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数日後、エルザは漆黒のドレスを着てそこに立っていた。

教会。
無論、ここで結婚式を挙げる為だ。

「・・・・さん、エルザさん・・?」
はっと気付いて振り向くと、困ったような顔で水色の髪の少女がエルザの髪を結っていた。
「あ、動かないでくださいね。今やっている所ですから」
「す・・すまない」
エルザは慌てて正面を向く。
すると、大きな鏡に自分の顔が映った。

緋色の髪、赤に近い茶色い瞳。

容姿はいつもと同じなのに、表情だけはどこか浮かない顔をしている。

「・・・あの、どうかしたんですか?せっかくの結婚式なのに、陰気な顔して。グレイ様・・グレイさんを困らせちゃいますよ」
「・・・・・」
少女の口調は冷静だったが、どこか皮肉めいた言葉だった。

彼女の名はジュビア・ロクサー。
私の親友だ。

だが噂によれば、彼女も私の婚約者であるグレイが好きだったとか・・・。

(いや、噂を信じるのも良くない)
もやもやした頭の中をすっきりさせようと、エルザは手で頬を思い切り叩く。
後ろでジュビアが「だから動いちゃ駄目ですってば」と困惑した表情を浮かべた。
溜め息をつき、静かに目を閉じる。

最近、エルザの脳は、あの日の事ばかりを映し出すようになっていた。

『お前なんて、大っ嫌いだ!!』
思わずそう叫んだ後、彼は姿を消した。
確かに彼も悪かったと思うが、あの時自分は感情的になりすぎていた。

だって、キスされた事なんて、生まれて初めてだったから。

恥ずかしくて、頭が混乱して、こんな事をした彼が許せなくて、悲しくなって・・・。
色々な感情がごちゃ混ぜになって、あんな言葉を口走ってしまった。

その結果、これだ。
ジェラールは家に帰って来なくなり、エルザはもうすぐ結婚するというのに彼の事ばかり考えている。

「・・・エルザさん、何か悩みがあるなら相談に乗りますよ。と言っても、もうすぐ結婚式が始まるんですけどね」
エルザの髪を結い終えたジュビアは、隣の椅子に座る。

もしかしたら彼女は、自分の事を恨んでいるのかもしれない。
だけど、ジュビアは無二の親友だ。

エルザはジュビアに、この間の事を話してみる事にした。


話が終わると、ジュビアは困ったような表情を浮かべる。
「ファーストキスを奪われたって事ですか・・・」
「いや、それはどうでもいい。ただ・・あいつは今、どうしているのか・・ちゃんと生活できているのか・・それが気がかりなんだ」

自分のせいでジェラールが、もし・・・

今にも泣き出しそうな顔をしたエルザを見て、ジュビアは彼女の肩に手を置いた。
「エルザさん、気持ちは分かりますが・・今日は、結婚式なんですよ」
「・・・・・・」
「こういう日くらい、グレイさんの事を思ってあげたらどうでしょうか。・・・お見合いとはいえ、エルザさんだってグレイさんの事が好きだから、婚約を断らなかったのでしょう?」
「・・・・そう、だな・・」
消え入りそうな声で、エルザが呟く。
ジュビアはやれやれと首を振り、エルザにこう提案した。
「じゃあ、気分転換をなさったらどうですか?あんまり遠くに行く時間も無いですし、教会の周りを散歩するとか。この教会の庭に、とても綺麗な花が咲いているんですよ」
「・・・そうなのか?」
「ええ。私からグレイさんに言っておきますから、式の始まる30分くらい前になったら、控え室に戻っていてください」
そう告げると、ジュビアは部屋を去っていく。
「・・・・気分転換・・散歩、か」
目の前の鏡で自分の顔を見ながら、エルザは独り言のように言う。
席を立つと、彼女も部屋を出て行った。


来た時は気にも留めなかったので分からなかったが、この教会の裏には比較的大きな庭がある。
ジュビアが言っていた通り、教会の庭は美しかった。
現在の時間は午前9時。
庭に柔らかな日差しが降り注ぎ、その美しさをより引き立てていた。

「・・・・・」
その光景を目にしたエルザは、感動のあまり何も言えない。
本当に美しい。

ふと、庭の隅にある花壇に目が留まった。
花壇にも日は当たっていて、花達は全て可憐な花びらを咲かせている。
パンジーやチューリップなど、色とりどりの花が植えられた花壇に、エルザは歩み寄る。
近くで見ると、他にも小さくて可愛らしい花が咲いていた。
大きさからして雑草では無さそうだが、その花は小指の爪ほどの大きさしかない。
蒼い色をした花だった。
「・・・蒼、か・・」
思い浮かぶのは、彼の髪と瞳の色。
「ジェラール・・・」
彼を思い起こそうとして、やめた。

先程ジュビアが言っていた通り、今日は結婚式だ。
余計な事は考えないようにしよう。

「・・・それにしても、この花の名前は何と言うのだろう・・」
エルザがぽつりと呟いたとき、思いがけない返答が返ってきた。

「『ブルートリック』」

「・・・・え?」
何処かで聞いた事のあるような声に、ゆっくりと振り向く。
すると、そこには見覚えの無い青年が立っていた。

紫色の髪、淡い群青色の瞳。
右の額から頬にかけて描かれた、不可解な紋章。

青年と目が合った瞬間。

少女は、恋に落ちた。



続く
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【2011/05/15 17:15】 | FT二次小説
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