主にFAIRY TAILの二次小説とオリジナル小説を書いているブログです。CP要素が含まれておりますので、苦手な方はご注意ください。
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どこにでもありそうな、木造2階建ての小さなアパートメント。

青年は、錆びかけた金属製の階段を軋ませながら踏みしめていき、2階の一番奥にある部屋の前で歩みを止めた。
慣れた手つきで鍵を開け、部屋の中に足を踏み入れる。

「ただいま、エルザ」

その呼びかけに答えるように、女性が慌しく駆け寄ってきた。

「お、おか、おかえり・・ジェラール」

顔を真っ赤に紅潮させて俯く彼女・・同居人を見て、ジェラールは思わず微笑んだ。


2週間くらい前から、エルザとジェラールは同居を始めていた。

お互いのギルドの仕事も一旦休止し、常に危険が伴う仕事を忘れ、2人は静かで穏やかな生活を楽しんでいる。
ただ、仕事をしないとお金が入ってこないので、近所の雑貨店でジェラールがバイトをしているが。

1LDKの、古いが比較的綺麗な部屋。

一緒に起きて、一緒にご飯を食べて、一緒の部屋で寝て・・・。

決して豊かではないけれど、ほんのささやかな幸せ。

2人でずっと一緒にいられるなら、それで良い。


ジェラールは、未だ俯いたままのエルザの額に、ただいまのキスでもしてあげようと腰を屈めた。

が、それは突然の爆発音によって阻まれてしまう。

ボンッ、という爆音に2人は身体を飛び上がらせた。
「今のは・・?」
「あ、しまったっ」
一瞬で顔を青くさせ、エルザが台所に走っていく。

ジェラールも彼女の後を追って台所に入ると、そこはすでに惨劇の舞台と化していた。
水道の近くに設置された竃を中心として、黄色い物体が部屋の四方に飛び散っているのである。

「・・・・また派手にやったな、エルザ」

1つ溜息をつくと、ジェラールはその無残な物体を拾って、生ごみを入れる袋に集めた。
こんな事は、もはや一度や二度ではない。
慣れてしまった。

フライパンも床に落ちている所を見ると、多分卵を焼いていて失敗したのだろう。
何をどうしたら爆発してしまうのか、全くもって理解できないが。

「・・・・すまん。また卵の中に変な物を混ぜてしまったかもしれない」

「・・・・・・」

・・・その何が入っているのか分からない玉子焼きを、俺は食べさせられる所だったのか。

爆発するといえば、水素しか思い当たらない。
だが、水素をどうやって入れるのか。
どうやったら入るのか。

「本当に、毎回毎回・・すまないっ・・・」
「別に謝らなくても大丈夫だよ。料理なんて、やっているうちに覚えられるさ」
涙目で頭を下げるエルザの髪に触れ、撫でてやる。
しかし、エルザはまだ納得がいかないようだった。

「でも・・私は女なのに・・料理1つもこなせないようじゃ、その・・・」

「その?」

「・・・ジェラールの、お嫁さんに・・良いお嫁さんに、なれないだろうっ」

恥ずかしかったのか、後半はやけくそになりながら吐き捨てた。

ジェラールはきょとんとしてから、すぐに表情を崩す。

「な、何がおかし・・!!」

ちゅ、と唇が触れる音がした。

驚いたエルザは、電光石火の勢いで後退する。
部屋の中央に置かれたテーブルに腰がぶつかり、彼女は痛そうにそこを擦った。

「エルザがそんなにストレートに感情ぶつけてくるって、珍しいな」

至って冷静にジェラールが言う。

「ななな、何でキス・・・」
口付けされた額を右手で押さえながら、エルザは口篭る。
さらに、先程の言動を指摘されたことで、彼女の顔が見る見るうちに赤くなっていく。
それはあれだ、その、などと言い訳を並べているエルザの頭を、ジェラールはもう一度撫でた。
エルザはさらに混乱する。

「さっきのキスは、しそびれた『ただいま』のキスだよ」

「・・・・・」

「・・・俺は、エルザが料理できない事なんて、全然気にしてない。ただ、エルザが笑ってくれるだけで・・俺は幸せだ」

「ジェラール・・・」

「俺たちは折角同居してるんだろ?だったら、2人で助け合えば良いじゃないか。何も1人で抱え込む事なんてない。エルザはいつも、1人で頑張りすぎなんだよ」

大好きな彼女を抱きしめると、エルザはぼそっと呟いた。

「私も、お前と同じく・・今が一番幸せだ」

身体を引き離し、2人は顔を見合わせて笑った。

「じゃあ、料理・・作り直そうか。俺も手伝う」
「ありがとう。・・・お前も、バイトの事で何か悩んでいたら、何でも言ってくれ」

2つの影が、台所に並んだ。


貴方を、ずっとずっと愛してる。

だから自分も、愛されているんだ。


1LDKの、小さな部屋で。

2人暮らし、はじめました。



「し、しまった!!今度は焼いていたパンが爆発した!」

「・・・・根本的な問題は、その買ってきた材料じゃないか?」



終わり


↓近況等は、追記にて


お久しぶりになってしまいました。

今回はどうしてもこの話が書きたくて、本当ならオリジナル長編を進めるはずが、二次小説の短編を書いてしまいました・・・。
もしオリジナルの方を見たかったという方がいらっしゃいましたら・・ごめんなさい。


VOCALOIDに詳しい方は分かるかもしれませんが、この話はタイトルに文字ってある通り、「1LDK」という楽曲が元ネタです。

話の始まり方が似ていたり、曲中の歌詞に似た言葉が入っていたりします。

本当は百合曲なんですが、どうしてもジェラエルで書きたくなったので。


久々に上手くまとめられた気がします。
書いていて、すごく楽しかったです^^
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お久しぶりになってしまいました。

今回はどうしてもこの話が書きたくて、本当ならオリジナル長編を進めるはずが、二次小説の短編を書いてしまいました・・・。
もしオリジナルの方を見たかったという方がいらっしゃいましたら・・ごめんなさい。


VOCALOIDに詳しい方は分かるかもしれませんが、この話はタイトルに文字ってある通り、「1LDK」という楽曲が元ネタです。

話の始まり方が似ていたり、曲中の歌詞に似た言葉が入っていたりします。

本当は百合曲なんですが、どうしてもジェラエルで書きたくなったので。


久々に上手くまとめられた気がします。
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【2012/02/08 22:03】 | FT二次小説
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