私は負傷者を癒したり、病気の者の為に薬草を処方したりする仕事に携わっている。
そう、一言で言えば医師だ。
激しい雨と、窓を割らんばかりの豪風が吹き荒れる、とある嵐の夜である。
私はいつも通り、患者のカルテの整理をしたりその日の帳簿をつけたりしていた。
炎のように揺らめきながら、ランプの中で蛍石が光る。
吊り下げられたランプの下で、書類にペンを走らせながらちらりと時計を見た。
(・・・もうこんな時間か)
短い針がローマ数字の2を指そうとしている。
そろそろ寝る時間だ。
私はペンを机の上に放り投げ、思い切り伸びをした。
最近寝不足のせいか、どうも体が重い。
さすがにもう急患は来ないだろうし、今日はこれで閉めて寝よう。
そう思っていた矢先、木製の簡素な扉が、ドンドンドンと激しく叩かれた。
あのドアは、先代から譲り受けた時から一度も修理していない年代物だから、優しくノックして欲しいのだが。
くだらないことを考えながら、扉を開けようと玄関へ向かう。
扉の叩き方から察するに、急患だろう。
崖から足を滑らせでもしたのか。
「今開けまーす」
またしても激しいノックをされたので、大きな声で返事をしてから扉を開けた。
そこには、小さな子供がたっていた。
所々焦げ、ボロボロになった衣服。
煤と血で汚れた顔。
・・・多分、崖から落ちただけではこんな状態にはならないだろう。
幼さのせいか、それとも汚れているせいか、顔立ちだけでは男か女か区別がつかない。
背中には、大きな革袋が背負われている。
この年頃の子供が持つにしては随分大きな荷物だ。
「どうかしたの」
私が訊ねると、子供は死んだような虚ろな瞳で私を見上げた。
「治療を、お願いします」
ただその一言だけを呟いて。
第1話へ続く
そう、一言で言えば医師だ。
激しい雨と、窓を割らんばかりの豪風が吹き荒れる、とある嵐の夜である。
私はいつも通り、患者のカルテの整理をしたりその日の帳簿をつけたりしていた。
炎のように揺らめきながら、ランプの中で蛍石が光る。
吊り下げられたランプの下で、書類にペンを走らせながらちらりと時計を見た。
(・・・もうこんな時間か)
短い針がローマ数字の2を指そうとしている。
そろそろ寝る時間だ。
私はペンを机の上に放り投げ、思い切り伸びをした。
最近寝不足のせいか、どうも体が重い。
さすがにもう急患は来ないだろうし、今日はこれで閉めて寝よう。
そう思っていた矢先、木製の簡素な扉が、ドンドンドンと激しく叩かれた。
あのドアは、先代から譲り受けた時から一度も修理していない年代物だから、優しくノックして欲しいのだが。
くだらないことを考えながら、扉を開けようと玄関へ向かう。
扉の叩き方から察するに、急患だろう。
崖から足を滑らせでもしたのか。
「今開けまーす」
またしても激しいノックをされたので、大きな声で返事をしてから扉を開けた。
そこには、小さな子供がたっていた。
所々焦げ、ボロボロになった衣服。
煤と血で汚れた顔。
・・・多分、崖から落ちただけではこんな状態にはならないだろう。
幼さのせいか、それとも汚れているせいか、顔立ちだけでは男か女か区別がつかない。
背中には、大きな革袋が背負われている。
この年頃の子供が持つにしては随分大きな荷物だ。
「どうかしたの」
私が訊ねると、子供は死んだような虚ろな瞳で私を見上げた。
「治療を、お願いします」
ただその一言だけを呟いて。
第1話へ続く
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LandM お、入りが違いますね。
文章力も上がっているような気がします。
こういう表現は私には出来ないんですよね。
ランプの描写とかは。。。
こういう描写が出来る方がうらやましいですね。
Re: タイトルなし
Rubellum LandMさん、コメントありがとうございます。
改訂前、第1章だけプロローグ・エピローグがなかったので、改訂版では書いてみることにしました。
まだまだ拙い文章ですが、以前よりは成長できているようで安心いたしました。
もっと上手く情景描写ができるようになりたいですね・・・
*以前upした小説の改訂版です。
どうしても上手くいかなかったので、修正させて頂きました。
勝手ながら、修正前の記事は削除させて頂きます。
*前回と同じく、FT31巻のネタバレを含みます。
また、31巻のストーリーを前提として読んで頂けると有難いです。
ジェラール。
と、大好きな声が聴こえた。
振り向くと、大好きな彼女がこちらに駆け寄ってくる。
彼女を抱きしめ、自分も愛しい名前を呼ぶ。
エルザ。
腕の中の彼女の背はまだ低く、顔立ちが幼い。
髪も短い。
あの頃と同じように。
ああ、これは夢だ。
だって、今の自分の腕がこんなに細い訳がない。
それに・・・。
喉の手前まで出かかった言葉を飲み込み、彼は微笑んだ。
今は、忘れよう。
夢の中に浸っていよう。
そしてこのまま・・永遠に、幻想から抜け出せなくなれば良い。
彼女が、自分に向かって笑いかける。
自分も、彼女に向かい笑い返す。
淡いピンクの霧が、2人を包んだ。
2人を全てのものから護ってくれるかのようだった。
2人だけの世界。
この些細な時間が、幸せだった。
否、幸せなのだ、今。
もう一度彼女を抱きしめようと腕に力を入れたが、その前に押し返されてしまう。
呆然としていると、急に大人の女性の姿に変わった彼女が、すっと立ち上がった。
「そろそろ、行かなくては」
「行くって、何処へ」
「還るべき場所にだ」
短く告げると、彼女はさっさと歩き出す。
自分の方には振り向きもせずに。
霧が晴れ、背景は燃えるような赤い空に変わった。
彼女の緋色の髪が、空に溶けるように消えていく。
駄目だ。
これでは、『いつも』と同じだ。
最後の望みを賭け、待ってくれ、と声を張り上げ叫んだ。
すると、彼女が少しだけ振り向く。
寂しそうな笑みを浮かべ、唇だけが動く。
『さよなら』
「エルザ!」
腕を伸ばしたが、届かない。
ダイヤ型の銀色のピアスが、彼女の耳元で輝いて、
「エルザっ!!」
飛び起きるのと同時に、両足に激痛が走った。
痛みを堪え、傍にある椅子を手繰り寄せる。
車輪のついた椅子・・いわば、車椅子だ。
「・・・・また、あの夢か・・・」
額を押さえ、ジェラールは呟く。
そして、足を引きずりながら車椅子に乗った。
直後、部屋に2人の女性が入ってくる。
「ジェラール、調子はどう?」
「大丈夫?」
心配してくれる2人に、何でもない顔でかぶりを振った。
「ああ、大丈夫だ」
そう、と黒髪の女性が俯きがちに言う。
桃色の髪の女性の方も、無言で俯いた。
多分、彼女たちは分かっているのだろう。
自分が、『また』あの夢にうなされていた事に。
何となく気まずくなって、ジェラールは窓の外を見た。
蒼い空に、ぽっかりと白い雲が浮かんでいる。
ああ、あの時もこんな空だったなと、しみじみ思った。
自分がこの2人の女性によって『助けられて』から、2年となる。
2人の名は、ウルティアとメルディ。
2年前、牢に繋がれ瀕死の状態となっていた自分を脱獄させ、看護をしてくれた。
当時傷だらけだった身体も、徐々に包帯が取られていき、今では痕がほとんど目立たなくなっている。
だが、一部の傷は残ったままだ。
まず、足が動かない。
牢にいた時、あまり動けず、食事もろくにとれなかったせいか、ショックで麻痺してしまったらしく、全く動かないのだ。
それから、右目も視えない。
右頬に描かれた紋様が鬱陶しかったのか、或いは忌々しかったのか、評議員に刃物で切りつけられ、右目まで視えなくなってしまった。
何より、心の傷が残った。
牢で散々傷つけられた傷ではない。
流されるしかなかったとはいえ、罪から逃げたという意識。
ウルティアたちは、自分たちのせいで人生を狂わせてしまった人たちを救いたいのだという。
自分もその1人だから、せめて牢の外で穏やかに暮らしてほしいと。
だが自分は、逃げたくなかった。
出来るものなら、今すぐ牢に戻って罰を受けたい気持ちだ。
それが自分の、罪滅ぼしだと信じているから。
しかし、それをするのはウルティアたちに申し訳なかった。
だから、今ここでひっそりと暮らすしかない。
その苦悩が、ストレスになってきている。
自分の今の状態を知っていて、ウルティアやメルディは少し悔やんでいるようだから、余計辛い。
「ジェラール、悪いんだけど」
未だ外を見つめているジェラールに、ウルティアが話しかけてきた。
「そろそろ、この場所を発たないと。もう此処に来てから1週間になるし」
「・・・ああ、そうだな」
ジェラールは横を向いたまま返事をした。
今この場所にいる3人は全員、犯罪者だ。
あまり同じ場所に居続けると、何者かに感づかれる危険性がある。
そのため彼らは、定期的に寝床を変えていた。
「・・・今、辛いのは分かるけど」
今度はメルディが口を開く。
「今を乗り越えれば、きっといつか、幸せになれる日が来るから」
「・・・・そうだな、ありがとう」
いつか、か。
心の中だけで呟くと、脳裏にある人影が映る。
誰よりも大切な、誰よりも大好きな彼女。
エルザ。
自分が脱獄する前に、天浪島で行方不明となり、未だに生死は分からない。
アクロノギアとかいう黒竜に、天浪島は滅ぼされたのだという。
大半の人の話によれば、攻撃を受けた者は、生きてはいないだろうとの事だ。
どうして、彼女が。
エルザが、何か悪い事をしたとでも言うのか。
こんな自分を励まし、笑いかけてくれた彼女が?
