主にFAIRY TAILの二次小説とオリジナル小説を書いているブログです。CP要素が含まれておりますので、苦手な方はご注意ください。
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「んごがごおおおおお」
「・・・・・」
猛烈ないびきをかき寝ている彼を見つめながら、彼女はぼんやりとしていた。
というか、今までに無いぐらい機嫌がいいことに自分でも少し驚いていたのだ。
「エールザー」
「何やってんだぁ?」
「・・・!!」
急に後ろから声をかけられ、エルザは戸惑った。
「あ、ああ、ナツがまだ起きないのでな、少し様子を見てきたらこの有様・・・・
 って、ルーシィお前何をやっているんだ!?」
そのエルザの言葉を無視して、ルーシィは鍵を取り出した。
「開け!双児宮の扉!ジェミニ!」
「なっ!?」
双児宮の星霊・ジェミニが現れたかと思うと、すぐさまエルザの姿へと変えた。
そして、しばらく何かを考えているように黙っていたが、また普段のジェミニの姿に戻った。
『あー、戸惑ってるねえ』
『”あの人”に会えるのが嬉しいんじゃない?』
「ル、ルーシィ!いいから早く・・・」
ジェミニは変身した人間の思考まで読み取る事が出来るのだ。
それでは、このままでは・・・
『”あの人”ねえ・・・』
『ナツは知らないからね・・・』
「・・・ルーシィ。そろそろ人が来るから、早くジェミニを・・」
「はいはい。閉じればいいんでしょ、閉じれば」
ルーシィはしぶしぶ承諾すると、
「ジェミニ、戻って!」
その言葉とともにジェミニは星霊界に戻ったのであった。
「・・・しかし、いつの間に私の姿をストックしていたんだ?」
「エルザが今朝、寝てるとき」
「はあ!?何で勝手に私の部屋に入ってるんだ!?」
「エルザだってナツの部屋に一番乗りで入ってたじゃん」
「う・・・でも、それとこれとは・・・」
エルザは返答に困っていたようだが、近くにいたグレイが最初に口を開いた。
「いいから早く行って来いよエルザ。あいつらが来ちまうぞ」
「・・・そうだな。じゃあ、くれぐれもこの事はナツには言わないでくれ」
「ああ。それでギルドのみんなにばれても困るしな。
 こいつも暴れそうだし」
「暴れそうって・・・。」
ルーシィが苦笑する。
「・・・・まあいいや。いってらっしゃい、エルザ」
「ああ」
「昼飯には間に合うんだろうな?」
「もちろんだ」
返事をすると、エルザは扉を開けギルドの入り口へと向かっていった。

「・・・グレイ」
「んあ?」
「”あの人”が・・・ショウたちに見つかったら、どうなるのかな・・・」
「なに余計な事心配してんだよ。これはむしろチャンスだろ」
「え?何の?」
「決まってんだろ。”あの人”とあいつらが仲直りするチャンス。
 運がよければ、”あの人”の記憶もちょっと戻るかも知れねえし」
「そうなるといいんだけどね・・・。ショウ達が誤解したままだと、ちょっと心配でさ」
「ま、ここはエルザに任しときゃいいんじゃねえか?
 ・・・とりあえず、俺たちはこいつを押さえとかねえと」
そう言ってグレイは、隣で何も知らずに寝ているナツを指差した。
「ああうん、そーだね」


(・・・これは、ちょっとやりすぎたかな・・・)
昨日、気合を入れて髪にクセをつけてみたのだが、どうも変な感じがするのだ。
(あああああ、どうしよう待ち合わせ場所がもうすぐ・・・)
急に心臓がどきどきしてくるのを感じ、エルザは慌てて深呼吸をしてみたが、落ち着くはずもない。
(まさか、来てないって事は・・・ああ、いるし・・・)
向こうにそれらしき人影を見てしまい、エルザはパニック状態になっていた。
(ど、どうしよう・・・こんなに動揺しているのは久しぶりだ・・)
一瞬『帰る』という選択肢が頭をよぎったが、さすがにそれはないだろうと思い直した。
「・・・エルザ」
久しぶりにその声を聞いた瞬間、エルザのパニック状態は頂点に達した。

「・・・・・・ジ、ジェラール。久しぶりだな・・」
(マズい!なんか声が妙に高ぶっている気がする・・・!)
エルザは更に動揺したが、相手は気が付いていないようだ。
良かったと安堵を付いたのもつかの間、目的を思い出して慌てた。
「え、えっと・・・。今日、一緒に来てもらいたいところがあるんだ」
「・・・?」
「いやあの・・・お前もその・・・」
エルザは口ごもりながらも、懸命に続きの言葉を搾り出していく。
「・・・・・・当てが・・・ないんだろ?ほら・・・出たばかりだしな」
「・・・別に、そんな事気にしなくても良かったんだけどな。一番悪いのはオレだったんだし。
 だいたい、今回だってエルザに助けてもらったんだ。これでは借りが返せそうにもない」
ジェラールは苦笑しながら言った。
「そ、そんなことこそ気にしなくていいんだ。これは私が好きでやっている事なんだし・・・
 こちらこそ勝手で申し訳ないと思っている」
「・・でも、正直嬉しい。これからはエルザの側にいられるし」
「!?お、お前はなにを言ってるんだ!」
気が付いたときには、もう手は出ていた。
「痛っ」
「あ・・・・・」
(本当に何をやっているんだ私は!?落ち着け!何を誤解しているんだ!?)
「ああ、いや、別に変な意味で言ったわけでは・・・」
「わ、わかっている。それより早く行かないと、昼に間に合わないぞ」
そう言ったかと思うと、今度はジェラールの手を掴み強引にギルドへ向かっていく。
「エ、エルザ?」
「・・・・・」
(はあ・・・本当に何がしたいんだ私は・・・)


