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『古代魔法』。

それは遥か古代、剣を使わずに発動でき、かつ現在より幅広い種類があったという魔法。

だがいつからか、次第にその魔法は失われていった。

理由は正確には分かっていないが、人々が世界の魔力を使いすぎてしまった為、魔力は世界から少しずつ消えていき、魔法が衰えてしまっていったのではないかという推測がある。
聞けば、『古代魔法』は『剣魔法』とは比べ物にならないくらいの魔力を必要とするのだという。

その失われた魔法の使い手である、アスレ・クオースが・・今、エアル達の目の前に立っていた。

「・・・だとしたら、今のは・・『古代魔法』!?」
まるで何事も無かったかのように消え失せた敵。
不可解な現象を目撃していたエアルが、声を震わせながらアスレに問うた。
無表情のまま、彼は頷く。

「そうだ。今使った魔法は、『蒼の原子化(コバルト・リターンズ)』・・対象の物体を一瞬にして消滅させる事が出来る魔法。・・・ただし、人間などの生き物を消滅させる事は無理だがな。それから、『水鏡の願い(ミラーオース)』はもちろん、『海の大異変(オーシャンブルー)』も『古代魔法』の一つだ」

アスレの説明に、彼の後方に立っていたオリオンは思わず感嘆の声を漏らした。

(どうりで、桁が違っていた訳だ・・・)

正直言って、今回の戦いはきつかった。
一歩何かを間違えれば、負けるどころか命を落としていたかもしれない。

絶対的な威力を持つ『古代魔法』ならまだしも、剣魔法でさえもあの凄さだ。
強すぎる。

「・・・だが、何故お前は『古代魔法』を使えるんだ?」
以前『古代の魔物』と遭遇した事のあるルーヴが質問を変えた。
実体験があるからこそ、やはり『古代魔法』の使い手というのは興味深い話なのであった。

しかし、アスレの口からは意外な言葉が発せられる。
「・・・・分からない。物心ついた時から、普通に使えていたからな」
全員が肩を落とし、その場に沈黙が流れる。

それを破ったのは、アスレの妹であるミレアだった。
「お兄ちゃん」
「ミレア・・今回はすまなかった」
「それはもう良いの。お兄ちゃんも、私の気持ちを考えてくれていた所があったんだし・・・。・・・それより、これからどうするの?」
ミレアは真っ直ぐ兄を見つめる。

「戻っても、またキカイが襲ってくるかもしれないよ」

キカイ、という言葉にエアルが反応し、そこで一旦2人の会話を止めた。
「・・・あの、会話を邪魔してしまって申し訳ないんですが・・、あの『キカイ』達は、何の為にミレアさん・・『水』の剣士長を襲ってくるのでしょうか?」

「多分あの『機械』たちは、元『水』の剣士から送られてくる敵だ。ミレアの命を奪えば、『水』の剣士たちは当然混乱する。そこにつけ込んで、『水』の剣士の組織を崩壊させようとしているんだろう」

「組織を崩壊させるだなんて・・どうしてそんな事を・・・」
「その元剣士は、先代の『水』の剣士長に反感を持った為に剣士を辞めていった者だ。『水』の剣士の組織に対して恨みを持っているからだろうな」
「元剣士の居場所が分からないから、手の打ちようがない」とアスレは付け足す。
納得したエアルはそこで口を閉じたが、彼女の横でルーヴが、

「元『水』の剣士・・・」

と意味ありげに呟いていた。

彼の呟きは誰にも聞こえる事はなく、ミレアとアスレの会話が再開された。
「『機械』の件は大丈夫だ。俺がいれば、何とかなる」
「・・・お兄ちゃんの事、皆・・許してくれるかな」
「さぁな・・・」
苦い表情になり、少し俯くアスレ。

未遂とはいえ、『水』の剣士長を傷つけ、最悪の場合殺人までしようとしたのだ。
仲間に攻められても無理ない。

「俺は、戻ろうと思う。例え『水』の剣士を辞める事になろうとも。逃げる事だけは、絶対に駄目なんだ。俺自身の為にも・・そして、お前の為にも」

「・・・・そっか」
「ミレアはどうしたいんだ?」
「私は・・お兄ちゃんと一緒なら別に・・・」
「ミレア」
淡い微笑を浮かべていた表情から、急に真面目な顔になり、ミレアの視線と合わせるようにしゃがみ込んだ。
「正直に言ってくれ。帰りたいか?家に」
兄の問いかけに、ミレアは口を一文字にして黙っていたが、やがて堪えきれなくなって大粒の涙を流した。