どうして。
どうして。
むしろ、殺されるのは自分で良かったんじゃないか。
罪を犯した自分なら、殺されても誰も文句は言わないだろう。
だけど、何を言っても・・もう、彼女には届かない。
彼女の笑顔を、二度と見ることはできない・・・。
たった一度・・もう一度だけで良いから、エルザに逢いたかった。
自分を励ましてくれてありがとうと、たったそれだけ、お礼を言いたかった。
エルザがいなければ、もう生きる意味などなかった。
彼の中を、絶望が支配する。
何も出来ず、ただ口癖のように、彼女の名前を呟く。
「エルザ・・・」
逢いたい。
その言葉は、塩辛い涙の粒に溶け、消えていった。
中編に続く
もうすぐサイトが2周年となるので、その記念の小説とする事にしました。
どうしても上手くいかなかったので、修正させて頂きました。
勝手ながら、修正前の記事は削除させて頂きます。
*前回と同じく、FT31巻のネタバレを含みます。
また、31巻のストーリーを前提として読んで頂けると有難いです。
ジェラール。
と、大好きな声が聴こえた。
振り向くと、大好きな彼女がこちらに駆け寄ってくる。
彼女を抱きしめ、自分も愛しい名前を呼ぶ。
エルザ。
腕の中の彼女の背はまだ低く、顔立ちが幼い。
髪も短い。
あの頃と同じように。
ああ、これは夢だ。
だって、今の自分の腕がこんなに細い訳がない。
それに・・・。
喉の手前まで出かかった言葉を飲み込み、彼は微笑んだ。
今は、忘れよう。
夢の中に浸っていよう。
そしてこのまま・・永遠に、幻想から抜け出せなくなれば良い。
彼女が、自分に向かって笑いかける。
自分も、彼女に向かい笑い返す。
淡いピンクの霧が、2人を包んだ。
2人を全てのものから護ってくれるかのようだった。
2人だけの世界。
この些細な時間が、幸せだった。
否、幸せなのだ、今。
もう一度彼女を抱きしめようと腕に力を入れたが、その前に押し返されてしまう。
呆然としていると、急に大人の女性の姿に変わった彼女が、すっと立ち上がった。
「そろそろ、行かなくては」
「行くって、何処へ」
「還るべき場所にだ」
短く告げると、彼女はさっさと歩き出す。
自分の方には振り向きもせずに。
霧が晴れ、背景は燃えるような赤い空に変わった。
彼女の緋色の髪が、空に溶けるように消えていく。
駄目だ。
これでは、『いつも』と同じだ。
最後の望みを賭け、待ってくれ、と声を張り上げ叫んだ。
すると、彼女が少しだけ振り向く。
寂しそうな笑みを浮かべ、唇だけが動く。
『さよなら』
「エルザ!」
腕を伸ばしたが、届かない。
ダイヤ型の銀色のピアスが、彼女の耳元で輝いて、
「エルザっ!!」
飛び起きるのと同時に、両足に激痛が走った。
痛みを堪え、傍にある椅子を手繰り寄せる。
車輪のついた椅子・・いわば、車椅子だ。
「・・・・また、あの夢か・・・」
額を押さえ、ジェラールは呟く。
そして、足を引きずりながら車椅子に乗った。
直後、部屋に2人の女性が入ってくる。
「ジェラール、調子はどう?」
「大丈夫?」
心配してくれる2人に、何でもない顔でかぶりを振った。
「ああ、大丈夫だ」
そう、と黒髪の女性が俯きがちに言う。
桃色の髪の女性の方も、無言で俯いた。
多分、彼女たちは分かっているのだろう。
自分が、『また』あの夢にうなされていた事に。
何となく気まずくなって、ジェラールは窓の外を見た。
蒼い空に、ぽっかりと白い雲が浮かんでいる。
ああ、あの時もこんな空だったなと、しみじみ思った。
自分がこの2人の女性によって『助けられて』から、2年となる。
2人の名は、ウルティアとメルディ。
2年前、牢に繋がれ瀕死の状態となっていた自分を脱獄させ、看護をしてくれた。
当時傷だらけだった身体も、徐々に包帯が取られていき、今では痕がほとんど目立たなくなっている。
だが、一部の傷は残ったままだ。
まず、足が動かない。
牢にいた時、あまり動けず、食事もろくにとれなかったせいか、ショックで麻痺してしまったらしく、全く動かないのだ。
それから、右目も視えない。
右頬に描かれた紋様が鬱陶しかったのか、或いは忌々しかったのか、評議員に刃物で切りつけられ、右目まで視えなくなってしまった。
何より、心の傷が残った。
牢で散々傷つけられた傷ではない。
流されるしかなかったとはいえ、罪から逃げたという意識。
ウルティアたちは、自分たちのせいで人生を狂わせてしまった人たちを救いたいのだという。
自分もその1人だから、せめて牢の外で穏やかに暮らしてほしいと。
だが自分は、逃げたくなかった。
出来るものなら、今すぐ牢に戻って罰を受けたい気持ちだ。
それが自分の、罪滅ぼしだと信じているから。
しかし、それをするのはウルティアたちに申し訳なかった。
だから、今ここでひっそりと暮らすしかない。
その苦悩が、ストレスになってきている。
自分の今の状態を知っていて、ウルティアやメルディは少し悔やんでいるようだから、余計辛い。
「ジェラール、悪いんだけど」
未だ外を見つめているジェラールに、ウルティアが話しかけてきた。
「そろそろ、この場所を発たないと。もう此処に来てから1週間になるし」
「・・・ああ、そうだな」
ジェラールは横を向いたまま返事をした。
今この場所にいる3人は全員、犯罪者だ。
あまり同じ場所に居続けると、何者かに感づかれる危険性がある。
そのため彼らは、定期的に寝床を変えていた。
「・・・今、辛いのは分かるけど」
今度はメルディが口を開く。
「今を乗り越えれば、きっといつか、幸せになれる日が来るから」
「・・・・そうだな、ありがとう」
いつか、か。
心の中だけで呟くと、脳裏にある人影が映る。
誰よりも大切な、誰よりも大好きな彼女。
エルザ。
自分が脱獄する前に、天浪島で行方不明となり、未だに生死は分からない。
アクロノギアとかいう黒竜に、天浪島は滅ぼされたのだという。
大半の人の話によれば、攻撃を受けた者は、生きてはいないだろうとの事だ。
どうして、彼女が。
エルザが、何か悪い事をしたとでも言うのか。
こんな自分を励まし、笑いかけてくれた彼女が?
どうして。
どうして。
むしろ、殺されるのは自分で良かったんじゃないか。
罪を犯した自分なら、殺されても誰も文句は言わないだろう。
だけど、何を言っても・・もう、彼女には届かない。
彼女の笑顔を、二度と見ることはできない・・・。
たった一度・・もう一度だけで良いから、エルザに逢いたかった。
自分を励ましてくれてありがとうと、たったそれだけ、お礼を言いたかった。
エルザがいなければ、もう生きる意味などなかった。
彼の中を、絶望が支配する。
何も出来ず、ただ口癖のように、彼女の名前を呟く。
「エルザ・・・」
逢いたい。
その言葉は、塩辛い涙の粒に溶け、消えていった。
中編に続く
もうすぐサイトが2周年となるので、その記念の小説とする事にしました。
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No title
LandM 2周年おめでとうございます。
再びやってきました。そういえば、リンクをお繋ぎしてもよろしいでしょうか。なかなかみみ様の小説を読めないでいるときも多いのですが、いつかみみ様の作品のキャラクターもかっこよくて、グッゲンハイムでの合作をしてみたいなあ!!・・なんて思っている日々でございます。実際にそれが動くは相当後になりそうですけど。今のうちに。。。と思いまして。
Re: No title
mimi346 ありがとうございます!
ここまでサイトを続けていられたのも、LandM様を初めとする皆様のお陰です!!
これからもどうぞよろしくお願いいたします^^
リンクですか!
こんなサイトで宜しければ、ご自由にどうぞ!
私も、今更ではありますが、LandM様のサイトをリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
ずっとLandM様のサイトをリンクしたかったのですが、なかなか言い出せないヘタレだったもので・・すみません;
が、合作・・!?
私なぞのキャラクターでよろしければ、ご自由に使っていただきたい気分です!
