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一方。
落ち着いたベージュのソファと、高価そうな白いテーブルが中央に置かれた別室で、2人の女性が向かい合って座っていた。
普通の人間のエルザと、天使のミラジェーンだ。

奥には大きな窓があり、普段なら開放感のある部屋の雰囲気を作り出しているのだが、今ばかりはあまりその効果が発揮されていなかった。
緊迫感に押し潰されそうになりながらも、エルザは何とか堪える。

「・・・ルーシィやガジル、そしてジェラール・・彼らの正体について、貴女に話さなければならない時が来たの。貴女にとっては信じられない話になると思うけど、どうか・・落ち着いて聞いてね」

テーブルを挟んだ向こう側で、女性・・ミラジェーンが強い瞳で見つめてくる。
エルザも負けじと彼女を見つめ返した。

エルザの横に配置された白い棚の上で、時計の針がカチコチと時を刻む。
しばらく間を空けた後、真実が明かされた。

「彼ら・・それと、私も・・この教会にいる貴女以外の全ての人間は・・『天使』なのよ」

「・・・・てん、し?」

訳が分からない。

唐突に突きつけられた、理解不能の事実を前にして、思わず声が掠れてしまった。

何を言い出すんだ、この人は。

「・・・・『天使』?」
「そうよ。頭の上に光るわっかは無いけれど、皆綺麗な白い翼を持っているわ。良かったら、見る?」
そう言って何故か服を脱ぎ始めたので、エルザは慌ててミラジェーンを止めた。
光るわっかとか白い翼とかはどうでも良いから、早く『天使』とは何なのか教えてほしい。
訴えるような視線を送ると、ミラジェーンはのんびりした口調で「ああ、そうだったわね」と微笑んだ。
肝心な事を言うのを忘れていたようだ。

「天使っていうのはね、人間界を監視する役目を持っている・・簡単に言えば、そんな存在よ」
「・・・という事は、ジェラールは私を監視しに・・?」
「いえ、彼はただ事故で人間界に落ちただけよ。怪我をして動けなくなったジェラールを、貴女が助けた。違うかしら?」
急に話を振られ、エルザの身体がびくっと反応する。
「そ、そうです・・・。その後、ジェラールは行方不明になって・・・」

「・・・きっと、その時に彼は『悪魔』と契約を結んだのね」

「・・・・あく、ま?」

『天使』が出てきたと思ったら、今度は『悪魔』か。
脳内がファンタジーになってきそうだ。
頭の中でお花畑が展開され、蝶と天使が手を繋いでくるくる踊っている。

「あ、ごめんなさい。『悪魔』というのは、何らかの理由で人間界にいる天使を無差別に騙し、『契約』を結ばせ、地の底に堕とす存在よ。『契約』を結んでしまった天使は『堕天使』となり、最悪の場合・・命を落とす」

「・・・・何で、そんな事」

「彼らの動機は分かっていないわ。けれど、彼らが天使を殺そうとしているのは確か。これ以上、天使を殺させてはいけない。・・・だから、貴女にも協力してほしいの」

「協力・・?」
突然の申し出に、エルザは戸惑った。

人間の自分に、何が出来ると言うのだろう。
悪魔なんて、太刀打ちできる訳がない。
・・・それに、私は・・・

「貴女がジェラールを失って、落ち込んでいるのは知ってる。もう面倒事には関わりたくない・・その気持ちもよく分かるわ」
「・・・・・」
内心を言い当てられ、気まずそうに視線を外す。
そんなエルザに、ミラジェーンは優しく微笑みかけた。

「でも・・だからこそ、貴女に出来る事をして欲しいの」

「私に、出来る事?」

「ええ。貴女には、人間界での情報を提供して欲しいと思ってる。・・・私たち天使も、もちろん全力を尽くすつもりだけど・・警備にも当たらなければいけないし、正直言って全ての情報を集められる自信はない。だから、ずっと人間界に留まっていられる貴女にしか出来ない事よ」

エルザはミラジェーンの言葉には答えを返さず、何かを考えるように押し黙っていた。
それを見てミラジェーンは立ち上がり、棚の上に置かれた写真を取って、エルザに見せる。
写真には、今と全く変わらぬミラジェーンと、彼女と同じ髪の色をした少女が写っていた。

「・・・この、私の隣に写っている子は・・私の妹よ」

「妹さん・・ですか?」
エルザは写真に写った少女をまじまじと見つめる。
確かに、髪や瞳の色が同じだけでなく、顔もミラジェーンと似ている。

「・・・・妹は・・リサーナは、とても優秀な子だったわ。誰にも負けない、強い心と正義感を持っていた」

「・・・・・」
口を挟まず、黙って聞いているエルザ。
ミラジェーンはまるで独り言のように、遠くを見ながら話を続けた。

「・・・だけどある日、あの子は・・悪魔に恋してしまった。担当地区で偶然鉢合わせした悪魔に、一目惚れしてしまったの。・・・私はもちろん、リサーナの身を心配したわ。でもあの子は、私なら平気だからって、毎日のように悪魔に会っていた」

「・・・・・・」

「案の定、リサーナの恋心に気付いた悪魔は、彼女の気持ちを利用して、騙し・・挙句の果てに、殺した」

ミラジェーンが必死に涙を堪えているのが分かる。
その証拠に、彼女の肩が震えていた。

「私は、許せないの。リサーナを殺した悪魔を。天使を騙し、殺戮を繰り返す、悪魔という存在を。その悪魔を今こそ捕まえる為に、貴女には協力して欲しいの。ジェラールの為に、天使の為に・・そして、私の妹の為にも」

溜まっていた涙が、とうとう彼女の瞳から溢れ出した。
数滴の雨となって、手にしていた写真の上にぽつぽつと落ちていき、小さな水溜りを作る。
エルザは、顔を覆っているミラジェーンの手にそっと触れた。
ミラジェーンが顔を上げて、こちらを見る。

「分かりました。亡くなった妹さんの為にも、私に出来る事をさせてください」

真っ直ぐにミラジェーンを見つめて笑いかけると、彼女も涙が滲む瞳で笑った。



続く
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【2011/11/06 19:50】 | FT二次小説
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