もうすぐ「フェアリーテイル」のギルドに着くというところで、エルザはふと気が付いた。
「そういえばジェラール、お前嫌いな食べ物とかあるのか?」
意外な質問にジェラールは少し戸惑ったようだが、しばらくして口を開いた。
「一応。食べれる事は食べれるんだが、あえて言えばナスかな」
「ナ、ナス?何でだ?」
「なんでだかはわからないけど、昔嫌いだったらしい」
(昔、か・・・)
そういえば、ジェラールには昔の記憶がほとんど無いのか。
「・・・まあでも、この辺にはナスは栽培されてないし、たぶん無」
そう言いかけたとき、
「エルザー!おかえりー・・・・あ、もしかして話し中だった?」
ルーシィの声だった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
3人はしばらく無言で立っていた。


「・・・うおおおお!?」
「おう、やっと起きたのかよ」
「グレイ!?てめえ何勝手に人の部屋入ってんだよ」
「お前だっていつもルーシィの部屋に、勝手に上がりこんでんだろ」
「それはお互い様だろ!?」
「どうでもいいから、よく話を聞け」
「どうでもよくねえ!何気にスルーしてんじゃ・・・・」
「・・・・・”あいつ”が、帰ってきたんだよ」
グレイのその言葉に、ナツは一瞬ぽかんとしていた。
「”あいつ”?誰だそれ」
そういったとき、突然後ろから聞き覚えのある声が響いた。
「突然ですがここでクイズでっす!!”あいつ”とは誰でしょう?」
「ルーシィ!?何やってんだ!?」
ナツはそう言ってみたが、当のルーシィはスルーしていた。
「1番・ラクサス 2番・ミストガン 3番・例のあの人 4番・・・」
「3番!!」
「って、まだ4番言ってねえし!!即答かよ!?」
「てか例のあの人って誰だと思ってんの?」
「ん?ジェラールに決まって・・・・・・ってえええ!?あいつが!?」
「自分で言っといて・・・」
「今あいつどこにいるんだ!?」
「さあ?もう着いてるんじゃ・・・」
「マジか!?」
ナツは全速力で部屋を飛び出していく。
「あっ、おい!?ナツ、待てよ!」
「はああ、嫌な予感がする・・・」


「オイ待てそこの2人!!」
「ナツ!?なんで・・・」
エルザが振り向いたとき、ナツはすぐそこにいた。
「・・・・あれ?さっきまでジェラールいたよな?」
「ああ、いま全速力で逃げたぞ」
「なんでだよ!?」
「お前の表情からは殺気を感じる」
「そ、そうか?」
ナツは少し照れたように下を向いた。
「・・・で、”私の”ジェラールに何の用だ」
「・・・・・・・・・・”私の”?」
「か、噛んだんだ!正しくは”私と”だ!」
「へえ。”私の”ねえ・・・」
「ナツ、貴様・・・話聞いてないだろ」
「あー、はいはい。で、さっきの話の続きだけどさ」
「ああ」
「ジェラールと勝負してぇんだ。久々に」
「しょ、勝負!?何の」
「食い物で」
「・・・・・・・・・・・・・・・はあ?」
「あいつだってどうせ腹減ってんだろ!?だから、その・・・」
ナツが恥ずかしそうにして続きを言わないので、エルザは仕方なく続きの言葉を代わりに言う事にした。
「・・・たらふく食わせたいと。でも遠慮しそうだから、勝負しながら食わせようと」
「な、なな・・・」
「図星だな」
エルザはそこでにやりと笑った。
「お前も根は優しいんだから、素直にしてればいいのにな」
「別に、そんなのオレの勝手だろ!!」
「わかったわかった。じゃあ、ジェラール呼んでくるから食堂で待ってろ」
「お、おう・・・」