本当に光栄です!!
1年でも5年先でも待ってます^^
舞い上がってしまってすみません;
改めて、色々とご迷惑を掛けてしまうかもしれませんが、宜しくお願いいたします(*^^*)
長文になってしまい申し訳ないです。
コメントありがとうございました!
LandM 2周年おめでとうございます。
再びやってきました。そういえば、リンクをお繋ぎしてもよろしいでしょうか。なかなかみみ様の小説を読めないでいるときも多いのですが、いつかみみ様の作品のキャラクターもかっこよくて、グッゲンハイムでの合作をしてみたいなあ!!・・なんて思っている日々でございます。実際にそれが動くは相当後になりそうですけど。今のうちに。。。と思いまして。
Re: No title
mimi346 ありがとうございます!
ここまでサイトを続けていられたのも、LandM様を初めとする皆様のお陰です!!
これからもどうぞよろしくお願いいたします^^
リンクですか!
こんなサイトで宜しければ、ご自由にどうぞ!
私も、今更ではありますが、LandM様のサイトをリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
ずっとLandM様のサイトをリンクしたかったのですが、なかなか言い出せないヘタレだったもので・・すみません;
が、合作・・!?
私なぞのキャラクターでよろしければ、ご自由に使っていただきたい気分です!
本当に光栄です!!
1年でも5年先でも待ってます^^
舞い上がってしまってすみません;
改めて、色々とご迷惑を掛けてしまうかもしれませんが、宜しくお願いいたします(*^^*)
長文になってしまい申し訳ないです。
コメントありがとうございました!
2月14日。
バレンタインデー、か。
メイコは、手元の携帯電話のデジタル時計と、目の前の荷物一杯のかごを見て、溜め息をついた。
今日は2月11日。
2月14日のバレンタインデーに備えて、12日にチョコを作ろうと、ボカロ一家総出で買い出しに来ているのである。
・・・何故か男子群も含めて。
ピンク色やら、チョコレート色やらで塗り潰されているスーパーの売り場を見渡して、心底うんざりした。
何で男なんかの為にわざわざ、チョコを作ってやらなきゃならないんだ。
チョコなんて、自分で作って食べれば十分じゃないか。
そう思いはするものの、妹であるミクやリンたちが作りたいと気合を入れているのだから、付き合う他ない。
イベントに全く興味がないメイコにとっては、傍迷惑な話だった。
「メイコ姉、これもよろしくねっ!」
色とりどりのトッピングセットを抱えてきたリンが、かごにそれをどさっと入れた。
すでにかごは山積みとなっており、何個かが落ちてしまう。
「・・・あんたたち、いい加減にしなさいよ。ていうか、何であたしが荷物係な訳?」
「だって、メイコ姉はもう買う物揃ったんでしょ。全く、チョコを溶かして型に入れるだけなんて、毎年毎年味気ないねぇ」
「良いのよ、男どもにやるのなんて、食べられれば十分」
「そうやって異性に興味ないふりして・・」
リンはにやりと笑って、とある青年を指差した。
「本当は、カイト兄が本命のくせに」
隣の売り場で呑気にアイスを見つめているカイトを見て、メイコの顔が一瞬で真っ赤になった。
「リンっ!!」
「あ、図星だったんだ」
「冗談言わないで!!そのカチューシャ、猫耳カチューシャとすり代えるわよ!!」
脅すと、リンは慌ててリボンつきのカチューシャを押さえた。
「そ、それはやめてよね!でも本当に、本命の人にはちゃんとチョコ渡した方が良いと思うよ・・今年こそ」
後半は小声で耳打ちして、メイコの手に何かを押し付けると、リンは逃げるようにミクたちの元へ走っていった。
ぽかんとして、メイコは押し付けられたものを見た。
ピンクの小さなチョコペンだった。
『本命の人にはちゃんとチョコ渡した方が良いと思うよ・・今年こそ』
リンの言葉が、頭の中で反芻する。
確かに毎年、カイトには義理だと言って、実は買ったチョコを渡していた。
今年も手作りする振りをして、買ったチョコを渡そうと思っていた。
・・・手作りなんて、恥ずかしいから。
ちゃんと、か。
メイコは、チョコペンをそっとかごの中に追加した。
そして、2月14日・・バレンタイン当日。
ヤマハ社から発売された『KAITO』の誕生日でもあるが、『クリプトン6兄弟』と言われている事もあって、彼の誕生日会は2月17日にするのが恒例となっている。
今日はもっぱら、男子群にチョコを渡す事だけがメインだ。
「ミクオ、チョコどうぞー」
「ありがとな。ミクから愛のチョコレートを貰えて今年も俺はしあわ・・」
「義理よ義理」
「レン、チョコ作ってきてあげたよぉ」
「何で毎年バナナ型なんだよ」
「ルカ殿、我へのチョコはまだ・・」
「ググれカス」
他のボーカロイドたちは、存分にバレンタインデーを楽しんでいる。
(・・・はず。多分)
次はメイコ姉の番だよ、と語りかけるように、遠くでリンの目が輝いたのが分かった。
分かったわよ、やれば良いんでしょ、やれば。
「・・・・カイト」
「んー?何、めーちゃん」
相変わらず呑気に、いつも通りアイスを頬張っているカイトに話しかける。
これからあんな事を言ったら、どんな顔をするのだろうか。
「・・・これ、あげる」
「あ、チョコだ。ありがと・・」
カイトの口はそこで止まり、チョコの入った包みを見て、驚いたようにメイコの顔を見る。
「めーちゃん、これ・・もしかして手作り?」
「な、何で?」
「何か包装の仕方がいつもと違って雑・・嘘ですごめんなさい」
メイコが今にも殴りかかりそうな表情になった為、カイトは慌てて謝った。
ラッピングも今年は自分1人でやった、のだが・・・。
まさか雑と言われるとは。
少しショックだ。
「あのさ、めーちゃん」
「き、今日はあんたの誕生日でしょ!祝ってあげないとヤマハさんが可哀想だから、特別にあげただけ!別にバレンタインだからとか、関係ないから!」
「め、めーちゃん?」
「誕生日おめでとう!それだけ!じゃ!」
顔を真っ赤にして走り去っていくメイコを呆然と見送っていたカイトは、そっと包みを開け中身を覗いた。
同時に、1枚の紙切れがひらりとすり抜けていく。
拾うと、紙にはこう書かれていた。
『素直になれなくてごめんね』
眉を八の字に下げて俯くメイコが目に浮かび、カイトは苦笑いを零した。
何気なくチョコレートを取り出し、そこでカイトの表情が一変した。
『カイト 大好き』
素っ気なく書かれた、ピンク色の文字。
その色と同じくらい、カイトの頬がピンク色に染まった。
終わり
↓あとがき的なのは追記から
バレンタインデー、か。
メイコは、手元の携帯電話のデジタル時計と、目の前の荷物一杯のかごを見て、溜め息をついた。
今日は2月11日。
2月14日のバレンタインデーに備えて、12日にチョコを作ろうと、ボカロ一家総出で買い出しに来ているのである。
・・・何故か男子群も含めて。
ピンク色やら、チョコレート色やらで塗り潰されているスーパーの売り場を見渡して、心底うんざりした。
何で男なんかの為にわざわざ、チョコを作ってやらなきゃならないんだ。
チョコなんて、自分で作って食べれば十分じゃないか。
そう思いはするものの、妹であるミクやリンたちが作りたいと気合を入れているのだから、付き合う他ない。
イベントに全く興味がないメイコにとっては、傍迷惑な話だった。
「メイコ姉、これもよろしくねっ!」
色とりどりのトッピングセットを抱えてきたリンが、かごにそれをどさっと入れた。
すでにかごは山積みとなっており、何個かが落ちてしまう。
「・・・あんたたち、いい加減にしなさいよ。ていうか、何であたしが荷物係な訳?」
「だって、メイコ姉はもう買う物揃ったんでしょ。全く、チョコを溶かして型に入れるだけなんて、毎年毎年味気ないねぇ」
「良いのよ、男どもにやるのなんて、食べられれば十分」
「そうやって異性に興味ないふりして・・」
リンはにやりと笑って、とある青年を指差した。
「本当は、カイト兄が本命のくせに」
隣の売り場で呑気にアイスを見つめているカイトを見て、メイコの顔が一瞬で真っ赤になった。
「リンっ!!」
「あ、図星だったんだ」
「冗談言わないで!!そのカチューシャ、猫耳カチューシャとすり代えるわよ!!」
脅すと、リンは慌ててリボンつきのカチューシャを押さえた。
「そ、それはやめてよね!でも本当に、本命の人にはちゃんとチョコ渡した方が良いと思うよ・・今年こそ」
後半は小声で耳打ちして、メイコの手に何かを押し付けると、リンは逃げるようにミクたちの元へ走っていった。
ぽかんとして、メイコは押し付けられたものを見た。
ピンクの小さなチョコペンだった。
『本命の人にはちゃんとチョコ渡した方が良いと思うよ・・今年こそ』
リンの言葉が、頭の中で反芻する。
確かに毎年、カイトには義理だと言って、実は買ったチョコを渡していた。
