主にFAIRY TAILの二次小説とオリジナル小説を書いているブログです。CP要素が含まれておりますので、苦手な方はご注意ください。
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*以前upした小説の改訂版です。
どうしても上手くいかなかったので、修正させて頂きました。
勝手ながら、修正前の記事は削除させて頂きます。

*前回と同じく、FT31巻のネタバレを含みます。
また、31巻のストーリーを前提として読んで頂けると有難いです。




ジェラール。

と、大好きな声が聴こえた。
振り向くと、大好きな彼女がこちらに駆け寄ってくる。
彼女を抱きしめ、自分も愛しい名前を呼ぶ。

エルザ。

腕の中の彼女の背はまだ低く、顔立ちが幼い。
髪も短い。
あの頃と同じように。

ああ、これは夢だ。
だって、今の自分の腕がこんなに細い訳がない。

それに・・・。

喉の手前まで出かかった言葉を飲み込み、彼は微笑んだ。

今は、忘れよう。

夢の中に浸っていよう。

そしてこのまま・・永遠に、幻想から抜け出せなくなれば良い。

彼女が、自分に向かって笑いかける。
自分も、彼女に向かい笑い返す。

淡いピンクの霧が、2人を包んだ。
2人を全てのものから護ってくれるかのようだった。

2人だけの世界。

この些細な時間が、幸せだった。

否、幸せなのだ、今。

もう一度彼女を抱きしめようと腕に力を入れたが、その前に押し返されてしまう。

呆然としていると、急に大人の女性の姿に変わった彼女が、すっと立ち上がった。

「そろそろ、行かなくては」

「行くって、何処へ」

「還るべき場所にだ」

短く告げると、彼女はさっさと歩き出す。
自分の方には振り向きもせずに。

霧が晴れ、背景は燃えるような赤い空に変わった。
彼女の緋色の髪が、空に溶けるように消えていく。

駄目だ。
これでは、『いつも』と同じだ。

最後の望みを賭け、待ってくれ、と声を張り上げ叫んだ。
すると、彼女が少しだけ振り向く。

寂しそうな笑みを浮かべ、唇だけが動く。

『さよなら』

「エルザ!」

腕を伸ばしたが、届かない。

ダイヤ型の銀色のピアスが、彼女の耳元で輝いて、


「エルザっ!!」

飛び起きるのと同時に、両足に激痛が走った。
痛みを堪え、傍にある椅子を手繰り寄せる。
車輪のついた椅子・・いわば、車椅子だ。

「・・・・また、あの夢か・・・」

額を押さえ、ジェラールは呟く。
そして、足を引きずりながら車椅子に乗った。
直後、部屋に2人の女性が入ってくる。

「ジェラール、調子はどう?」

「大丈夫?」

心配してくれる2人に、何でもない顔でかぶりを振った。
「ああ、大丈夫だ」

そう、と黒髪の女性が俯きがちに言う。
桃色の髪の女性の方も、無言で俯いた。

多分、彼女たちは分かっているのだろう。

自分が、『また』あの夢にうなされていた事に。

何となく気まずくなって、ジェラールは窓の外を見た。
蒼い空に、ぽっかりと白い雲が浮かんでいる。

ああ、あの時もこんな空だったなと、しみじみ思った。


自分がこの2人の女性によって『助けられて』から、2年となる。

2人の名は、ウルティアとメルディ。

2年前、牢に繋がれ瀕死の状態となっていた自分を脱獄させ、看護をしてくれた。
当時傷だらけだった身体も、徐々に包帯が取られていき、今では痕がほとんど目立たなくなっている。
だが、一部の傷は残ったままだ。

まず、足が動かない。
牢にいた時、あまり動けず、食事もろくにとれなかったせいか、ショックで麻痺してしまったらしく、全く動かないのだ。

それから、右目も視えない。
右頬に描かれた紋様が鬱陶しかったのか、或いは忌々しかったのか、評議員に刃物で切りつけられ、右目まで視えなくなってしまった。

何より、心の傷が残った。

牢で散々傷つけられた傷ではない。

流されるしかなかったとはいえ、罪から逃げたという意識。

ウルティアたちは、自分たちのせいで人生を狂わせてしまった人たちを救いたいのだという。
自分もその1人だから、せめて牢の外で穏やかに暮らしてほしいと。

だが自分は、逃げたくなかった。
出来るものなら、今すぐ牢に戻って罰を受けたい気持ちだ。
それが自分の、罪滅ぼしだと信じているから。

しかし、それをするのはウルティアたちに申し訳なかった。
だから、今ここでひっそりと暮らすしかない。

その苦悩が、ストレスになってきている。
自分の今の状態を知っていて、ウルティアやメルディは少し悔やんでいるようだから、余計辛い。


「ジェラール、悪いんだけど」
未だ外を見つめているジェラールに、ウルティアが話しかけてきた。
「そろそろ、この場所を発たないと。もう此処に来てから1週間になるし」
「・・・ああ、そうだな」
ジェラールは横を向いたまま返事をした。