「・・・・分から、ないよ。帰りたいのに、帰りたくない。だって、お父さんもお母さんもいないんだよ。お兄ちゃんは・・いつも仕事で忙しいし」

剣士長といっても、まだ9歳の子供だ。

後から聞いた話だが、彼女の両親はすでに亡くなっているのだという。
1人で寂しいに決まっている。

だけど、剣士長というだけで本音を零す事さえも許されなかったのだろう。

「・・・それが仕方ないのは分かってるけど、私・・もう嫌だよ。剣士長なんて、もう嫌」

「・・・・・・」
救いようがない妹の言葉を、アスレは黙って聞いている。
エアルたちにも、もちろん口を挟む事など出来なかった。

ミレアの言葉に嗚咽が混じり始める。

「お兄ちゃんが、剣士長に・・なれば良かった、のに・・・。・・・何で?何で・・、私なの?私なんか、何の役にも立たないのに・・・」

「・・・俺も、お前じゃなくて俺が剣士長になれば良いんだと思ってた」

ぽん、とミレアの頭を撫でるアスレ。
ミレアは、赤く充血した瞳で彼を見上げた。

「だけど・・それは間違っていたんだ。魔力があるとか、だから奪うとか・・そういう次元の問題じゃない。お前が剣士長として選ばれたのは、その素質があるからなんだ」

「・・・・でも、私・・全然魔法は使えないんだよ?召喚魔法くらいしか使えないし、瞳魔法は制御できないし・・・」

「それをお前の年では、まだ使いこなせる筈がない。誰だって、すぐに出来るようにはならないんだ。・・・それに、今言っただろう?魔力の話じゃないんだ。大切なのは、『心』。剣士たちをまとめ、気遣い、思いやる・・すぐには出来なくとも、お前なら必ず出来るようになる筈だ」

「お兄ちゃん・・・」

「お前には重いものだという事も分かっている。でも、俺がいる。俺がお前を支えてやる。いつでも味方になってやる。だから・・もう一度、やり直そう。一から」

このとき、ミレアは久しぶりに兄の笑顔を見た気がした。
先程とはまた違う、熱い涙が頬を伝う。

「・・・お前に重い責任を負わせたくなかったから、あんな事をしてしまった。本当にごめんな」
「ううん。だから、本当に・・もう良いんだ」

また、2人で笑い合う事が出来るから。

以前のように。

毎日が楽しかった、あの頃のように。

ミレアはそっと、アスレの胸に顔を埋めた。
アスレも、ミレアをそっと抱きしめる。

そんな2人を、他のエアルたちは静かに見守っていた。

ただ、ルーヴだけは複雑な面持ちだった。

(俺も・・いつか、こんな風になれるのだろうか・・・)

心の何処かで、そんな日は来ないと囁いている気がした。



続く
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【2011/10/01 22:38】 | オリジナル小説
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No title
LandM
あ、この世界は世界に魔力があるって概念なんですね。
・・・ということは魔力は一種の資源であって、それに対する奪い合いっていうのは凄く理解できますね。かなり勉強になります。
ようやく復帰です。またよろしくお願いします。

Re: No title
mimi346
お久しぶりです。
コメントありがとうございます^^


本編で説明するのを忘れていたんですが、1つの魔法をつくるのには大気中に混じっている『魔力』を引き出し、そこから属性などの設定をしてつくっていかなければならないようです。
つまり、世界にある魔力がないと魔法がつくれないという事です。
説明不足ですみません・・・。

復帰おめでとうございます^^
LandMさんの小説、いつも楽しみにしてます。
個人的には、いつも論理的で一風変わったアルファンガード(シェクスピア)さんがメインとして出てきてくれて、彼女が好きな私にとっては嬉しいです。

余計な話が入りましたが、こちらこそよろしくお願い致します。
いつもブログに足を運んでくださり、その上コメントまでしてくれるなんて、本当に嬉しい限りです。
最近、あまり更新できなくなってきましたが、お付き合いしていただければ幸いです^^

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この記事へのコメント
No title
あ、この世界は世界に魔力があるって概念なんですね。
・・・ということは魔力は一種の資源であって、それに対する奪い合いっていうのは凄く理解できますね。かなり勉強になります。
ようやく復帰です。またよろしくお願いします。
2011/10/05(Wed) 07:36 | URL  | LandM #19fPlKYU[ 編集]
Re: No title
お久しぶりです。
コメントありがとうございます^^


本編で説明するのを忘れていたんですが、1つの魔法をつくるのには大気中に混じっている『魔力』を引き出し、そこから属性などの設定をしてつくっていかなければならないようです。
つまり、世界にある魔力がないと魔法がつくれないという事です。
説明不足ですみません・・・。

復帰おめでとうございます^^
LandMさんの小説、いつも楽しみにしてます。
個人的には、いつも論理的で一風変わったアルファンガード(シェクスピア)さんがメインとして出てきてくれて、彼女が好きな私にとっては嬉しいです。

余計な話が入りましたが、こちらこそよろしくお願い致します。
いつもブログに足を運んでくださり、その上コメントまでしてくれるなんて、本当に嬉しい限りです。
最近、あまり更新できなくなってきましたが、お付き合いしていただければ幸いです^^
2011/10/08(Sat) 18:29 | URL  | mimi346 #-[ 編集]
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