今年も手作りする振りをして、買ったチョコを渡そうと思っていた。
・・・手作りなんて、恥ずかしいから。
ちゃんと、か。
メイコは、チョコペンをそっとかごの中に追加した。
そして、2月14日・・バレンタイン当日。
ヤマハ社から発売された『KAITO』の誕生日でもあるが、『クリプトン6兄弟』と言われている事もあって、彼の誕生日会は2月17日にするのが恒例となっている。
今日はもっぱら、男子群にチョコを渡す事だけがメインだ。
「ミクオ、チョコどうぞー」
「ありがとな。ミクから愛のチョコレートを貰えて今年も俺はしあわ・・」
「義理よ義理」
「レン、チョコ作ってきてあげたよぉ」
「何で毎年バナナ型なんだよ」
「ルカ殿、我へのチョコはまだ・・」
「ググれカス」
他のボーカロイドたちは、存分にバレンタインデーを楽しんでいる。
(・・・はず。多分)
次はメイコ姉の番だよ、と語りかけるように、遠くでリンの目が輝いたのが分かった。
分かったわよ、やれば良いんでしょ、やれば。
「・・・・カイト」
「んー?何、めーちゃん」
相変わらず呑気に、いつも通りアイスを頬張っているカイトに話しかける。
これからあんな事を言ったら、どんな顔をするのだろうか。
「・・・これ、あげる」
「あ、チョコだ。ありがと・・」
カイトの口はそこで止まり、チョコの入った包みを見て、驚いたようにメイコの顔を見る。
「めーちゃん、これ・・もしかして手作り?」
「な、何で?」
「何か包装の仕方がいつもと違って雑・・嘘ですごめんなさい」
メイコが今にも殴りかかりそうな表情になった為、カイトは慌てて謝った。
ラッピングも今年は自分1人でやった、のだが・・・。
まさか雑と言われるとは。
少しショックだ。
「あのさ、めーちゃん」
「き、今日はあんたの誕生日でしょ!祝ってあげないとヤマハさんが可哀想だから、特別にあげただけ!別にバレンタインだからとか、関係ないから!」
「め、めーちゃん?」
「誕生日おめでとう!それだけ!じゃ!」
顔を真っ赤にして走り去っていくメイコを呆然と見送っていたカイトは、そっと包みを開け中身を覗いた。
同時に、1枚の紙切れがひらりとすり抜けていく。
拾うと、紙にはこう書かれていた。
『素直になれなくてごめんね』
眉を八の字に下げて俯くメイコが目に浮かび、カイトは苦笑いを零した。
何気なくチョコレートを取り出し、そこでカイトの表情が一変した。
『カイト 大好き』
素っ気なく書かれた、ピンク色の文字。
その色と同じくらい、カイトの頬がピンク色に染まった。
終わり
↓あとがき的なのは追記から
紅の少年が地面に降り立った途端、『炎』の剣士たちの中からどよめきが起こる。
「おおっ!」
「兄さん!」
「兄貴!」
少年は自分の仲間たちの方を見て、微かに笑った。
どう見ても少年より年上の剣士たちに、これほどまでに慕われている。
まだ年端もいかぬ子供だからと言って、舐めてはいけない。
この少年は間違いなく、実力者だ。
「すまないが、此処を通してもらえないか」
オリオンが先に一歩前に出て、言った。
少年は白騎士長を訝しげに睨む。
女のように整った顔立ちに皺が刻まれる。
「・・・お前たち白騎士は確か、『風』の剣士たちに加担しているんだったな。悪いけど、敵を通す訳にはいかない」
声変わりをした低い声で、少年はあくまで冷静に首を振った。
「そうか。だが私も、君のような少年を無闇に傷付けたくはない。出来るだけ、穏便に済ませたいんだ」
少年が見た目の年齢以上に大人びている事に気付いてか、オリオンの口調が微妙に厳しくなる。
「オレも、引く気はないよ」
不敵に笑った少年の小さな手から、紅い光が零れ落ちる。
目を向けると、腰に下げていた鞘から剣がすらりと抜かれた。
少年の装備は、鉄の鎧が胸板や手首に付いているだけだが、その剣だけが異常に紅く光っていた。
これほどの激しい感情を、ルーヴは感じた事がなかった。
おそらくこの少年は、何かを成し遂げる為だけに戦っている。
ただその目的の為に、強くあろうと必死になっている。
ルーヴはそう確信した。
そして、剣を抜く事を躊躇しているオリオンの代わりに、前に出る。
「騎士長、下がっていてくれ」
「ルーヴ」
「あんたが無駄に魔力を消費する場所ではないだろう?」
オリオンの方には振り返らず、『炎』の剣士たちに向かって皮肉っぽく笑う。
「何だと」
少年が鋭く目を光らせた。
思惑通り、敵は挑発に乗ったようだ。
後は、この場を片付けるだけ。
「・・・気をつけろ、ルーヴ」
「ああ」
短く頷くと、ルーヴも漆黒の剣を抜いた。
木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日に当たって、刃がぎらりと鈍く光る。
「はっ、天下の黒騎士様は余裕って訳か」
紅蓮の炎が、突然牙を剥いた。
「召喚・『紅竜(ファイアドラゴン)』!!」
まさに竜のような速さで、小さな身体が突進してくる。
「召喚・『黒猫(ダークハンター)』!!」
灼熱が、空間をゆらりと歪ませる。
凄まじい熱風の中、ルーヴの剣は見事攻撃を受け止めた。
だが、相手の動きを止める筈の剣魔法は、炎竜の流れを止められない。
「・・っ!」
ルーヴの表情に、ほんの少し焦りが滲み出た。
少年はそれを見逃さず、次の札を切り出した。
「『紅乱舞』!!」
赤が、躍る。
激しい炎が、花のように。
花は一瞬にして散った。
「『闇空間(ダークドーム・スライサー)』」
漆黒に飲み込まれるようにして、炎が消滅する。
「・・・ちっ」
この体勢では不利だと判断したのか、少年は軽やかなバックステップでルーヴから退いた。
「いきなり敵意を剥き出しにしたな」
余裕を浮かべた表情で、ルーヴが微笑む。
少年も負けてはいなかった。
鋭い眼光を迸らせながら、無言のままルーヴを睨む。
表には出していないが、ルーヴは内心驚いていた。
まさか、ここまで魔力が高いとは。
剣魔法の中で一番威力の低い召喚魔法だというのに、あの凄まじい炎は何なんだ。
ルーヴの召喚魔法と同等・・いや、ルーヴを凌ぐほどの威力だった。
オリオンのいう通り、気を引き締めなくては・・やられるかもしれない。
「・・・元々、黒騎士という存在は良く思ってないんだ」
先程のルーヴの問いに答えるように、少年が呟いた。
「オレたちより実力も魔力も遥かに下の奴が、自分は強いだの正義だのと成り上がっている。まだ白騎士の方が性質が良い。・・・お前らは、悪魔に身を売った人間の癖に」
誰が言い出したのか知らないが、黒騎士は悪魔に身を売った存在だと思い込んでいる者もいるらしい。
『闇』の魔法を扱っているせいだと思うが。
少年もそういう類なのだろう。
罵倒の言葉を受けながら、ルーヴの表情はぴくりとも動かなかった。
ただ、目を細めて少年を見つめる。
冷たい表情で。
それが気に障ったのか、少年の炎がまた膨れ上がった。
「・・・『風』の剣士だって同じだ・・オレたちより弱くてずる賢い癖に、自分たちは『光』の眷属だと成り上がって・・!」
「貴様!」
『風』の剣士の1人が敵意を剥き出しにしたが、少年は耳も貸さない。
「ちょっと『闇』に属しているから何なんだ!!オレたちだって人間なんだよ!!黒騎士と一緒にするなっ!!」
最初に攻撃してきた時の倍はある炎が、早くも少年の周りで炸裂した。
憎悪で正気を失ってきている。
ルーヴは冷たい表情のまま、闇を纏った剣をかざした。
一瞬遅く、目にも留まらぬ速さで駆け抜けてきた少年の剣が、火花を散らせ弾け飛ぶ。
確実にやれると思い込んでいた少年は、ぎょっと目を剥いた。
紅の剣は『炎』の剣士たちの近くで落下したが、剣士たちは呆然とルーヴたちを見つめたままだった。
白騎士や、『風』の剣士たちも同じ状態だった。
ただオリオンだけが、興味深そうに「おお」と感嘆の声を漏らした。
「・・・ご愁傷様、天下の『炎』の剣士様?」
皮肉を込めて、先程少年が口にした言葉が繰り返される。
言い返す事も、剣を取り戻しに行く事も出来ず、少年はがたがたと歯を鳴らした。
見てしまった。
黒騎士長の、闇の一面を。
まさに、悪魔の微笑だった。
恐怖で全身から力が抜け、どすんと無様に尻餅をついてしまう。
ルーヴは漆黒の剣をくるくると手で弄びながら、後ずさる少年に近付く。
「お前、だから『風』の剣士に手を出す気になったのか?何の罪もない剣士たちに?」
少年は答えない。
否、答えられなかった。
「・・・残念ながら、黒騎士は悪魔に身を売った訳じゃないがな。これだけは言わせてもらう」
しゅん、と空気が切り裂かれた。
少年の首元に、細身の剣があてられる。
「黒騎士を舐めるな。俺たちの本当の闇を、甘く見るなよ」
剣に込める力が、少しずつ強くなっていく。
死への恐怖で、少年の頭は埋め尽くされた。
その時。
「姐さんを傷付けるなっ!!」
『炎』の剣士の中から、そんな声が聞こえた。
殺されかけている少年は、「馬鹿!」というように、そちらを睨む。
