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「ふぅ、まあこんなものだな」
天使の手当てを終えた女性は、うっすら汗をかいた額を手で拭う。
背中にある羽に気付かなかったのか、それとも無視しているだけなのか・・女性は平然と治療をしていた。
「・・・・ありがとう、ございます・・」
ぼんやりと呟いた自分を見て、訝しげに顔を覗き込む女性。
「疲れているのか?」
「・・・あ、いや・・」
何でもないと答えようとした時、自分の腹が鳴った。
決まり悪そうに視線を逸らしたが、女性が声を上げて笑い始めた。
「何だ、腹が減っていたのか。少し待っていてくれ、今準備してくるから」
慌てて引き止めようと思って女性の名前を呼ぼうとしたが、そういえばまだ名前を聞いていない事に気付いた。
「あの、名前は・・・」
「ん?ああ、私の名前はエルザ・スカーレット。エルザでいい」
エルザ、と口の中で呟く。
苗字の『スカーレット』は、確か『緋色』という意味だった気がする。
緋色・・そうか、エルザの髪の色か。
「お前の名も聞いてなかったな。何と言うんだ?」
「俺は・・・」
答えようとして、一瞬躊躇する。

人間に気安く名を名乗って良いのか?

まあ、良いか。それが駄目だと言う掟も無かったし。

「・・・・ジェラール・フェルナンデス」
「ジェラールと言うのか。お前らしくて良いな」
何が自分らしいのかよく分からなかったが、とりあえず黙って頷いておいた。
ふと、テーブルの端に置かれた赤い実に目が留まる。
あの時転がってきた、例の赤い果実のような物だ。
ジェラールの視線に気が付いたのか、エルザが赤い果実の名前を教えてくれた。
もっとも、間接的にだが。
「苺が食べたいのか?」
「・・・・イチゴ?」
初めて聞く名にジェラールはぱちぱちと瞬きを繰り返す。
苺という果実の名前を知らない事に、エルザはひどく驚いたようだ。
「い、苺を知らないのか?こんな美味しい果物を?」
「・・・あ、ああ・・。美味しい、のか?」
その言葉が不味かったらしく、彼女はがくりとうな垂れる。
「・・・・美味しいのに・・。苺を知らない・・・ああ、今時そんな人間がいたのか・・」
何か失礼な事を言われている気がする。
俺は人間では無いんだと言い返しそうになったが、すんでで気が付いて口をつぐんだ。

天使という存在がばれたら不味い。

そういう掟も無かったが、ばれたらかなり面倒な事になる。

それに。
エルザに嫌われたくない、という思いもあった。

「とにかく食べてみろ。早く。毒なんか入ってないから食べろ。そしてこの美味な果物に向かって土下座して、今まで貴方の存在を知らなくてすみませんでしたと謝るんだ」
何故そこまでするのか分からなかったが、とりあえず彼女に従って赤い果実を口に入れた。
途端に、口いっぱいに甘酸っぱさが広がる。
だんだんと爽やかな甘さも伝わってくる。
「どうだ?美味しいだろう」
満面の笑みでエルザが笑いかけた。
確かに美味しい。
だが自分にとっては、エルザの笑みの方が重要だった。
苺の葉がぱらりと落ちる。

自分の頬が熱くなっていくのを感じた。
心臓がばくばくと高速に脈を打つ。
ジェラールの心境には気付いていないようで、エルザは苺を食べるのに夢中になっている。

今なら。

今なら、エルザに手を伸ばす事が出来る。

そして・・・・

我ながら想像した事に恥ずかしくなった。
何を考えているんだ。
・・・それに、天使と人間が恋愛関係に陥る事は禁じられている。
もしそうなった場合、自分は天使ではなくなる。

抑えなければ。
好きだという想いを抑えなければ。

だが、エルザの表情を見る度に決心が揺らいでいく。

エルザの笑顔を見る度に。



続く
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【2011/03/24 20:23】 | FT二次小説
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