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古い書物の匂いと、涼しく感じる秋の風。
2つが交じり合って、青年の心を落ち着かせる。
『ホワイトツリー第1部署』・書物室・・その最深部に当たる地下室に、とある青年が佇んでいた。

彼の名は、ルーヴ・キリーダ。
この第1部署に唯一所属している、黒騎士だ。

ルーヴは今、ある物を探していた。

(古代魔法・・・)

そう、『古代魔法』に関する書物である。

『剣魔法・入門』、『世界の魔法事典』・・・。
そんな本が詰められている本棚を見つめていたが、ルーヴはやがて諦めたように溜め息をついた。
「・・・・無い、か・・・」

どんなに探しても、『古代魔法』に関係した情報は見つからなかった。
『古代魔法』自体が希少な存在であるからなのか。
それとも、何らかの理由で『古代魔法』に関する情報を隠蔽しているのか。
どちらにせよ、『古代魔法』について書かれた本は見つからないのだ。

(『古代の魔物』・・あれは一体、何だったのか・・・)

あのおぞましい化物の姿を思い出して、身震いがした。
目の前の本棚に入っていた本を、意味もなく取り出して、本を握る手に力を込める。
震える手で本を棚に戻した時、地下室の扉が軋むような音を立てて開いた。

「ルーヴ、ここにいたのか」

「・・・騎士長」

現れたのは、白騎士長のオリオン・ヴィアズだった。
どうでも良いが、何故オリオンやエアルはよく書物室に来るのだろう。

オリオンはルーヴをじっと見つめた後、苦い表情になり、視線を外す。

「・・・・『騎士長』と呼ぶのは、やめてくれないか」

彼の言葉にきょとんとするルーヴ。
「騎士長は騎士長だ。それ以外に何があるんだ?」

「・・・その・・呼び捨て、とか」

少し恥ずかしそうに俯いたオリオンに、ルーヴは思わず吹き出してしまった。
まさか、彼がそんな事を言う人間だったとは。

「な、何故笑うんだ」
「・・・普通に考えて、呼び捨てはないだろう、呼び捨ては。あんたは白騎士長だろう?」
「ルーヴだって、黒騎士長だろう。立場は同じ筈だ」
むっとしたように反論してから、オリオンは黙って窓の外を眺めた。
それから、自分にだけ聞こえる声で呟いた。

「・・・・本当は、お前ともっと打ち解けたいんだ」

「・・・ん?何か言ったか?」
「いや、何でもない」
オリオンはかぶりを振ると、話題を変えた。
「そういえば、お前は何か探し物をしていたのか?」
「ああ。とあるものに関する本を探していたんだが・・此処には無いみたいだな」
「何を探しているんだか知らないが、この書物室にあるのは、見習いの騎士たちに役立つ本ばかりだからな。俺たちが欲しがる本はそうそう無いだろう」

オリオンが何か思いついたように本棚へと向かい、ルーヴも何気なくそれに続く。
真新しい地図を引っ張り出してきて、オリオンはそれをルーヴに見せた。
地図は真っ白で紛れもない新品なのに、周りに積もっていた埃が舞って、ルーヴは軽くむせる。
「隣町に、かなり大きな図書館がある。そこは結構歴史ある図書館でもあるから、お前が探している本もあるかもしれないな」
「そうか・・ありがとう。今度、暇が出来た時にでも行ってみる事にする」
「ああ」
オリオンは短く頷いたが、内心嫌な予感がしていた。

しばらく、暇なんて来ないような。
悪い意味で。

彼の予感は、その『悪い意味で』的中する事になる。


「エアルさーん!」

「あっ、バズ」

深い緑色の髪をした青年の声に、エアル・フィザーが振り向いた。

バズというのは、エアルの同僚である。
以前『化物』が出た時も、彼は懸命に動いてくれた。
エアルにとって、何でも協力し合える貴重な存在でもある。

ただ、その『化物』の一件があったせいか、ルーヴのことはあまり良く思っていないようだ。

「どうかしたの?」
駆け寄ってきたバズに尋ねると、彼は息切れもしないで言葉を紡ぎ出した。
あれだけのスピードで走ってきて、よく疲れないものだと感心する。
白騎士特有の重い鎧を着ているのに、大した体力だ。

「今、お客様いらっしゃったんですよ。騎士長に会わせてくれって・・・」

そんな言い方をするという事は、それなりに身分のある者だという事か。
「何て名前の人?」
「えっと・・あっ、あの人ですよ」
バズが名前を言う前に、その人物は現れた。

筋肉が引き締まっていて、体格の良い男だった。
顔は仮面のようなものを被っているせいで、よく分からない。

「初めてお目にかかる」
男はエアル達の前まで来ると、軽く会釈をした。

「我は、ウェン・ダ・シエル。『風』の剣士に属している」

「『風』の剣士・・・」

エアルは男を見つめ返して、彼の言葉に納得する。
その民族的な衣装は、確かに『風』の剣士の特徴とも言える。

「風」の剣士とは、『風』属性攻撃を得意とする剣士だ。
大きく分ければ、『光』の属性に属している。

「・・・オリオ・・白騎士長に会いたいのだと伺いましたが、どのようなご用件なのでしょうか?」

冷静に男に問う。
可能性は低いが、もしかしたら良からぬ事を企んでいるのかもしれないのだ。

ウェンは大きく頷き、低い声でその答えを出した。

「討伐に、協力して欲しいのだ。・・・禍々しい者たちを、討つ為の」

「禍々しい、者たち?それは・・」
誰の事なんですか、と聞く前に、先に男が言った。

「『炎』の剣士の事だ」



続く
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【2011/11/05 21:08】 | オリジナル小説
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