「・・・『姐さん』?」
ルーヴは、女のような顔立ちの『少年』を、改めて見つめたのだった。
続く
↓近況などは、追記にて
「おおっ!」
「兄さん!」
「兄貴!」
少年は自分の仲間たちの方を見て、微かに笑った。
どう見ても少年より年上の剣士たちに、これほどまでに慕われている。
まだ年端もいかぬ子供だからと言って、舐めてはいけない。
この少年は間違いなく、実力者だ。
「すまないが、此処を通してもらえないか」
オリオンが先に一歩前に出て、言った。
少年は白騎士長を訝しげに睨む。
女のように整った顔立ちに皺が刻まれる。
「・・・お前たち白騎士は確か、『風』の剣士たちに加担しているんだったな。悪いけど、敵を通す訳にはいかない」
声変わりをした低い声で、少年はあくまで冷静に首を振った。
「そうか。だが私も、君のような少年を無闇に傷付けたくはない。出来るだけ、穏便に済ませたいんだ」
少年が見た目の年齢以上に大人びている事に気付いてか、オリオンの口調が微妙に厳しくなる。
「オレも、引く気はないよ」
不敵に笑った少年の小さな手から、紅い光が零れ落ちる。
目を向けると、腰に下げていた鞘から剣がすらりと抜かれた。
少年の装備は、鉄の鎧が胸板や手首に付いているだけだが、その剣だけが異常に紅く光っていた。
これほどの激しい感情を、ルーヴは感じた事がなかった。
おそらくこの少年は、何かを成し遂げる為だけに戦っている。
ただその目的の為に、強くあろうと必死になっている。
ルーヴはそう確信した。
そして、剣を抜く事を躊躇しているオリオンの代わりに、前に出る。
「騎士長、下がっていてくれ」
「ルーヴ」
「あんたが無駄に魔力を消費する場所ではないだろう?」
オリオンの方には振り返らず、『炎』の剣士たちに向かって皮肉っぽく笑う。
「何だと」
少年が鋭く目を光らせた。
思惑通り、敵は挑発に乗ったようだ。
後は、この場を片付けるだけ。
「・・・気をつけろ、ルーヴ」
「ああ」
短く頷くと、ルーヴも漆黒の剣を抜いた。
木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日に当たって、刃がぎらりと鈍く光る。
「はっ、天下の黒騎士様は余裕って訳か」
紅蓮の炎が、突然牙を剥いた。
「召喚・『紅竜(ファイアドラゴン)』!!」
まさに竜のような速さで、小さな身体が突進してくる。
「召喚・『黒猫(ダークハンター)』!!」
灼熱が、空間をゆらりと歪ませる。
凄まじい熱風の中、ルーヴの剣は見事攻撃を受け止めた。
だが、相手の動きを止める筈の剣魔法は、炎竜の流れを止められない。
「・・っ!」
ルーヴの表情に、ほんの少し焦りが滲み出た。
少年はそれを見逃さず、次の札を切り出した。
「『紅乱舞』!!」
赤が、躍る。
激しい炎が、花のように。
花は一瞬にして散った。
「『闇空間(ダークドーム・スライサー)』」
漆黒に飲み込まれるようにして、炎が消滅する。
「・・・ちっ」
この体勢では不利だと判断したのか、少年は軽やかなバックステップでルーヴから退いた。
「いきなり敵意を剥き出しにしたな」
余裕を浮かべた表情で、ルーヴが微笑む。
少年も負けてはいなかった。
鋭い眼光を迸らせながら、無言のままルーヴを睨む。
表には出していないが、ルーヴは内心驚いていた。
まさか、ここまで魔力が高いとは。
剣魔法の中で一番威力の低い召喚魔法だというのに、あの凄まじい炎は何なんだ。
ルーヴの召喚魔法と同等・・いや、ルーヴを凌ぐほどの威力だった。
オリオンのいう通り、気を引き締めなくては・・やられるかもしれない。
「・・・元々、黒騎士という存在は良く思ってないんだ」
先程のルーヴの問いに答えるように、少年が呟いた。
「オレたちより実力も魔力も遥かに下の奴が、自分は強いだの正義だのと成り上がっている。まだ白騎士の方が性質が良い。・・・お前らは、悪魔に身を売った人間の癖に」
誰が言い出したのか知らないが、黒騎士は悪魔に身を売った存在だと思い込んでいる者もいるらしい。
『闇』の魔法を扱っているせいだと思うが。
少年もそういう類なのだろう。
罵倒の言葉を受けながら、ルーヴの表情はぴくりとも動かなかった。
ただ、目を細めて少年を見つめる。
冷たい表情で。
それが気に障ったのか、少年の炎がまた膨れ上がった。
「・・・『風』の剣士だって同じだ・・オレたちより弱くてずる賢い癖に、自分たちは『光』の眷属だと成り上がって・・!」
「貴様!」
『風』の剣士の1人が敵意を剥き出しにしたが、少年は耳も貸さない。
「ちょっと『闇』に属しているから何なんだ!!オレたちだって人間なんだよ!!黒騎士と一緒にするなっ!!」
最初に攻撃してきた時の倍はある炎が、早くも少年の周りで炸裂した。
憎悪で正気を失ってきている。
ルーヴは冷たい表情のまま、闇を纏った剣をかざした。
一瞬遅く、目にも留まらぬ速さで駆け抜けてきた少年の剣が、火花を散らせ弾け飛ぶ。
確実にやれると思い込んでいた少年は、ぎょっと目を剥いた。
紅の剣は『炎』の剣士たちの近くで落下したが、剣士たちは呆然とルーヴたちを見つめたままだった。
白騎士や、『風』の剣士たちも同じ状態だった。
ただオリオンだけが、興味深そうに「おお」と感嘆の声を漏らした。
「・・・ご愁傷様、天下の『炎』の剣士様?」
皮肉を込めて、先程少年が口にした言葉が繰り返される。
言い返す事も、剣を取り戻しに行く事も出来ず、少年はがたがたと歯を鳴らした。
見てしまった。
黒騎士長の、闇の一面を。
まさに、悪魔の微笑だった。
恐怖で全身から力が抜け、どすんと無様に尻餅をついてしまう。
ルーヴは漆黒の剣をくるくると手で弄びながら、後ずさる少年に近付く。
「お前、だから『風』の剣士に手を出す気になったのか?何の罪もない剣士たちに?」
少年は答えない。
否、答えられなかった。
「・・・残念ながら、黒騎士は悪魔に身を売った訳じゃないがな。これだけは言わせてもらう」
しゅん、と空気が切り裂かれた。
少年の首元に、細身の剣があてられる。
「黒騎士を舐めるな。俺たちの本当の闇を、甘く見るなよ」
剣に込める力が、少しずつ強くなっていく。
死への恐怖で、少年の頭は埋め尽くされた。
その時。
「姐さんを傷付けるなっ!!」
『炎』の剣士の中から、そんな声が聞こえた。
殺されかけている少年は、「馬鹿!」というように、そちらを睨む。
「・・・『姐さん』?」
ルーヴは、女のような顔立ちの『少年』を、改めて見つめたのだった。
続く
↓近況などは、追記にて
ちょっと無理矢理1話にまとめすぎたかな、と思います。
久しぶりで気合が入ったんでしょうね、戦闘シーンなどを書いていたら長くなってしまいました。
読み辛かったらごめんなさい。
ともかく、前回の追記で書いた通り、敵の意外な秘密が明かされ(かけ)て安心です。
いつも前々に予告してた癖に、結局やらずじまいになってしまうので(←最低)
今まで戦闘が皆無だった分、ここからどんどんバトルシーンを入れていきます。
やっぱりバトルを書くのは楽しいですね。
気合入れていきますよ^^(←いつも入れてろ)
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どこにでもありそうな、木造2階建ての小さなアパートメント。
青年は、錆びかけた金属製の階段を軋ませながら踏みしめていき、2階の一番奥にある部屋の前で歩みを止めた。
慣れた手つきで鍵を開け、部屋の中に足を踏み入れる。
「ただいま、エルザ」
その呼びかけに答えるように、女性が慌しく駆け寄ってきた。
「お、おか、おかえり・・ジェラール」
顔を真っ赤に紅潮させて俯く彼女・・同居人を見て、ジェラールは思わず微笑んだ。
2週間くらい前から、エルザとジェラールは同居を始めていた。
お互いのギルドの仕事も一旦休止し、常に危険が伴う仕事を忘れ、2人は静かで穏やかな生活を楽しんでいる。
ただ、仕事をしないとお金が入ってこないので、近所の雑貨店でジェラールがバイトをしているが。
1LDKの、古いが比較的綺麗な部屋。
一緒に起きて、一緒にご飯を食べて、一緒の部屋で寝て・・・。
決して豊かではないけれど、ほんのささやかな幸せ。
2人でずっと一緒にいられるなら、それで良い。
ジェラールは、未だ俯いたままのエルザの額に、ただいまのキスでもしてあげようと腰を屈めた。
が、それは突然の爆発音によって阻まれてしまう。
ボンッ、という爆音に2人は身体を飛び上がらせた。
「今のは・・?」
「あ、しまったっ」
一瞬で顔を青くさせ、エルザが台所に走っていく。
ジェラールも彼女の後を追って台所に入ると、そこはすでに惨劇の舞台と化していた。
水道の近くに設置された竃を中心として、黄色い物体が部屋の四方に飛び散っているのである。
「・・・・また派手にやったな、エルザ」
1つ溜息をつくと、ジェラールはその無残な物体を拾って、生ごみを入れる袋に集めた。
