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「『炎』の剣士の、討伐!?」

エアル、バズ共に口をぽかんと開けたまま固まってしまった。
何て唐突に・・物騒な事を言い出すのだ、この男は。
「左様。『討伐』などと言うと物騒だと思うかもしれぬが、ちゃんと訳もある。まずはそれを聞いて頂きたいと思う」
「・・・どうします、エアルさん?」
「うーん・・」
しかし、何の通達も無しにそんな事を言われても、こちらが困るだけだ。

ふと、彼の腹部に巻かれた包帯が目に入った。
その包帯はまだ真新しい物だったが、じんわりと血が滲み出してきていた。

・・・この傷は、何?

さらに、彼の足にも血が滲んだ包帯が巻かれている。
もしや、傷を抱えたまま無理してこの第1部署に来たのだろうか。
これはただ事ではなさそうだ。

「ではオリオンに、貴方が会いたいという事を伝えてみましょう」
「エアルさん、良いんですか!?」
驚くバズを無視して、エアルはウェンが何かを言う前に言葉を続ける。
「ですが、その前に医務室へ行きましょうか。その包帯を交換しなければいけないでしょう?」
「いや、我は・・」
「それに、貴方に訪ねたい事も山ほどあります。立ち話も難ですし、行きましょう」
にこりと微笑みかけると、ウェンは渋々といった様子で、エアルとバズの後に続いた。


「・・・かたじけない」
ウェンは顔を赤くしながら、治療をしている女医師・アナに言った。
ちなみに、治療をする為か、彼の仮面は取ってある。
「遠慮しなくて良いですから」
その様子を見ているエアルがアナの代わりに微笑んだが、ウェンはエアルの事などお構いなしにアナの方ばかり見ている。

・・・治療をして貰っていて恥ずかしいから顔が赤いのだとばかり思っていたが、どうもそうではないらしい。
その証拠に、先程からちらちらとアナを盗み見ている。
挙句の果てに、この発言だ。

「・・・・そ、それにしても・・貴方は何という・・な、ないすばでー」

「あらそう?私ってばプロポーション抜群だから」

褒められたアナは調子に乗り、わざわざ治療の手を休めてまでモデルのポーズをとっている。
「「・・・・・・」」
彼らの様子を見ていて、エアルとバズは呆れて物も言えない。
2人の楽しそうな会話を邪魔して悪いが、そろそろ本題に入らないといけない。

「・・・・それで、どうしてそんな大怪我をしたのですか?」
「お・・おお、そうであった」
ウェンはようやく緩んでいた頬を引き締め、治療の為に取っていた金属製の仮面を付け直した。

「・・・近頃、『炎』の剣士が不審な動きをしているという話を聞いた為、『炎』の剣士の部署に偵察に出向いたのだが・・・。運悪く見つかり、襲われてしまった。間一髪で最悪の事態は免れたのだが・・・」

彼の口はそこで止まり、眉を寄せて自分の腹部の包帯を見つめる。
どうやら、不覚にも負ってしまった怪我の事を恥じているようだ。
「何故、討伐をしようと思われたのですか?」
エアルの質問を聞き、ウェンは大きく頷いた。

「偵察の際、こんな言葉を聞きつけたのだ。・・・『風』の剣士を殲滅する、とな」

「「「!!」」」

場が凍りついた。

殲滅する、なんて。
それこそ、何て物騒な。

『炎』の剣士たちは、一体何を企んでいるのだろう。

「このままでは、『風』の剣士が根絶やしに遭ってしまうかもしれぬ。そこで、主ら白騎士の方々と協力し、討伐を行いたいのだ」

ウェンや、『風』の剣士たちの気持ちはよく分かる。
誰だって同じ剣士の仲間を失いたくないし、『殲滅する』なんて言われて黙っていられる筈がない。

だが、討伐とは戦争だ。

戦争と同じくらい・・いや、それ以上の規模の戦いとなる。
死人も多数出るどころか、大勢死ぬだろう。
2つ返事で承諾できるような話ではない。
果たして、オリオンが許可するのかどうか・・・。

