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ただ平穏に生きられれば、それで良い。

雫が日々ぼんやりと願っていたものは、突然他者の手によって壊された。

異世界・・『スピットギャザー』を支配する謎の存在、『魔女』によって。

その代償として得たのは、魔法を使えるという事。
だが、雫にとって魔法なんてどうでも良かった。
別に、使えなくて良いのに。

「・・・じゃあ・・これから私は、今まで通りの生活を送れないって事?」
「良い意味でね。魔法を使えるって事は、今までより生活が楽になったりもするし、楽しい生活が送れるようになったりもする。逆に、ひっそりと生きていくのもありだ。学校っていう概念は基本的に存在しないから、学問に囚われなくても良い訳だし。全ては君次第。きっと、満足できるような第2の人生を送れる筈だよ」
まるでセールスマンのように言葉を並べ立て、生き生きと話すリミット。
彼を一瞥して、雫は
「ふぅん」
とだけ呟いた。

「・・・・あのさ」
「何?」
「嬉しがったりとか、怒ったりとか悲しんだりとか・・しないの?初めて話した時から思ってたんだけどさ、君って本当にリアクションが薄いよねぇ。君程に無感情な人、僕・・見た事ないよ」
困惑したような表情のリミットの問いに対し、雫は無言で真上の空を仰いだ。
空らしき頭上の空間には雲も何も無く、漂白されたように真っ白だった。

「別にもう、どうでも良い。現実とか異世界とか、魂とか魔法とか『魔女』とか。ここで生きてくしかないなら、そのまま流されていくし。・・・何かさ、正直言って迷惑なんだよね、あたしの周りであれこれ騒がれるの。そりゃ確かに『魔女』の勝手さにはちょっと頭に来るけど、だからってあたしが口を挟む話じゃないでしょ?」
「・・・そう・・」
リミットはそれだけ呟き、雫から顔を背けた。
興味を無くしたんだろうと思った雫だったが、当のリミットは全く違う事を考えていた。

「君なら、変えてくれると思ったんだけどな」

「・・・え?何か言った?」
「ん、何でもない」
誤魔化すように首を振って、彼は立ち上がった。
その行動を不思議に思ったが、どうせ大した話ではないのだろうと思い、雫はそれ以上追求しなかった。
依然として空を見上げたままの雫に、リミットは何とも言えない笑みを向けた。
「じゃあ、そろそろ目的地に行きますか」
「目的地って何処?」

「僕の『故郷(パワースポット)』、『月の島』へ」

リミットの説明によれば、魔法には8つの属性があるらしい。
そのうちの1つ・・彼の得意魔法である『月(ライブラ)』。
この魔法が最も力を発揮する場所、それが『月の島』。
『月の島』のように、8つの属性それぞれが力を増幅させる場所の事を『故郷(パワースポット)』と言うのだそうだ。
『故郷』には、その魔法を使う者の魔力を回復させたりする力もあるのだとか。

「本当は君の『故郷』に行ければ一番良いんだけどね。でも、まだ君の魔法がどんな属性なのか分からないし。だから、一時的に僕の『故郷』で保護する形になってるんだ」
「ふぅん・・『月の島』ってのはどんな場所なの?」
「それは行ってからのお楽しみ。とにかくすごい場所だから、君の期待は裏切らないと思うよ」
「別に期待してない」
「んじゃ、行くよー」
雫の反応を全く無視して、どんどん先を歩いて(というか、ほぼ走って)行くリミット。
無感情な雫の扱いにも慣れてきたようだった。
まぁ、慣れられても困るのだが。

真っ白な空をもう一度だけ眺めて、雫もゆっくりと歩き出した。



続く
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【2011/07/27 20:51】 | オリジナル小説
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