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銃声、男性の声、それから・・女性の悲痛な叫び。
それらの全ては、ルーシィの耳にも入っていた。

(一体、何が・・!?)

焦る気持ちを何とか抑え、転ばぬよう気をつけながら、彼女は必死に走る。
心臓の鼓動が普段より速く、そして大きい。
先程までも嫌な予感はしていたが、今は・・それを遥かに上回っている。
絶対に何か起きたに違いない。


(この辺りは・・昨日来た場所ね)

女性のすすり泣く声を頼りにして、ルーシィは走る。
声がしているのは、多分あの公園からだ。
昨日訪れたばかりの公園。

公園の入り口に着くと、ルーシィは茂みの陰からそっと中の様子を窺った。
草の枝の間からちらちらと見えるのは、緋色の髪。
どうやら、その髪の主が先程から泣いている女性らしい。

・・・何処かで見覚えがあるような。

ふとそう思い、やがて思い出す。

多分、あの人だ。
あんなに特徴的な緋色の髪、他に見間違える筈がない。

「あの人・・昨日の、・・もがっ!?」

急に後ろから、誰かに口を塞がれた。
おまけに強い力で引っ張られた為、身動きが取れなくなってしまう。
敵かと思い後ろを振り向くと、そこには意外な人物が立っていた。

「大臣!?」

男だが、まるで女のように整った顔立ちと長い髪。
名を、フリードという。
この男は、先日ルーシィに『悪魔を捕らえてこい』と命じた張本人だ。
まぁ、厳密に言えば命令を下したのは天王だが。

「何故ここへ・・」
「静かに。お前に伝えなければならない情報が入った」
深刻な顔で、大臣・・フリードは小声で呟く。

大臣自らやってきて、伝えなければならない情報とは何だろう。

ルーシィが動揺を隠せずにいると、フリードの方が先にその真実を伝えた。

「ジェラールが、死んだ」

時が、止まる。

少なくとも、ルーシィの中ではそう思えた。

何?

死んだ?

誰が?

ジェラールが?

ルーシィの瞳が大きく見開かれたまま、ぐらりと身体が傾いていく。
フリードは慌てて彼女を支えた。
「・・・・う、そ・・ど、して」
「落ち着いて・・というのは無理だろうが、とにかく聞いてくれ。・・・先程入ったばかりの情報なんだが、ジェラールは以前悪魔と遭遇した際に、奴らと契約を結んだらしい。何故だかは分かっていないが。・・・そして、悪魔との契約を突然破った彼は、その罰として・・消滅した」

どうしてジェラールが、悪魔なんかと。

自分と以前話し合ったではないか・・悪魔について。
その危険性は十分理解していた筈なのに。

どうして。
どうして。

浮かんでくるのは疑問ばかりだ。

ルーシィの考えている事に大体予想はついているのか、フリードは重い口を再び開く。
「何故彼は悪魔と契約を結んだのか、何故契約を破る事になったのか・・本当に何も分かっていない。・・・ただ、あの女が何らかの関わりを持っている事は確かだろうな」
フリードが向けた視線の先を、ルーシィは思わず凝視してしまった。

昨日、この公園で出会った少女。

彼女のせいでジェラールが死んだ、とでも言いたいのだろうか。

もし彼女のせいなら、私は・・・

「後は、お前次第だ」
「・・・え?」
「あの女を恨むも許すも、お前の判断だという事だ。まだあの女がジェラールに関わっていると言い切れる訳でもないし。人間だから、処罰を与える訳にもいかないしな」

許す?

そんな事出来る訳ないだろう。

だって、あの少女のせいでジェラールは死んだのだ。

そう、あの人間のせいで。

天使だって、同僚・・しかも仲の良かった同級生を・・仲間を殺されたら、黙っていられる訳がない。

「・・・ただ」
フリードが、目を閉じたまま静かに語りだした。

「ただ、これだけは言わせてもらう。ジェラールが死んだのは、あの女のせいでも、悪魔のせいでも・・誰のせいでもない。これは、ジェラール自身の責任。例え歪んでいようとも、あいつの選んだ道なんだ。・・・それは分かってやってくれ」

彼の言葉で、ルーシィの中にあった憎しみ・・負の感情が、すっと消えていった。

自分は何故、あの少女のせいだと決め付けていたのだろう。

「・・・ルーシィ、お前らしくやれ。では、ある程度事が片付いたら、天界へ帰ってくるように」
大臣はそう言い残すと、ふわりと宙に浮き、そのまま消えていった。
天界に帰ったのだろう。

(私、らしく・・・)

『困っている人がいたら、手を差し伸べるのよ。天使でも悪魔でも、人間でも・・相手が誰だろうと、ね』

ルーシィが幼い頃に病死した母親が、常に自分に言い聞かせていた言葉。

『お前は誰にでも優しいんだな、ルーシィ』
『ありがとう、ルーちゃん!ルーちゃんは天使の鏡だよ』
『けっ、そんなお人好しだから舐められるんだ、てめぇは』

ジェラールを初めとする同僚たちの言葉。

記憶に刻まれていた全ての言葉が、彼女の中に蘇る。

そうだ。

憎むなんて、私らしくない。

もちろん、すぐに許すなんて事は出来ないけど。

決め付けなくても良いじゃないか。

まず、手を差し伸べれば・・・

自ずと答えは見えてくる。

「そうね、ママ・・皆」

教えてくれて、ありがとう。

思い出させてくれて、ありがとう。

ルーシィは彼らに同意するように頷くと、一度だけ空を仰ぐ。
それから、未だにか細い泣き声を上げている少女の下へ歩み寄っていった。



続く
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【2011/09/24 20:21】 | FT二次小説
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