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昼間でもうっそうとしている林の中を、リライは歩いていた。

・・・・・ここは、極悪非道と言われている『帝王』が治める『地区』のはずれだ。
というより、『帝王』の手を逃れた林とも言われている。
『地区』はいつも喧騒が絶えず、とても危険な場所となっているのに対して、この林は静かでのどかな場所なんだと思う。

どこかで何かを煮ているような香りがするのに気がついて、リライは足を止めた。
(・・・もうこんな時間か・・・)
多分、夕食の時間なのだろう。
リライはそのままUターンして、また歩き出した。

「ちょっと、リライ!これはどういうことなの!?」
住んでいるアパートに着くなり、管理人に怒鳴られた。
「・・・へ?何がですか?」
状況が飲み込めないリライは、呆然としている。
「何がって・・・、これ見ればわかるでしょ!?」
管理人はそう言ってリライの顔に紙を押しつけた。
その紙には、こう書いてあった。
『帝王殺害の容疑者・リライ』
その紙に貼ってある写真は、間違いなく自分だった。
「て、帝王殺害?なんで・・・私が?」
戸惑うリライだったが、管理人の表情は険しいままだった。
「はぐらかしても無駄だよ、リライ。
 あたしの妹が見たって言うんだから。・・・現場を」
違う。
私じゃない・・・!
(だいたい、見たって言うその妹も怪しい・・・)
管理人は深いため息をつき、リライをじろりとにらんだ。
「とにかく。あんたが犯人じゃないとしても、」
つまりこれは。
「・・・・出ていって欲しい」
そういうことか。


先ほど出たばかりなのに、リライはまた林の中にいた。
もう夕食の時間は終わってしまったのか、あたりは寝静まっている。
急すぎる展開に、リライはまだついていけない。
(これからどうしよう)
さすがにこの林は危険すぎる。
だが、リライはここ以外に居場所がなかったのだ。
その時。
がさっという音がした。
「!?」
反射的にリライは構え、辺りを見回した。
(・・・まさか、こんなところまで盗賊が?)
『地区』に潜んでいると言う噂は聞いていたが、こんなところにまでとは思ってもみなかった。
草むらから出てきたのは、一人の見知らぬ青年だった。
(・・あの服は・・・、帝王の使い!?)
「・・・君、リライという者を知らないか?」
(やっぱり、私を捕まえに来たんだ)
リライは名乗るべきか迷ったが、やはりここは正直に名乗ることにした。
「・・・・私です」
「そうか」
青年は無表情で答え、リライを見つめながら続けた。
「リライ。君は帝王殺害の罪に問われているな」
いや、何で呼び捨てなんですか、しかも名前で。
「はい」
とりあえず、そう答える。
「・・・お前は無実だ」
「それを伝えに来たんですか」
「いや、違う。それはまだ上には言っていない」
「じゃあ、なんで・・・・」
「俺が犯人だと言うことを伝えにきた」
青年が単刀直入に言った言葉に、リライは唖然とした。
「・・・・・」
「だから、お前は逃げて欲しい」
「どこに、ですか?」
「・・・あそこに、川があるだろう」
青年は奥の大きな川を指差した。
「あそこをたどって、上流まで行く。そして、長いつり橋があるからそこを渡って、『雪の山』のふもとの村まで行けばいい。
 そうすれば、そこで誰かが迎えてくれるだろう」
『雪の山』というのは、国で一番高い山だ。
青年は言葉だけではわかりにくいと思ったのか、リライに地図を渡した。
「じゃあ、俺はこれから上に報告してくる。
 ・・・多分、もうこれで俺に会うことはないだろう。じゃあな。無事を祈る」
青年はそう言ってすたすたと行ってしまう。
「ちょ、待ってください!!」
そこで青年が振り向いた。
「なんだ?」
「あの、・・ありがとうございました」
「こっちこそ巻き込んで悪かったな。じゃあ」
「・・・・」
リライはしばらく青年の行ってしまった方を見つめていたが、やがて歩き出した。
(・・・本当に、ありがとうございました)