今この場所にいる3人は全員、犯罪者だ。
あまり同じ場所に居続けると、何者かに感づかれる危険性がある。
そのため彼らは、定期的に寝床を変えていた。

「・・・今、辛いのは分かるけど」
今度はメルディが口を開く。
「今を乗り越えれば、きっといつか、幸せになれる日が来るから」
「・・・・そうだな、ありがとう」

いつか、か。

心の中だけで呟くと、脳裏にある人影が映る。

誰よりも大切な、誰よりも大好きな彼女。

エルザ。

自分が脱獄する前に、天浪島で行方不明となり、未だに生死は分からない。

アクロノギアとかいう黒竜に、天浪島は滅ぼされたのだという。
大半の人の話によれば、攻撃を受けた者は、生きてはいないだろうとの事だ。

どうして、彼女が。

エルザが、何か悪い事をしたとでも言うのか。

こんな自分を励まし、笑いかけてくれた彼女が?

どうして。
どうして。

むしろ、殺されるのは自分で良かったんじゃないか。
罪を犯した自分なら、殺されても誰も文句は言わないだろう。

だけど、何を言っても・・もう、彼女には届かない。

彼女の笑顔を、二度と見ることはできない・・・。

たった一度・・もう一度だけで良いから、エルザに逢いたかった。

自分を励ましてくれてありがとうと、たったそれだけ、お礼を言いたかった。

エルザがいなければ、もう生きる意味などなかった。

彼の中を、絶望が支配する。

何も出来ず、ただ口癖のように、彼女の名前を呟く。

「エルザ・・・」

逢いたい。

その言葉は、塩辛い涙の粒に溶け、消えていった。



中編に続く






もうすぐサイトが2周年となるので、その記念の小説とする事にしました。
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【2012/03/10 22:30】 | FT二次小説
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No title
LandM
2周年おめでとうございます。
再びやってきました。そういえば、リンクをお繋ぎしてもよろしいでしょうか。なかなかみみ様の小説を読めないでいるときも多いのですが、いつかみみ様の作品のキャラクターもかっこよくて、グッゲンハイムでの合作をしてみたいなあ!!・・なんて思っている日々でございます。実際にそれが動くは相当後になりそうですけど。今のうちに。。。と思いまして。

Re: No title
mimi346
ありがとうございます!
ここまでサイトを続けていられたのも、LandM様を初めとする皆様のお陰です!!
これからもどうぞよろしくお願いいたします^^

リンクですか!
こんなサイトで宜しければ、ご自由にどうぞ!
私も、今更ではありますが、LandM様のサイトをリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
ずっとLandM様のサイトをリンクしたかったのですが、なかなか言い出せないヘタレだったもので・・すみません;

が、合作・・!?
私なぞのキャラクターでよろしければ、ご自由に使っていただきたい気分です!
本当に光栄です!!
1年でも5年先でも待ってます^^

舞い上がってしまってすみません;
改めて、色々とご迷惑を掛けてしまうかもしれませんが、宜しくお願いいたします(*^^*)

長文になってしまい申し訳ないです。
コメントありがとうございました!

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コメント
この記事へのコメント
No title
2周年おめでとうございます。
再びやってきました。そういえば、リンクをお繋ぎしてもよろしいでしょうか。なかなかみみ様の小説を読めないでいるときも多いのですが、いつかみみ様の作品のキャラクターもかっこよくて、グッゲンハイムでの合作をしてみたいなあ!!・・なんて思っている日々でございます。実際にそれが動くは相当後になりそうですけど。今のうちに。。。と思いまして。
2012/03/11(Sun) 10:01 | URL  | LandM #-[ 編集]
Re: No title
ありがとうございます!
ここまでサイトを続けていられたのも、LandM様を初めとする皆様のお陰です!!
これからもどうぞよろしくお願いいたします^^

リンクですか!
こんなサイトで宜しければ、ご自由にどうぞ!
私も、今更ではありますが、LandM様のサイトをリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
ずっとLandM様のサイトをリンクしたかったのですが、なかなか言い出せないヘタレだったもので・・すみません;

が、合作・・!?
私なぞのキャラクターでよろしければ、ご自由に使っていただきたい気分です!
本当に光栄です!!
1年でも5年先でも待ってます^^

舞い上がってしまってすみません;
改めて、色々とご迷惑を掛けてしまうかもしれませんが、宜しくお願いいたします(*^^*)

長文になってしまい申し訳ないです。
コメントありがとうございました!
2012/03/12(Mon) 00:38 | URL  | mimi346 #-[ 編集]
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