こんな事は、もはや一度や二度ではない。
慣れてしまった。
フライパンも床に落ちている所を見ると、多分卵を焼いていて失敗したのだろう。
何をどうしたら爆発してしまうのか、全くもって理解できないが。
「・・・・すまん。また卵の中に変な物を混ぜてしまったかもしれない」
「・・・・・・」
・・・その何が入っているのか分からない玉子焼きを、俺は食べさせられる所だったのか。
爆発するといえば、水素しか思い当たらない。
だが、水素をどうやって入れるのか。
どうやったら入るのか。
「本当に、毎回毎回・・すまないっ・・・」
「別に謝らなくても大丈夫だよ。料理なんて、やっているうちに覚えられるさ」
涙目で頭を下げるエルザの髪に触れ、撫でてやる。
しかし、エルザはまだ納得がいかないようだった。
「でも・・私は女なのに・・料理1つもこなせないようじゃ、その・・・」
「その?」
「・・・ジェラールの、お嫁さんに・・良いお嫁さんに、なれないだろうっ」
恥ずかしかったのか、後半はやけくそになりながら吐き捨てた。
ジェラールはきょとんとしてから、すぐに表情を崩す。
「な、何がおかし・・!!」
ちゅ、と唇が触れる音がした。
驚いたエルザは、電光石火の勢いで後退する。
部屋の中央に置かれたテーブルに腰がぶつかり、彼女は痛そうにそこを擦った。
「エルザがそんなにストレートに感情ぶつけてくるって、珍しいな」
至って冷静にジェラールが言う。
「ななな、何でキス・・・」
口付けされた額を右手で押さえながら、エルザは口篭る。
さらに、先程の言動を指摘されたことで、彼女の顔が見る見るうちに赤くなっていく。
それはあれだ、その、などと言い訳を並べているエルザの頭を、ジェラールはもう一度撫でた。
エルザはさらに混乱する。
「さっきのキスは、しそびれた『ただいま』のキスだよ」
「・・・・・」
「・・・俺は、エルザが料理できない事なんて、全然気にしてない。ただ、エルザが笑ってくれるだけで・・俺は幸せだ」
「ジェラール・・・」
「俺たちは折角同居してるんだろ?だったら、2人で助け合えば良いじゃないか。何も1人で抱え込む事なんてない。エルザはいつも、1人で頑張りすぎなんだよ」
大好きな彼女を抱きしめると、エルザはぼそっと呟いた。
「私も、お前と同じく・・今が一番幸せだ」
身体を引き離し、2人は顔を見合わせて笑った。
「じゃあ、料理・・作り直そうか。俺も手伝う」
「ありがとう。・・・お前も、バイトの事で何か悩んでいたら、何でも言ってくれ」
2つの影が、台所に並んだ。
貴方を、ずっとずっと愛してる。
だから自分も、愛されているんだ。
1LDKの、小さな部屋で。
2人暮らし、はじめました。
「し、しまった!!今度は焼いていたパンが爆発した!」
「・・・・根本的な問題は、その買ってきた材料じゃないか?」
終わり
↓近況等は、追記にて
青年は、錆びかけた金属製の階段を軋ませながら踏みしめていき、2階の一番奥にある部屋の前で歩みを止めた。
慣れた手つきで鍵を開け、部屋の中に足を踏み入れる。
「ただいま、エルザ」
その呼びかけに答えるように、女性が慌しく駆け寄ってきた。
「お、おか、おかえり・・ジェラール」
顔を真っ赤に紅潮させて俯く彼女・・同居人を見て、ジェラールは思わず微笑んだ。
2週間くらい前から、エルザとジェラールは同居を始めていた。
お互いのギルドの仕事も一旦休止し、常に危険が伴う仕事を忘れ、2人は静かで穏やかな生活を楽しんでいる。
ただ、仕事をしないとお金が入ってこないので、近所の雑貨店でジェラールがバイトをしているが。
1LDKの、古いが比較的綺麗な部屋。
一緒に起きて、一緒にご飯を食べて、一緒の部屋で寝て・・・。
決して豊かではないけれど、ほんのささやかな幸せ。
2人でずっと一緒にいられるなら、それで良い。
ジェラールは、未だ俯いたままのエルザの額に、ただいまのキスでもしてあげようと腰を屈めた。
が、それは突然の爆発音によって阻まれてしまう。
ボンッ、という爆音に2人は身体を飛び上がらせた。
「今のは・・?」
「あ、しまったっ」
一瞬で顔を青くさせ、エルザが台所に走っていく。
ジェラールも彼女の後を追って台所に入ると、そこはすでに惨劇の舞台と化していた。
水道の近くに設置された竃を中心として、黄色い物体が部屋の四方に飛び散っているのである。
「・・・・また派手にやったな、エルザ」
1つ溜息をつくと、ジェラールはその無残な物体を拾って、生ごみを入れる袋に集めた。
こんな事は、もはや一度や二度ではない。
慣れてしまった。
フライパンも床に落ちている所を見ると、多分卵を焼いていて失敗したのだろう。
何をどうしたら爆発してしまうのか、全くもって理解できないが。
「・・・・すまん。また卵の中に変な物を混ぜてしまったかもしれない」
「・・・・・・」
・・・その何が入っているのか分からない玉子焼きを、俺は食べさせられる所だったのか。
爆発するといえば、水素しか思い当たらない。
だが、水素をどうやって入れるのか。
どうやったら入るのか。
「本当に、毎回毎回・・すまないっ・・・」
「別に謝らなくても大丈夫だよ。料理なんて、やっているうちに覚えられるさ」
涙目で頭を下げるエルザの髪に触れ、撫でてやる。
しかし、エルザはまだ納得がいかないようだった。
「でも・・私は女なのに・・料理1つもこなせないようじゃ、その・・・」
「その?」
「・・・ジェラールの、お嫁さんに・・良いお嫁さんに、なれないだろうっ」
恥ずかしかったのか、後半はやけくそになりながら吐き捨てた。
ジェラールはきょとんとしてから、すぐに表情を崩す。
「な、何がおかし・・!!」
ちゅ、と唇が触れる音がした。
驚いたエルザは、電光石火の勢いで後退する。
部屋の中央に置かれたテーブルに腰がぶつかり、彼女は痛そうにそこを擦った。
「エルザがそんなにストレートに感情ぶつけてくるって、珍しいな」
至って冷静にジェラールが言う。
「ななな、何でキス・・・」
口付けされた額を右手で押さえながら、エルザは口篭る。
さらに、先程の言動を指摘されたことで、彼女の顔が見る見るうちに赤くなっていく。
それはあれだ、その、などと言い訳を並べているエルザの頭を、ジェラールはもう一度撫でた。
エルザはさらに混乱する。
「さっきのキスは、しそびれた『ただいま』のキスだよ」
「・・・・・」
「・・・俺は、エルザが料理できない事なんて、全然気にしてない。ただ、エルザが笑ってくれるだけで・・俺は幸せだ」
「ジェラール・・・」
「俺たちは折角同居してるんだろ?だったら、2人で助け合えば良いじゃないか。何も1人で抱え込む事なんてない。エルザはいつも、1人で頑張りすぎなんだよ」
大好きな彼女を抱きしめると、エルザはぼそっと呟いた。
「私も、お前と同じく・・今が一番幸せだ」
身体を引き離し、2人は顔を見合わせて笑った。
「じゃあ、料理・・作り直そうか。俺も手伝う」
「ありがとう。・・・お前も、バイトの事で何か悩んでいたら、何でも言ってくれ」
2つの影が、台所に並んだ。
貴方を、ずっとずっと愛してる。
だから自分も、愛されているんだ。
1LDKの、小さな部屋で。
2人暮らし、はじめました。
「し、しまった!!今度は焼いていたパンが爆発した!」
「・・・・根本的な問題は、その買ってきた材料じゃないか?」
終わり
↓近況等は、追記にて
お久しぶりになってしまいました。
今回はどうしてもこの話が書きたくて、本当ならオリジナル長編を進めるはずが、二次小説の短編を書いてしまいました・・・。
もしオリジナルの方を見たかったという方がいらっしゃいましたら・・ごめんなさい。
VOCALOIDに詳しい方は分かるかもしれませんが、この話はタイトルに文字ってある通り、「1LDK」という楽曲が元ネタです。
話の始まり方が似ていたり、曲中の歌詞に似た言葉が入っていたりします。
本当は百合曲なんですが、どうしてもジェラエルで書きたくなったので。
久々に上手くまとめられた気がします。
書いていて、すごく楽しかったです^^
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一度教会に入ったものの、する事がなかったルーシィは、また墓地へ引き返す事にした。
墓地へ、しかも雨の中向かうとはルーシィも物好きだな、とエルザにからかわれてしまった。
自分だって、好き好んで墓へ行く訳じゃない。
ただ、気になったのだ。
あの時聞こえた声と、幽霊・・そして。記憶の断片が。
先程の墓石へ向かう途中、地面に何かが落ちている事に気づいた。
紙・・本のページの切れ端のようだ。
拾い上げてみると、雨が降っているというのに紙は濡れておらず、新品の本のように真っ白で綺麗だった。
ルーシィは、上段に記された文字を読んでみる。
「『Floriography』?」
何かの本のタイトルだろうか。
だとすると、これは小説の一部?