「ではとりあえず、オリオンに相談してみましょう。ウェンさんには今日1番泊まっていって頂いて・・」
エアルが提案を持ちかけた時、医務室の扉が静かに開いた。

「その必要はない。全て聞いていた」

一際目立つ白銀の鎧を身に纏った、白騎士長・オリオンが其処に立っていた。

「!!オリオ・・騎士長!」
「・・・・黒騎士長も」
バズが不満そうな顔をして、後から入ってきたルーヴを睨む。
ルーヴがオリオンと一緒に来たのが気に入らないらしい。

「初めてお目にかかりまする。我はウェン・ダ・シエル。『風』の剣士長の代理として、お邪魔させております」
改めて挨拶をし、深々と丁寧にお辞儀をするウェン。
さすがに、一介の白騎士ならともかく、白騎士長が相手だと対応が違う。
「私は白騎士長を務めている、オリオン・ヴィアズです。失礼ながら、この医務室の外にて貴方の事情を聞かせて頂きました」
ウェンがごくりと唾を呑む音がする。
多分、オリオンはこの後結論を言うだろう。
エアルたちも、身動き一つせずオリオンの言葉に耳を傾ける。

「確かにその旨は受け取りました。『炎』の剣士の討伐に協力致しましょう」

ウェンの表情がぱっと明るくなった・・ような気がする。
金属の仮面を被っているせいで、実際の表情は分からない。
一方のエアルたちは、ほっとしたような、けれど決して晴れた表情ではない、複雑そうな顔をしていた。

「これ以上無き敬意を表します」
「あまり堅くならないでも良いですよ。これから共に戦うのですから」
柔らかく笑うオリオン。
彼の隣では、同じく外で立ち聞きをしていたルーヴが瞳を閉じて考え込んでいた。

(『炎』の剣士が・・『風』の剣士に盾突く、か)

どうしても違和感を覚えてしまう。

相性的に言えば、『炎』に相反するは『水』。
必然的に『水』の属性と仲が悪くなる筈だ。

一体、『炎』と『風』の剣士の間に何があったのだろうか。


「・・・・では、3日後の午前5時半に、『グリンディ第1部署』に集合して欲しい」

話し合いが終わり、ウェンは自分の部署へ報告に帰ろうとする。
だが、扉に手をかける寸前でルーヴに声を掛けてきた。

「主は、この部署に唯一所属しているという黒騎士長か?」

「あ、はい」
少し曖昧な返事となってしまった。

唯一も何も、普通白騎士の部署に黒騎士がいるなどありえない。
これはあくまでも特例だ。

「少し、話がしたいのだ。・・・もしこの後空いているようだったら、我と共に来て欲しい」

特に予定は無かったので、ルーヴは不思議そうな顔をしながらも黙って頷く。
そして2人は、先に外へ出て行った。

「・・・あの2人、何か接点があったっけ?」
「さぁ・・・。無いと思いますけどね」
エアルとバズも首を傾げながら、医務室を出る。
彼らに続いてオリオンも、アナに一礼してから外へ出た。

誰もいなくなった医務室で、アナがぽつりと呟く。

「・・・討伐、か」

意味深な表情になって、誰かに問いかけるように彼女は言った。

「まさかあんたが、あんな事を企むとはね・・・」

静かな医務室に、彼女の言葉だけが虚しく響いた。



続く
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【2011/11/29 22:18】 | オリジナル小説
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No title
LandM
確かに討伐と言う言葉は本来には昔に使われていた言葉ですよね。
結構政治的道義から、討伐から平定と言う言葉を使うようになってきた歴史的経過がありますからね。

・・・まあ、最近ではどちらも普通の言葉として使われますけど。


Re: No title
mimi346
お返事遅くなってすみません!

・・・知りませんでした・・。
いつもLandMさんには勉強になっています。
本当に無知なガキですみません・・・。

コメントありがとうございました^^

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コメント
この記事へのコメント
No title
確かに討伐と言う言葉は本来には昔に使われていた言葉ですよね。
結構政治的道義から、討伐から平定と言う言葉を使うようになってきた歴史的経過がありますからね。

・・・まあ、最近ではどちらも普通の言葉として使われますけど。
2011/11/30(Wed) 07:34 | URL  | LandM #19fPlKYU[ 編集]
Re: No title
お返事遅くなってすみません!

・・・知りませんでした・・。
いつもLandMさんには勉強になっています。
本当に無知なガキですみません・・・。

コメントありがとうございました^^
2011/12/04(Sun) 18:27 | URL  | mimi346 #-[ 編集]
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