、ジェラール・・今日からお前が菓子作りの当番になれ。期待してるぞ」
「光栄に存じます」
跪くと、満足そうにジークレインは笑った。

ふと、ジェラールは思い出した事があった。
「王子に1つ、お話があるのですが・・よろしいでしょうか」
「何だ、言ってみろ」
「頼まれていましたアニメを、DVDに録画しておきましたので・・・。どうぞ」
ディスクを渡すと、彼は無邪気に笑った。
こういう所は昔と変わらない。

変わったのは・・ジークレインが幼年期の記憶を失っているという事だけだ。
必然的に、俺の事も忘れている。

何故だかは分からないが、多分ジークレインを連れ去った奴等が何かしたのだろう。
ジェラールを双子の弟として見ていないジークレインに、ジェラールは少しだけ寂しくなった。

だけど、そうは言ってられない。
俺はジークレインを守らなければならないのだ。
幼い頃、守れなかった兄を。

例え、俺の事を忘れていても。
例え、君が悪だとしても。
世界の全てが敵に回ろうとも。

俺が君を守るから。

だから・・・

君はそこで、笑っていて。



続く
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【2011/06/05 21:19】 | FT二次小説
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