「小説!」
土砂降りの中で、ルーシィの顔にぱっと華が咲いた。
早速読んでみようとした時、紙は彼女の手を離れてしまった。
そのまま、ふわりふわりと遊ぶように空へ上っていく。
「か、紙が勝手に動いてる!!ていうか、ちょっと待ってー!」
切れ端を目で追いながら、ルーシィは走り出す。
すると、空の違和感に気付き、彼女の足が止まった。
よく目を凝らしてみると、墓地中で同じような現象が起こっていた。
無数の青い星屑の如く、宙へ舞い上がっていく頁。
やがてそれらは1つになり、ルーシィの真上から本となって降りてきた。
本の表紙には、やはり『Floriography』と記されている。
躊躇わずその表紙を開くと、今度は本全体が白く輝き出した。
同時に、周りの景色が歪んでいく。
自分の身体全体に、様々な感情が押し寄せてきた。
著者が自ら、何か訴えてくるように。
敵の罠ではないかとは、微塵も思わなかった。
だって、悪魔が仕掛けた罠だとしたら。
こんなに、優しい感情は流れてこない。
あるところに、ひとりの女の子がいました。
女の子は、小さなやしきでひとり、さびしくはたらいていました。
その日もまた、雨がふっていました。
「今まで、お世話になりました・・・」
まだ幼さが残った声で、小さな少女が大男に向かって告げた。
二度と来るな、と言いたげな目で少女を睨むと、男は乱暴に扉を閉めた。
地味だが、高価そうな飾りがついた扉。
庶民が暮らす家の3倍はある、大きな屋敷。
よく手入れのされた美しい庭。
つい先程まで、少女が働いていた屋敷だった。
働いていたと言っても、ただの雑用に過ぎなかったが。
その雑用さえもこなせなかった自分は、こうしてまた捨てられた。
こんな事は1度や2度ではなかった。
もう、すっかり慣れてしまった。
自分はやっぱりいらない人間なのだと、屋敷の扉に向かって溜め息をついた。
「お前、また『ポイ捨て』されてきたのかよ」
少女が元いた孤児院に戻るなり、同年代の少年に馬鹿にされた。
リーダー格の少年の取り巻きも、一緒になって少女を罵倒する。
「雑用もこなせないとか」
「お前何なの?人間以下じゃん」
「この孤児院じゃ、働かなきゃ生きていけないのになぁ」
少女を引き取った孤児院は、財政難で資金も無い為、その孤児が屋敷や農家等で働かなければならなかった。
つまる所、この孤児院はただの仲介所だ。
少年たちの言う通り、仕事が無くなればまた『捨てられる』だけ。
孤児を守る筈の孤児院に、無能な孤児が捨てられる。
「そういえば、さっき院長がお前のこと呼んでたぞ」
「あ、もしかして出て行ってくれんの?」
「出て行くならさっさと出て行ってくれねぇ?お前がいると、ここが湿気くさくなるんだけど」
「出てけ、雨女ー」
「でーてけっ、でーてーけっ」
罵倒の言葉を浴びせられながら、少女は院長室へ向かった。
彼女の瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。
「失礼します・・・」
「やっと来たか、ジュビア・ロクサー」
院長が呆れたように溜め息を漏らす。
続けて、院長は隣の女性を指差した。
「お前の新しい雇い主だ」
顔を上げると、確かに女性は貴族らしい格好をしていた。
優しく、強そうな笑顔で、少女・・ジュビアを見ている。
「ジュビアって言うの?よろしく」
女性が、手を差し出してくる。
ジュビアは驚きで目を丸くしながらも、片方の手で握手した。
依頼主が握手を求めてくるなんて、今まで一度も無かった。
「しかし、本当によろしいのですか?ジュビア・ロクサーは、雨女な上に雑用さえこなせず・・」
「大した問題じゃない。・・・それにこいつが、この子がいいって聞かなくてね」
彼女の言葉を待っていたかのように、1人の少年がひょこっと顔を出した。
黒髪の、ジュビアと同じくらいの年の少年だった。
「悪いかよ!」
「誰も悪いなんて言ってないだろ」
反発した少年を、女性は軽く殴りつける。
・・・かなり男勝りな女性のようだ。
「・・・・こほん。とにかく、そういう事でよろしいですね?」
「あ、はい。・・・ジュビア・ロクサー」
院長が手招きをして、少女にそっと耳打ちをした。
「これで失敗したら、後はないぞ」
分かりきっていた事なので、ジュビアは特に動揺しなかった。
ただ、これが自分の最後の仕事になるんだな、としみじみ思った。
3人はそろって院長室を出た。
「よろしくお願いいたします」
「よろしくな!」
静かに依頼主に向かって礼をすると、先に少年が前に出てきて、親しげに挨拶をしてきた。
「お前じゃねぇよ」
「いってぇ。子供を殴んな、この男女!」
低レベルな喧嘩を呆然と見守っていると、女性が少年を強引に引っ張った。
「ああ、いきなりびっくりさせちゃってごめん。私の名前はウル。で、こっちが私の養子の、グレイだ」
むすっとした表情で引きずられるグレイを見て、ジュビアは微笑んだ。
可愛い。
「じゃあ、一通り自己紹介も終わった事だし、さっさと帰るよ」
「あ、はい。ご主人様」
返事をすると、ウルは何故か不機嫌になった。
意味が分からず、ジュビアは小さく首を傾げた。
「・・・そのご主人様ってのやめてくれない?普通にさ、ウルって呼んでいいよ。名前で」
「で、では、ウル様」
「うん、まぁそんな感じかな」
ウルが満足そうに頷いたので、ジュビアはほっとした。
この貴族らしからぬ貴族の元でなら、上手くやっていけそうだと思った。
続く
↓話の説明などは、追記から
墓地へ、しかも雨の中向かうとはルーシィも物好きだな、とエルザにからかわれてしまった。
自分だって、好き好んで墓へ行く訳じゃない。
ただ、気になったのだ。
あの時聞こえた声と、幽霊・・そして。記憶の断片が。
先程の墓石へ向かう途中、地面に何かが落ちている事に気づいた。
紙・・本のページの切れ端のようだ。
拾い上げてみると、雨が降っているというのに紙は濡れておらず、新品の本のように真っ白で綺麗だった。
ルーシィは、上段に記された文字を読んでみる。
「『Floriography』?」
何かの本のタイトルだろうか。
だとすると、これは小説の一部?
