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その頃、緋色の髪の少女が紫色の髪の青年に手を引かれ、見知らぬ街を歩いていた。

「・・・・おい・・、何処まで行くんだ?」
息を切らしながら尋ねるエルザ。

途中からは歩いていたとはいえ、彼女の足はぱんぱんにむくんでいた。
何しろ、慣れないハイヒールでずっと歩いていたのだ。
そうなるのも無理もない。

そんな彼女の様子を見て、青年はゆっくりと止まった。
「すまないな。さすがに疲れたか?」
「あ、ああ・・・。この辺りで少し、休ませてくれないか」
「そうだな。奴等ももう追ってこないだろうし」

奴等とは、婚約者・・今日結婚する予定だった相手・・グレイを初めとする、式に訪れていた者達の事だ。
花嫁が逃げたのだと知ったなら、当然追ってくるに違いない。
青年やエルザはそう考え、こうして遠くの町に逃げてきたのだ。

「では・・休みますか、お姫様?」
「え、何・・ちょっ!?何をするんだ!!」
いきなり青年に抱き上げられ、エルザは彼の腕から逃れようと必死に抵抗する。
が、強い力で抱かれているのでそれは叶わなかった。
「歩けないんだろ?」
「歩ける!歩けるから、頼むから下ろしてくれ!」
半分涙目で訴えるエルザに、青年はただ不敵な笑みを浮かべるだけだった。
「大事なお姫様に無理させたくないからな、俺も」
「ううう・・見てる、皆が見てる・・見ないでくれ・・頼むから・・・」


ちょうどエルザ達のいた場所の近くに小さな公園があったので、空いているベンチを見つけて腰掛けた。
「・・・はぁ・・。恥ずかしかった・・・」
「そりゃ嬉しいな」
「何が嬉しいんだ!?意味が分からないぞ!!」
エルザは真っ赤な顔をして青年の方を引っぱたく。
彼女の突っ込みを軽く流し、青年はふと思い出したように口を開いた。
「・・・・そういえば、まだ俺の名前を教えてなかったな」

確かにそうだ。
逃げるのに夢中で、色々な事がありすぎて、大事な事をすっかり忘れてしまっていた。

「俺の名前は、ジーク」
「・・・ジーク?」
「ああ。・・・ただの、ジークだ」
ただの、という強調された言葉にエルザは違和感を覚えた。

まるで、自分には価値が無いとでも言いたいような・・・。

「だったら、私がお前に名字をつけてやろう」
「エルザが、俺に?」
「そうだ。・・・えーと、私の名字は髪の色が由来だからな・・どうせなら、お揃いにしないか?」

余談だが、エルザの家系はほとんどの者が緋色(スカーレット)の髪なのだそうだ。
だから名字は『スカーレット』なのだろう。

「名案だな。じゃあ・・俺の髪の色は紫だから・・・」
「ジーク・バイオレット。うん、なかなか格好良い響きじゃないか」
「何となく変じゃないか?」
「ん、文句でもあるのか?」
小さく口を尖らせたエルザに、ジークは声を上げて笑った。
彼が満面の笑みを見せてくれたのは、これが初めてだった。
「エルザ」
ジークは突然笑うのをやめ、真顔になる。
それから、
「ありがとう」
と、儚い笑みを浮かべた。

(・・・そんな顔で、笑わないでくれ)

またエルザの胸が締め付けられる。
彼の顔を見ないように、エルザはこっそり俯いた。


ジークが『トイレに行って来る』と言い出したので、エルザは1人ベンチに腰掛け、彼を待っていた。

「・・・・あのー、すみませーん・・・」
そこに、金髪の少女がやってきた。
白い服を着た可愛い少女だった。

そう、翼こそ隠しているが、少女は天界から降りてきた天使・・ルーシィである。
担当区域周辺で聞き込みをしているのだが、もちろんエルザがそんな事情を知っている筈がない。

「どうした?私に何か用か?」
「あ、は・・はい。ちょっとお聞きしたい事があるんですが・・良いでしょうか?」
「私に出来る事があるなら」
「ありがとうございます!・・・それで、こういう人を見た事がありませんか?」
彼女はそう言って、1枚の写真を取り出す。

青い髪、青い瞳の青年が写っていた。

「・・・・この後ろの羽らしき物は何だ?」
「いやぁ、それはその・・コスプレってやつですよ、ははは・・・」
適当な返事で誤魔化すルーシィ。
心の中で、(ジェラール、ごめん・・・)と密かに謝っておいた。
「まぁそれはともかく、この青年・・どこかで見た事がある気がするんだが・・・」
「ほ、本当ですか!?どんな小さな事でも良いんです、彼について何か教えてください!!」
期待に目を輝かせ詰め寄ったルーシィに、エルザはこう言い放った。

「・・・すまない。最近物忘れが激しいらしくてな、何故か思い出せないんだ」

(ちょ・・っ、あんた何歳なのよ!!大丈夫なの、この人!?)
・・・と突っ込みたくなるのをぐっと堪え、ルーシィは苦笑いを浮かべる。
「あ、あはは・・・。ま、まぁ、物忘れは誰にでもありますよねぇ・・・。お忙しい所、ありがとうございましたぁ」
「こちらこそ、何の役にも立てなくてすまなかったな。・・・その青年、早く見つかると良いな」
そそくさと立ち去っていくルーシィを笑顔で見送りながら、エルザは溜め息をついた。

(ジーク、遅いな・・・。まさか大でもしているんじゃ・・・)


「・・・へくしゅんっ!」
一方、同じ公園の公衆トイレの中では、ジークが急に寒気を感じ不思議そうな顔をしていた。



続く
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【2011/07/18 21:08】 | FT二次小説
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