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ぐっすりと眠っていたようだ。
額はうっすら汗をかいているし、喉はからからに渇いている。
とりあえず何か飲もうと起き上がった時、部屋に誰かいる事に気付いた。
青い髪の・・エルザのよく知っている青年が、部屋の隅で壁に寄りかかっていた。
「エルザ、起きたのか」
「・・・何の用だ」
身体を起こした青年に素っ気なく尋ねる。
彼が自分を部屋まで送ってくれた事は、分かりきっているのに。
「今日はすまなかった。お前が帰ってきたのに、声も・・・」
「そんな事を聞いたんじゃない。用が無いなら帰れ」
相手の眉が悲しそうに下がる。
とぼとぼと玄関に向かい、帰り支度をし始めた。
「ジェラール」
慌てて引きとめようとした時、ジェラールがゆっくり振り向いた。
「俺がエルザを置いて行った事・・怒っているのか」
「違う。そうじゃなくて、私は・・・」
言葉に詰まった。
ジェラールがナツと付き合っているのかなんて事聞けないし、ただの噂話に過ぎなかったのかもしれない。
そうだ・・どうして自分は、噂を信じてしまったのだろう。
(私らしくも無い)
しっかりしろと自分に言い聞かせ、エルザはジェラールに向き直った。
「強く当たってしまってすまない。少し苛々していたんだ」
「やっぱりあの噂、信じてたのか」
ズキリと心臓が痛む。
すべてを見透かしているような表情でジェラールが見ていた。
「・・・あ・・その」
「良いんだ。そんな事じゃないかと思ってたから。・・・ナツと親しくしていたのは本当だし」
「・・・・・・」
その真実を伝えるために、彼は自分が起きるのを待っていたのだろうか。
とても申し訳ない気持ちになり、ジェラールに何度も謝るエルザ。
「エルザが悪いんじゃない。誤解されるような事をして俺が悪いんだ」
「・・・どうして、ナツと2人で仕事に行ったんだ?」
ふと疑問に思った事だった。
ジェラールとナツは仲が悪いという訳ではないが、2人きりで仕事に行くほど仲が良かったとも思えない。
なのに何故、誤解されてまで仕事に行ったのか。
「・・・・エルザにこれ以上、迷惑を掛けたくなかったんだ。俺の部屋代を負担してくれたのはエルザだし・・だからナツに相談してみたら、ナツがエルザの代わりに稼いでくれると言ってくれたんだ」
「これは私の好きでやってる事なんだから、お前は深く考えないで良いんだぞ。・・・私だって、お前と一緒に行きたかったのに」
つい本音が漏れてしまった。
いつも一緒だったのに。一緒なのが当たり前だったのに。
「本当にすまなかった。ただ、もう1つ理由があるんだ」
彼はそう言うと、鞄から小さな箱を取り出した。
紅いリボンがついた、プレゼント用に見えるフェルト生地のケース。
開けてみてくれと促されたので、素直に従いそっと開く。
思わず目を瞠った。
間違いなく、ケースの中身は指輪だった。
装飾こそ少ないものの、真ん中には小さな紅色の石がはめられていた。
エルザの髪と同じ色。
(まさか、ジェラールは・・私の為に・・・)
ぼろぼろと涙が零れ落ち、ジェラールはエルザの頬を指で拭った。
「・・・婚約指輪。良かったら、受け取ってくれないか」
先程までの怒りや苦しみが嘘のように消え、ただその言葉に頷いていた。

私達は幸せになれるんだ・・やっと。

ジェラールがエルザを抱きしめる。
8年に及んだ苦しみを、すべて取り払うように。

2人は今までに無いくらい、幸せそうに笑っていた。



終わり
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【2011/03/05 21:52】 | FT二次小説
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