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昨日の夜。
ギルドで食事を取っていたジェラールに、朝から仕事に行っていたエルザが帰って来るのが見えた。
さすがのエルザも疲れたのか、何も言わずいきなりジェラールの隣に腰掛ける。
「お帰り。今日は随分遅かったな」
ジェラールはいつもと同じ口調で話しかけたのだが、対してエルザはかなり不機嫌だった。
「・・・早かろうが遅かろうが、私の勝手だろう」
「・・・・そうだな」
きっと疲れで苛々しているんだろう・・そう解釈したジェラール。
だが、何故かエルザは一段と声を荒げた。
「・・・何か、私に不満でもあるのか?」
「は?不満?」
自分は不満な事なんて言っただろうか。
「先程から、ふてくされた態度ばかり取っているじゃないか。私が遅く帰って来た事が悪い事だとでも言いたいのか?」
「何言って・・」
「もういい。私はこれで帰る」
急に変な事を言い出したかと思うと、急に帰ろうとする。
そんなエルザに段々腹が立ってきて、ジェラールもつい苛々してしまった。
「・・・勝手にすれば良いだろ」
数歩歩き出していたエルザの足が、ジェラールの一言によってぴたりと止まる。
「・・・・お前の方こそ、勝手にしろ。私はもうお前の事なんて知らないからな!」
ずんずんと足を踏み鳴らして、ギルドを出て行くエルザ。
彼女が出て行ってからしばらくして、ジェラールの思考が深い後悔で埋め尽くされた。


「・・・なるほどなぁ」
ジェラールの話を聞いていたグレイが、何とも言えない表情で頷く。
「確かにジェラールさんの言動にも誤りはあったと思いますが・・エルザさんもエルザさんですよね。何でそこまで苛々していたんでしょう」
グレイと同じく話を聞いていたジュビアは眉を寄せる。
「・・・俺にもよく分からない。いつもなら、こんな事にはならないのに・・・」
エルザにだって苛々している時はあった。
が、ここまで苛ついている彼女は初めてだ。

ちょうどその時、前方を歩いていたナツが叫び声を上げた。
歓声とも悲鳴とも取れない、妙な声だった。
「おおおおおおっ!!」
足を縺れさせながらも、必死でこちらに逃げてくるナツ。
「ナツ、どうし・・」
グレイが半分ナツを馬鹿にしながら尋ねた瞬間。

空気が、切り裂かれた。

ブォォォン、という凄まじい疾風と共に、ジェラール達の上に大きな影が現れる。
驚いて見上げると、その影は竜のような形をしていた。
「「「ドラゴンっ!?」」」
グレイ、ジュビア、ジェラールの3人が声を揃えて叫ぶ。
ずっと無表情だったエルザとルーシィも、ぽかんと口を開けたまま固まっていた。
「おーい!イグニールは何処に居るのか教えてくれー」
ナツだけが、嬉しそうに手を振っている。
「呼んじゃ駄目だよナツ!!」
「きゃああ!こっち来たぁぁ!!」
ハッピーとルーシィが同時に逃げ出す。
他の4人は険しい表情で構えた。

喧嘩がどうこうと言っている場合ではない。
本当に竜なのかどうか分からないが、とにかく戦わないと命の危険に晒される。

「行くぞ!!」
普段通りの厳しい声でエルザが走り出したので、ジェラールは内心ほっとしていた。

やっぱり、いつものエルザが一番良い。

「グォォォッ!!」
竜らしき魔物の咆哮。
硬そうな鱗を蒼く輝かせ、魔物が急下降してきた。
「うあっ!」
「痛っ!」
魔物が狙ったのは、逃げようとしていたルーシィとハッピーだった。
「・・・逃がす気はねぇってか」
歯を見せて笑いながら、グレイが呟く。
そして、今まで着ていたジャケットを脱ぎ、地面に放り投げる。
「出たっ!グレイの必殺技!」
「グ、グレイ様が・・脱・・・」
「できてる」
「誰とだよっ!!」
ハッピーに突っ込みながら、グレイは魔物に向かって駆け出した。
両手で構えながら、魔法を発動させる。
「アイスメイク・・『槍騎兵(ランス)』!!」
作り出された無数の氷の矢は、見事魔物に命中する。
その隙に、魔物の懐に入り込んでいたエルザも攻撃を開始した。
「換装・『黒羽の鎧』!!」
連続して攻撃された魔物は、バランスを崩して倒れる。
ジェラール達も負けじと魔法を発動した。
「『七星剣(グランシャリオ)』!!」
「『水流斬破(ウォータースライサー)』!!」
「開け、金牛宮の扉!タウロス!!」
「火竜の鉄拳!!」
4人の同時攻撃で、魔物は一時的に気絶したらしい。
止めを刺すのは誰か・・全員の視線が彼に集まる。
「・・・オイラ?」
「だって戦闘に参加してないの、ハッピーだけじゃん」
そうそう、とルーシィの言葉に5人が頷く。
確かに、とハッピーは急にやる気を出してきた。
「よーし!オイラもアレをやるぞぉ!」
「アレって?」
ルーシィの疑問には答えず、ハッピーは猛スピードで敵に向かって飛び、頭部を突き出す。

