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紅の少年が地面に降り立った途端、『炎』の剣士たちの中からどよめきが起こる。
「おおっ!」
「兄さん!」
「兄貴!」
少年は自分の仲間たちの方を見て、微かに笑った。

どう見ても少年より年上の剣士たちに、これほどまでに慕われている。

まだ年端もいかぬ子供だからと言って、舐めてはいけない。

この少年は間違いなく、実力者だ。

「すまないが、此処を通してもらえないか」
オリオンが先に一歩前に出て、言った。
少年は白騎士長を訝しげに睨む。
女のように整った顔立ちに皺が刻まれる。

「・・・お前たち白騎士は確か、『風』の剣士たちに加担しているんだったな。悪いけど、敵を通す訳にはいかない」

声変わりをした低い声で、少年はあくまで冷静に首を振った。

「そうか。だが私も、君のような少年を無闇に傷付けたくはない。出来るだけ、穏便に済ませたいんだ」

少年が見た目の年齢以上に大人びている事に気付いてか、オリオンの口調が微妙に厳しくなる。

「オレも、引く気はないよ」

不敵に笑った少年の小さな手から、紅い光が零れ落ちる。
目を向けると、腰に下げていた鞘から剣がすらりと抜かれた。
少年の装備は、鉄の鎧が胸板や手首に付いているだけだが、その剣だけが異常に紅く光っていた。

これほどの激しい感情を、ルーヴは感じた事がなかった。

おそらくこの少年は、何かを成し遂げる為だけに戦っている。

ただその目的の為に、強くあろうと必死になっている。

ルーヴはそう確信した。
そして、剣を抜く事を躊躇しているオリオンの代わりに、前に出る。

「騎士長、下がっていてくれ」

「ルーヴ」
「あんたが無駄に魔力を消費する場所ではないだろう?」
オリオンの方には振り返らず、『炎』の剣士たちに向かって皮肉っぽく笑う。
「何だと」
少年が鋭く目を光らせた。

思惑通り、敵は挑発に乗ったようだ。

後は、この場を片付けるだけ。

「・・・気をつけろ、ルーヴ」
「ああ」
短く頷くと、ルーヴも漆黒の剣を抜いた。
木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日に当たって、刃がぎらりと鈍く光る。

「はっ、天下の黒騎士様は余裕って訳か」

紅蓮の炎が、突然牙を剥いた。

「召喚・『紅竜(ファイアドラゴン)』!!」

まさに竜のような速さで、小さな身体が突進してくる。

「召喚・『黒猫(ダークハンター)』!!」

灼熱が、空間をゆらりと歪ませる。

凄まじい熱風の中、ルーヴの剣は見事攻撃を受け止めた。

だが、相手の動きを止める筈の剣魔法は、炎竜の流れを止められない。

「・・っ!」
ルーヴの表情に、ほんの少し焦りが滲み出た。

少年はそれを見逃さず、次の札を切り出した。

「『紅乱舞』!!」

赤が、躍る。

激しい炎が、花のように。

花は一瞬にして散った。

「『闇空間(ダークドーム・スライサー)』」

漆黒に飲み込まれるようにして、炎が消滅する。

「・・・ちっ」

この体勢では不利だと判断したのか、少年は軽やかなバックステップでルーヴから退いた。

「いきなり敵意を剥き出しにしたな」
余裕を浮かべた表情で、ルーヴが微笑む。
少年も負けてはいなかった。
鋭い眼光を迸らせながら、無言のままルーヴを睨む。

表には出していないが、ルーヴは内心驚いていた。

まさか、ここまで魔力が高いとは。

剣魔法の中で一番威力の低い召喚魔法だというのに、あの凄まじい炎は何なんだ。

ルーヴの召喚魔法と同等・・いや、ルーヴを凌ぐほどの威力だった。

オリオンのいう通り、気を引き締めなくては・・やられるかもしれない。

「・・・元々、黒騎士という存在は良く思ってないんだ」
先程のルーヴの問いに答えるように、少年が呟いた。

「オレたちより実力も魔力も遥かに下の奴が、自分は強いだの正義だのと成り上がっている。まだ白騎士の方が性質が良い。・・・お前らは、悪魔に身を売った人間の癖に」

誰が言い出したのか知らないが、黒騎士は悪魔に身を売った存在だと思い込んでいる者もいるらしい。
『闇』の魔法を扱っているせいだと思うが。
少年もそういう類なのだろう。