険しい岩場を登り、大きな街を通り、海を抜けると、小さな町に着いた。
(・・・さっきの街は学校があったみたいだけど、ここは何の町なんだろう)
市街地を抜けると、大きな寮のようなところがあった。
(ここ、きっと冒険者の町だ・・・)
隣には武器や防具、その他日常品を低価格で売っているリサイクルショップがあった。結構大きい。
(・・ちょっと休もう)
そう思ってリサイクルショップの前にあるベンチに座った。
すると、ショップに小さな男の子が二人いるのに気がついた。
だいたい十歳前後ぐらいの男の子だ。
「店長さーん、この武器ちょうだい!」
たぶん弟であろう男の子が、無邪気に店長に話しかけている。
店長は渋い顔をしながら、苦笑いしていた。
「ロウ、無料では無理だ。あきらめろ」
兄らしき男の子は、弟・ロウを諭す。
「えー。でも欲しいよー」
ロウは地団太を踏みながら、駄々をこねている。
「ごめんね、ロウ。これは無料ではあげられないんだ」
ロウはむすっとしながら、兄に向かって反抗した。
「ルザキはずるいよ。自分はこんな立派な杖もらったくせにぃ」
ルザキという兄は、その言葉に言い返せないようだった。
「まあまあ。今度、もっと古くなったらあげるから」
「・・・・あの」
リライは気がつくと、店長に話しかけていた。
「あ、いらっしゃい」
「これ・・・私が買ってあげてもいいですか?」
「え!?でも、いいの!?」
兄弟はぽかんとした顔でリライを見つめていた。
「・・・はい。大丈夫で・・・・」
そう言いかけた時、リライのお腹からぐうーっと音がした。
「・・・・」
リライはばつの悪そうな顔で店長に向き直ったが、店長はとうとう吹き出した。
「あははは!結局あんた、何も食べてないんでしょ!ほら、これでも食べな!」
「な、なんかすいません・・・」
リライは急に耳元が熱くなった。
「・・・あの、もしかして寝てないんじゃ・・・?」
ルザキが心配そうな顔で覗き込んだ。
「え?そうかな・・・・」
その時、ロウが急に笑顔で飛び出してきた。
「ありがとう、姉ちゃん!」
「え、ああ、どういたしまして」
そう言いながらもらったパンを食べ始めた。

「・・・ところで、あんたこれからどこか行くのか?」
店長が皿を片付けながら言った。
「あ、はい。山のふもとの村に」
「ああ、あそこか」
「ご存知なんですか?」
「なにせ、あそこは質のいい魔石屋があることで有名だ。ほら、ウチの店にも置いてあるだろ?
 下流にあるあの街にもあるし」
「・・・そんなに有名だったんですか」
リライが感心したように言うと、店長は急に話題を変えた。
「そういえば、あんた『地区』から来たのか?」
「はい」
「そうか・・・」
話はそこで終わってしまった。

「じゃあ、気をつけるんだよ。あっちについたらすぐ休ませてもらいな」
「はい、こちらこそありがとうございました」
「ロウたちもお礼を・・・・って、ええ!?あんたたちもついていくのか?」
「ダメ?」
「い、いや別にいいけどさ。・・・もう帰ってこないのか?」
店長はさびしそうに聞いた。
「ちゃんと、たまには帰ってくるよ。ただ、この人一人じゃあれかと思って」
「・・・あんたのほうが弱いくせに・・・」
「い、いいだろ別に!とにかく、行ってくるな」
「・・・じゃあ、ちゃんと言うこと聞いとくんだよ。元気でな」
「じゃあね、店長さん!」


リライはそこで気がつかなかった。

ルザキが、林で会った少年にそっくりだったことに・・・。



続く
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【2010/06/27 16:36】 | オリジナル小説
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