「猫竜の・・剣耳~!!」
ガコン、という鈍い音。
思い切り衝突したハッピーは、力が抜けたのかそのまま墜落する。

「「「「「えええええええ!?」」」」」
「俺のパクるなーっ!!」
何処かで聞いた事があるようなその技に、ブーイングの嵐を受けながらハッピーは目を回していた。

「・・・しかしまあ、呆気ないわね・・」
たったあれだけで倒れた魔物を見ながら、ルーシィは呆れながら言った。
「何だよ!竜かと思ったのによ」
皆をクエストに誘った張本人であるナツが、怒りながら魔物の頭を何回も蹴る。
「最初、S級クエストなのかと思ったぞ」
半ば笑いながら呟くのはエルザ。
彼女の横顔を見て、ジェラールはある決断をした。

「・・・エルザ、話があるんだ」
「・・・・話?」
訝しげにエルザが首を傾げる。
「いいから、来てくれ」
「お、おい!話を聞けっ」
強引にエルザの手を引っ張って行くジェラール。
引きずられるようにしてエルザもついて行く。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・大丈夫でしょうかね」
ジュビアは心配そうに2人の背中を見ている。
「・・・・何がだ?」
未だに気付いてないナツだけが、無邪気に尋ねた。


「ジェラール、話とは何なんだ」
「・・・昨日の夜の事だよ」
エルザはしばらくジェラールの目を見つめた後、思い出したようにぽんと手を叩く。
「ああ・・あれの事か」
「あれの事かって・・・エルザはそれで怒ってたんじゃ・・」
「・・・私は怒ってなんかないぞ?」
「・・・・は?」
「・・・・は?」
2人はお互いの顔を見て、疑問を浮かべる。
「・・・じゃあ、何で今朝から、ルーシィとこそこそ・・」
「あっ、あれはだな!」
急にエルザは焦ったように声を高くした。
「・・・・その・・・お前と・・」
「俺と?」
「・・・・・お前と・・・進展が、無いから・・」
恥ずかしそうに俯くエルザ。

・・・進展。
そう言われて、数秒後にジェラールはようやく思い出した。

1ヶ月前、エルザに告白された事を。
自分も何の戸惑いも無く、エルザの事が好きだよと告白をした。

だけどそれから、彼女は何故か自分の事を避けている気がしていたのだ。

一緒に帰ろうと誘えば、今日は忙しいからと先に帰ってしまう。
一緒に仕事に行こうと言えば、今日は違う人と行くからと断られてしまう。

そんな彼女の事がよく分からなくて、自分もエルザを無意識に避けるようになっていたのかもしれない。
彼女の気持ちがよく分からなくて、苛立っているようになっていたのかもしれない。

「・・・ごめんな、エルザ。エルザの事、よく分からなかったんだ。何で俺を避けるのか・・」
「避けている筈無いだろう!私だって・・ジェラールの事が分からなかったんだ。どう接すれば良いのか・・・」
「・・・お互い様、って事か」
ジェラールがエルザに向かって苦笑を浮かべる。
エルザも罰が悪そうに更に俯く。
「・・・・エルザ」
「?」
名前を呼ばれた事で顔を上げ、きょとんと自分を見つめるエルザ。
彼女の表情は、何とも可愛らしかった。
緋色の髪に触れてから、そっとエルザを抱きしめた。
「・・・な、何して・・」
「エルザって」
耳元に唇を寄せ、呟く。
「エルザって、こういう事が嫌いなのかと思ってたんだ」
「こういう事って・・・き、キス・・とか?」
自分で言ったくせに、エルザは「ジェラールの馬鹿」と背中を引っ叩く。
何でもかんでも手を出す癖はやめて欲しいなと、冷静に思った。

言葉通り顔を真っ赤に染めたエルザの唇に、自分の顔を近付ける。
「え、こ・・こんな所で」
「やっぱり嫌?」
「そうじゃなくてな、場所と言うものが・・」
色々と言い訳を付けて逃れようとするエルザを、逃がせまいときつく抱きしめる。
力が強すぎたのか、エルザは妙な悲鳴を上げる。
「・・・ごめんな」
「ジェラール、痛い」
「もう逃げない?」
「・・・・・」
ジェラールの問いかけにエルザは無言のまま。
「一瞬だから」
「・・・本当に?」
「本当に」
優しく笑ったジェラールの表情に安心し、エルザは渋々承諾したようだった。

ほんの一瞬だけ、2人の唇が重なる。

「・・・・・・」
「・・・・・・」
自分が誘っておきながら、やはり外でこういう事をするのは何となく恥ずかしかった。
少しだけ紅くなった自分の顔を気付かれないようにしながら、エルザの方を向く。
エルザは先程より顔を真っ赤にしてそっぽを向いていた。
「エルザ」
「・・・・ん」
「今日こそ、一緒に帰ろう」
「・・・ああ」
伸ばされたジェラールの手に、エルザの手が重なる。
そのまま2人は歩き出した。

自分達の帰る場所に向かっている2人の真上では、夕焼け空の中で小さな星が、淡く輝いていた。
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【2011/04/14 21:52】 | FT二次小説
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