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先程まで美しい夜空が広がっていたのに、たった数分で黒い雨雲が空を覆いつくし、土砂降りの雨が彼の身体に容赦なく打ち付けられる。
まるで自分の心の中を反映しているみたいだな、とジェラールは思った。

思わず家を飛び出して・・と言うより、能力を使って瞬間移動してきたが、これからどうしようか全く当てはない。
人間界に落ちた数日前と同じように、ジェラールは独りぼっちだった。

(エルザ・・・)
長い時間雨に当たっていたせいでぼんやりしてきた頭の中は、なお彼女の事でいっぱいになっている。

ずっと彼女の傍に居られれば良い。
何事も起きず、このまま平和な日々を過ごしていたい。
叶う筈のない小さな願いは、豪雨の中に消えていく。


「ぱんぱかぱ~ん!おめでとうございま~す!!」
「あいっ!」
わざとらしい効果音の後、突然ジェラールの前に2人の人物が現れた。
いや、そのうちの1人は人間の形をしていない。
どう見ても猫だ。

何より、1人と1匹の背中には、特徴的な黒い羽が生えていた。
ジェラールの記憶が正しければ、悪魔の羽だ。


天使の世界で、ルーシィという同年代の天使にこんな話を聞かされた事がある。
『ジェラール、”悪魔”って知ってる?』
『”悪魔”?ああ、背中に黒い蝙蝠みたいな羽が生えてて、尻に黒い尻尾が生えてる生物か?』
『そうそう。・・・悪魔ってね、実在するんだって』
『・・・まさか。あれはおとぎ話の中の生物だろ?』
『違うの。確かにこの天使の世界には存在しないけど、人間界でこっそり生きてるらしいのよ』
『こっそりって・・具体的に何をしているんだ?』
『・・・・人間界に落ちて、心に迷いがある天使をね』

闇に、堕とすんだって。


今更だが、こんな噂も思い出した。
『突然豪雨が降り出してきたら、それは近くに悪魔が現れるサイン』だと。

目の前に現れた悪魔達を睨み、ジェラールは身構える。
「何の用だ」
人の形をした悪魔は、けらけらと乾いた声で笑い出す。
「そんなに身構えるなよ、堕天使さん」
「俺は堕天使じゃない」

『堕天使』というのは、天使の世界での掟を破り、闇に堕ちた天使の事を指す。
自分はまだ、掟を破る行為はしていないはずだ。

「またまた~。寸前の事はしてるくせにぃ。あいっ」
猫の形をした悪魔も、片方の悪魔と同じように腹を押さえて笑う。
何がそんなにおかしいのか。
「・・・だから、何の用なんだ」
「決まってんだろ。お前と契約を結びに来たんだよ」
「あいさー」
「契約、だと!?」
ジェラールは思わず後ずさる。
『悪魔の契約』を結びに来たと言うのか。

悪魔と『契約』を結んだら最後、天使の世界での掟を破る事になり、即座に堕天使となる。
『悪魔』とは、天使を闇に堕とす存在なのだと、あの時ルーシィは言っていた。
何としてでも悪魔を振り払わねばならない。

「契約など、結ぶつもりは断固として無いぞ」
「んな堅い事言うなよ。・・・あの女、欲しくねぇのか?」
急に悪魔が彼女の話を持ち出す。
甘い囁きに一瞬心が傾いたが、持ち前の精神力で何とか持ち直した。
「そんな事は思っていない。俺がどんなに欲望を剥き出しにしようとも、エルザの心が俺に向く事は・・ある筈無い」
エルザ、と彼女の名前を気安く出してしまった事を、かなり後悔した。
1人と1匹の悪魔は、面白そうに自分を見つめる。
「へえ・・本当に、そう思ってんのか?」
「勿論だ」
「嘘だね。さっきキスしてたの、オイラ見てたよー」
「・・・なっ・・!?」
いつの間に。

「・・・・ほら、やっぱり欲しいんじゃねーか」
「あい。嘘つきは掟破りの元だよ~」
いちいち自分をからかうような悪魔達の言動に苛々してきて、ジェラールは密かに舌打ちをする。
これが悪魔の誘惑というやつか。
「ねえねえ、早く『契約』結ぼうよ。オイラ疲れてきたなぁ~」
「だな。じゃあ、結ぶつもりもねぇみたいだし、帰るかぁ」

これで、やっと悪魔達から離れられる。
ジェラールはそう思った筈なのに。

身体が、勝手に動いていた。

「ま、待ってくれ!!」

悪魔達は驚く事無く、分かりきっていたように振り向く。
はめられた、と直感したが、何故か自分の思い通りに身体が動かない。
口が、勝手に開く。

「お・・俺は・・・」
「・・・何だよ、はっきり言えよ」
「言えよー」

早く、楽になっちゃえよ。

悪魔の言葉が自分の脳を反芻する。

俺は。

「俺は、今・・悪魔と『契約』を結びたい」



続く
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【2011/05/05 20:51】 | FT二次小説
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