「ジェラールって食べるの意外と早いのね」
ルーシィはエルザに向かってそう言う。
「いや、腹が減ってたせいなのもあるのだろう。あいつは腹が減ると手の早さが10倍ぐらい早くなるからな」
「く、詳しいのね・・・」
「当たり前だ。小さいとき一緒に生活してたんだからな」
「・・・なんかそれ、言い訳みたいに聞こえるけど?」
「どういう意味だ?」
「・・・だから、エルザがジェラールの事好きだったから、そんなに詳しいんでしょ?いつも見てたんでしょ?」
「馬鹿かっ!?」
「エルザだって素直に気持ち伝えちゃえばいいのに。両想いは確実だから、大丈夫大丈夫」
「何が大丈夫なんだ!?ていうか、だから違・・・・・」
「がんばれ、エルザ。応援してるよ!」
ルーシィはそう言って席をはずしてしまう。
「そうと決まったら、今日の夜決行ね!鎧なんて着てきちゃ駄目だよ?それともキャンサーでも呼んであげよっか?」
「ひ、一人で・・・・・大丈夫だ」
気が付くと、そんな事を喋っていた。
「そう?じゃあ、頑張ってね!」
「お、おい!?」
エルザは呼び止めようとしたが、ルーシィは逃げるように去っていってしまった。
(なんか、大変な事になってきたな・・・)


『素直に気持ち伝えちゃえばいいのに・・・』
ルーシィの言葉が蘇ってきて、エルザは思わず頭を抱えた。
とうとう、ジェラールを呼び出してしまった。
『両想いは確実だから、大丈夫大丈夫』
(そうだ。大丈夫だ、きっと)
(・・・・多分・・・)
その瞬間、後ろから声をかけられた。
「お?エルザこんな時間に何やって・・・」
「うわあああああああっっっ!??」
「ぎゃあああああああっ!?」
「な、何だよー。驚かせんなよ・・・」
「それはこっちの台詞だ」
「ところで、何やってんだ?」
「何って・・・・」
言い訳を考えようとしたが、そんな暇はもうなかった。
「あ、エルザ。話って何だ?」
「・・・・・・・・」
自分はつくづく運が悪いなと、エルザはその時本気でそう思った。
本人が、来てしまった。
「ナ、ナツ。ちょっと、ギルドに戻っていてくれ。先に」
「なんでだよ?」
(・・・こいつは、こういうときは鈍いからな・・・)
「いいから」
「・・・わかったよ」
「本当にすまない・・・」

「で、話って?」
「ああ。・・・えっと」
「?」
「わ、わからないか?」
「すまない」
・・・・ここにも、鈍いやつがもう一人いた。
(早くしないと人が来るかもしれない・・・)
でも、なかなか勇気が出せない。
(このチャンスを逃したら、いつがあるんだ!?)
そうだ。言うんだ。
「私は・・・・・」
「・・・・」
「ずっと・・・・お前の事が・・ジェラールの事が・・・好・・・」

「好きだったんだ!」

・・・・・言った。

「・・・・・・エルザ・・・」
「返事は今じゃなくてもいいんだ」
「いや・・・」
「私なんかと付き合うなんて・・・よく考えた方がい・・・・」
「何を言ってるんだ、エルザ」
「え?」
「もう返事は決まってるんだ」
「・・・・・・」

「オレも、エルザの事が・・・好きだ」
「・・・!」
「・・・・・過去の事はどうしても思い出せない。小さい頃、エルザの事が好きだったのかさえもわからないし、 今までに酷いことをしてしまったという事も自覚が無い」
「そうだな・・・」
「だけど、お前はそんなオレにも普通に接してくれたし、何度も助けてもらえた。」
「・・・・・そんなこと・・」
「だから、今度はオレがエルザの事を助けたい。少しでも記憶を取り戻していきたいんだ」
「ああ・・・・。私もお前に教えてもらいたい事、教えたいことがたくさんあるんだ。だから・・・」

「これからは、同じフェアリーテイルの仲間として私と一緒にいてくれるな?」
「もちろんだ」


(ああ・・・・)
こうやって手を握ってもらえたのは、何年ぶりだろう。

あの時・・・
恐怖に震えている自分の手を、握ってくれたあの時・・・

またあの時のように、手を握ってもらえたら・・・
ずっとそう思っていた、この8年。

それがやっと、長い時間をかけて叶えられた。


「・・・・・ん?」
気が付くと、エルザはベットの上にいた。
(いつの間にか眠っていたんだな・・・)
そう思って、ふと隣を見ると、
「うわぁ!?」
ジェラールが寝ていた。
(な、何だこの展開は!?これはもしや・・・いやでも、それはさすがに・・・)
「・・・・・無いな」
彼の寝顔を見て、つぶやいた。

「・・・さて、私ももう一眠りしよう」
その時だった。
「・・エルザ・・・?」
「あ、ああ、起きていたのか」
「・・・いつか、星を見たいと思って、こうやって2人で寝て・・」
「・・・・」
「・・・前にも、同じような事があった気がするんだ・・・」
「そうだな・・・」


いつか、星を見ようと彼は言っていた。
それも、2人だけではなく、塔に捕らえられていた全員で。

その夢はとうとう叶わなかったけど。

今、2人だけなら、叶っている。


(今度は、ギルドのみんなで・・・街のみんなで星を見たいな・・・)

それが・・・・今の夢。



終わり
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【2010/07/21 19:30】 | FT二次小説
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