罵倒の言葉を受けながら、ルーヴの表情はぴくりとも動かなかった。
ただ、目を細めて少年を見つめる。
冷たい表情で。

それが気に障ったのか、少年の炎がまた膨れ上がった。

「・・・『風』の剣士だって同じだ・・オレたちより弱くてずる賢い癖に、自分たちは『光』の眷属だと成り上がって・・!」

「貴様!」
『風』の剣士の1人が敵意を剥き出しにしたが、少年は耳も貸さない。

「ちょっと『闇』に属しているから何なんだ!!オレたちだって人間なんだよ!!黒騎士と一緒にするなっ!!」

最初に攻撃してきた時の倍はある炎が、早くも少年の周りで炸裂した。
憎悪で正気を失ってきている。

ルーヴは冷たい表情のまま、闇を纏った剣をかざした。

一瞬遅く、目にも留まらぬ速さで駆け抜けてきた少年の剣が、火花を散らせ弾け飛ぶ。

確実にやれると思い込んでいた少年は、ぎょっと目を剥いた。

紅の剣は『炎』の剣士たちの近くで落下したが、剣士たちは呆然とルーヴたちを見つめたままだった。
白騎士や、『風』の剣士たちも同じ状態だった。
ただオリオンだけが、興味深そうに「おお」と感嘆の声を漏らした。

「・・・ご愁傷様、天下の『炎』の剣士様?」

皮肉を込めて、先程少年が口にした言葉が繰り返される。
言い返す事も、剣を取り戻しに行く事も出来ず、少年はがたがたと歯を鳴らした。

見てしまった。

黒騎士長の、闇の一面を。

まさに、悪魔の微笑だった。

恐怖で全身から力が抜け、どすんと無様に尻餅をついてしまう。

ルーヴは漆黒の剣をくるくると手で弄びながら、後ずさる少年に近付く。

「お前、だから『風』の剣士に手を出す気になったのか?何の罪もない剣士たちに?」

少年は答えない。
否、答えられなかった。

「・・・残念ながら、黒騎士は悪魔に身を売った訳じゃないがな。これだけは言わせてもらう」

しゅん、と空気が切り裂かれた。
少年の首元に、細身の剣があてられる。

「黒騎士を舐めるな。俺たちの本当の闇を、甘く見るなよ」

剣に込める力が、少しずつ強くなっていく。
死への恐怖で、少年の頭は埋め尽くされた。

その時。

「姐さんを傷付けるなっ!!」

『炎』の剣士の中から、そんな声が聞こえた。

殺されかけている少年は、「馬鹿!」というように、そちらを睨む。

「・・・『姐さん』?」

ルーヴは、女のような顔立ちの『少年』を、改めて見つめたのだった。



続く


↓近況などは、追記にて


ちょっと無理矢理1話にまとめすぎたかな、と思います。

久しぶりで気合が入ったんでしょうね、戦闘シーンなどを書いていたら長くなってしまいました。
読み辛かったらごめんなさい。

ともかく、前回の追記で書いた通り、敵の意外な秘密が明かされ(かけ)て安心です。
いつも前々に予告してた癖に、結局やらずじまいになってしまうので(←最低)

今まで戦闘が皆無だった分、ここからどんどんバトルシーンを入れていきます。

やっぱりバトルを書くのは楽しいですね。
気合入れていきますよ^^(←いつも入れてろ)
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ちょっと無理矢理1話にまとめすぎたかな、と思います。

久しぶりで気合が入ったんでしょうね、戦闘シーンなどを書いていたら長くなってしまいました。
読み辛かったらごめんなさい。

ともかく、前回の追記で書いた通り、敵の意外な秘密が明かされ(かけ)て安心です。
いつも前々に予告してた癖に、結局やらずじまいになってしまうので(←最低)

今まで戦闘が皆無だった分、ここからどんどんバトルシーンを入れていきます。

やっぱりバトルを書くのは楽しいですね。
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【2012/02/10 22:24】 | オリジナル小説
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