「小説!」
土砂降りの中で、ルーシィの顔にぱっと華が咲いた。
早速読んでみようとした時、紙は彼女の手を離れてしまった。
そのまま、ふわりふわりと遊ぶように空へ上っていく。
「か、紙が勝手に動いてる!!ていうか、ちょっと待ってー!」
切れ端を目で追いながら、ルーシィは走り出す。
すると、空の違和感に気付き、彼女の足が止まった。
よく目を凝らしてみると、墓地中で同じような現象が起こっていた。
無数の青い星屑の如く、宙へ舞い上がっていく頁。
やがてそれらは1つになり、ルーシィの真上から本となって降りてきた。
本の表紙には、やはり『Floriography』と記されている。
躊躇わずその表紙を開くと、今度は本全体が白く輝き出した。
同時に、周りの景色が歪んでいく。
自分の身体全体に、様々な感情が押し寄せてきた。
著者が自ら、何か訴えてくるように。
敵の罠ではないかとは、微塵も思わなかった。
だって、悪魔が仕掛けた罠だとしたら。
こんなに、優しい感情は流れてこない。
あるところに、ひとりの女の子がいました。
女の子は、小さなやしきでひとり、さびしくはたらいていました。
その日もまた、雨がふっていました。
「今まで、お世話になりました・・・」
まだ幼さが残った声で、小さな少女が大男に向かって告げた。
二度と来るな、と言いたげな目で少女を睨むと、男は乱暴に扉を閉めた。
地味だが、高価そうな飾りがついた扉。
庶民が暮らす家の3倍はある、大きな屋敷。
よく手入れのされた美しい庭。
つい先程まで、少女が働いていた屋敷だった。
働いていたと言っても、ただの雑用に過ぎなかったが。
その雑用さえもこなせなかった自分は、こうしてまた捨てられた。
こんな事は1度や2度ではなかった。
もう、すっかり慣れてしまった。
自分はやっぱりいらない人間なのだと、屋敷の扉に向かって溜め息をついた。
「お前、また『ポイ捨て』されてきたのかよ」
少女が元いた孤児院に戻るなり、同年代の少年に馬鹿にされた。
リーダー格の少年の取り巻きも、一緒になって少女を罵倒する。
「雑用もこなせないとか」
「お前何なの?人間以下じゃん」
「この孤児院じゃ、働かなきゃ生きていけないのになぁ」
少女を引き取った孤児院は、財政難で資金も無い為、その孤児が屋敷や農家等で働かなければならなかった。
つまる所、この孤児院はただの仲介所だ。
少年たちの言う通り、仕事が無くなればまた『捨てられる』だけ。
孤児を守る筈の孤児院に、無能な孤児が捨てられる。
「そういえば、さっき院長がお前のこと呼んでたぞ」
「あ、もしかして出て行ってくれんの?」
「出て行くならさっさと出て行ってくれねぇ?お前がいると、ここが湿気くさくなるんだけど」
「出てけ、雨女ー」
「でーてけっ、でーてーけっ」
罵倒の言葉を浴びせられながら、少女は院長室へ向かった。
彼女の瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。
「失礼します・・・」
「やっと来たか、ジュビア・ロクサー」
院長が呆れたように溜め息を漏らす。
続けて、院長は隣の女性を指差した。
「お前の新しい雇い主だ」
顔を上げると、確かに女性は貴族らしい格好をしていた。
優しく、強そうな笑顔で、少女・・ジュビアを見ている。
「ジュビアって言うの?よろしく」
女性が、手を差し出してくる。
ジュビアは驚きで目を丸くしながらも、片方の手で握手した。
依頼主が握手を求めてくるなんて、今まで一度も無かった。
「しかし、本当によろしいのですか?ジュビア・ロクサーは、雨女な上に雑用さえこなせず・・」
「大した問題じゃない。・・・それにこいつが、この子がいいって聞かなくてね」
彼女の言葉を待っていたかのように、1人の少年がひょこっと顔を出した。
黒髪の、ジュビアと同じくらいの年の少年だった。
「悪いかよ!」
「誰も悪いなんて言ってないだろ」
反発した少年を、女性は軽く殴りつける。
・・・かなり男勝りな女性のようだ。
「・・・・こほん。とにかく、そういう事でよろしいですね?」
「あ、はい。・・・ジュビア・ロクサー」
院長が手招きをして、少女にそっと耳打ちをした。
「これで失敗したら、後はないぞ」
分かりきっていた事なので、ジュビアは特に動揺しなかった。
ただ、これが自分の最後の仕事になるんだな、としみじみ思った。
3人はそろって院長室を出た。
「よろしくお願いいたします」
「よろしくな!」
静かに依頼主に向かって礼をすると、先に少年が前に出てきて、親しげに挨拶をしてきた。
「お前じゃねぇよ」
「いってぇ。子供を殴んな、この男女!」
低レベルな喧嘩を呆然と見守っていると、女性が少年を強引に引っ張った。
「ああ、いきなりびっくりさせちゃってごめん。私の名前はウル。で、こっちが私の養子の、グレイだ」
むすっとした表情で引きずられるグレイを見て、ジュビアは微笑んだ。
可愛い。
「じゃあ、一通り自己紹介も終わった事だし、さっさと帰るよ」
「あ、はい。ご主人様」
返事をすると、ウルは何故か不機嫌になった。
意味が分からず、ジュビアは小さく首を傾げた。
「・・・そのご主人様ってのやめてくれない?普通にさ、ウルって呼んでいいよ。名前で」
「で、では、ウル様」
「うん、まぁそんな感じかな」
ウルが満足そうに頷いたので、ジュビアはほっとした。
この貴族らしからぬ貴族の元でなら、上手くやっていけそうだと思った。
続く
↓話の説明などは、追記から
まだグレジュビ要素はないです。
3話からが本番だと思います。
幼少グレジュビむふふh(ry
現在、絶賛スランプ状態な為、ただでさえ意味の分からない話が、もっとひどい事になっています。
質問や誤字・脱字訂正、罵倒も喜んで受け付けます。
アドバイスくださると嬉しいです。
追記を閉じる▲
枯れ果て干からびた倒木の山に埋もれるように、その古井戸は立っていた。
辺りには森らしきものは見当たらない。
まず、エアルが先に井戸の蓋に手を掛けたが、蓋の木が腐っていて上手く開かない。
そこで、次にオリオンが蓋を思い切り引っ張る。
がこ、という音がして、井戸の底が見えた。
オリオンは井戸に頭を突っ込んで、中の様子を探る。
井守らしき動物がオリオンの目の前の壁を這っていたので、彼は無言でそれを掴み、外に放り投げた。
傍にいたエアルが悲鳴を上げて避ける。
弧を描いて飛んでいった井守は、ちょうどバズの顔に張り付いてしまった。
「・・・・・・」
「今日はついてないね、バズ」
「本当ですよ」
バズは怒気を押し殺し、顔に張り付いたままの井守を横に放った。
「エアル」
井戸の深さと様子を調べていたオリオンが、不意に顔を上げた。
「深さはそれほどないが、中腰になれば歩く事は出来るだろう。敵もいなさそうだし、1人1人確実に、急いで中へ入ろう」
「分かった」
彼の言葉に頷き、エアルは無言で部下や『風』の剣士たちを誘導した。
敵に居場所が見つかる前に、急いで行動しなければならない。
薄暗い井戸に入ると、中は地下道になっていた。
意外と高さはあるようだ。
この井戸は元々、飲料水を流す為でなく、何かの脱出用経路として使っていたのかもしれない。
証拠に、水を流していた形跡が全く無い・・のだと、ウェンは言った。
エアルを始め、白騎士にはさっぱり分からない。
どのくらい歩いただろうか。
かなり長い地下道を抜けると、久しぶりに光が差し込んできた。
無事、地下道を出たようだ。
地図に記してあった通り、地下道は森の近くへと繋がっていた。
先程の入り口には腐った倒木しか無かったのに、不思議だ。
「では、ここから二手に分かれよう」
作戦通り、エアルのグループと一部の『風』の剣士たちは、古井戸の真ん前にある裏門から潜入する。
そして、オリオンのグループと残りの『風』の剣士たちは、遠回りして森から・・・。
「エアル、無理はするなよ。部署長になったとはいえ、実践はこれが初めてなんだからな」
エアルを案じたオリオンが、優しく微笑みかけてくる。
彼の温かい気持ちに、エアルの顔にも自然と笑みが零れた。
「うん。オリオンこそ、気をつけてね」
そう声を掛けると、オリオンは無言で笑って、身を翻し森へ向かっていった。
彼を見届け、エアルは密かに拳を握る。
(今は私が、このグループの・・部隊の長。私が、しっかりしないと駄目なんだ)
「じゃあ、皆・・行こう」
エアルたちも、裏門へ足を進めた。
森に入ると、ルーヴは異様な気配を察した。
殺気。
間違いなく、この森に敵がいる。
オリオンも同じ事を考えたらしく、彼の剣を握る手に力がこもっていた。
がさがさっ。
前方の茂みが揺れて、その場にいた全員が剣を構えた。
「何だ、こいつら」
「白騎士じゃねぇか?」
何人かの『炎』の剣士たちが、ぞろぞろと茂みから出てきた。
白騎士や『風』の剣士たちは、彼らから視線を外す事なく、ただ無言で睨む。
そしてもう1人、敵の近くに人影が現れた。
「!?」
「木の上!?」
白騎士たちの中にどよめきが起こる。
人影は、木の枝から大胆に飛び降り、見事に地面に着地した。
木の葉がひらひらと宙を舞い、砂は敵を包み隠すように地を這う。
オリオンたちの前で、炎のような真紅の髪が揺れる。
立ち塞がったのは、1人の逞しい少年だった。
続く
↓今回の話の説明などは、追記にて
辺りには森らしきものは見当たらない。
まず、エアルが先に井戸の蓋に手を掛けたが、蓋の木が腐っていて上手く開かない。
そこで、次にオリオンが蓋を思い切り引っ張る。
がこ、という音がして、井戸の底が見えた。
オリオンは井戸に頭を突っ込んで、中の様子を探る。
井守らしき動物がオリオンの目の前の壁を這っていたので、彼は無言でそれを掴み、外に放り投げた。
傍にいたエアルが悲鳴を上げて避ける。
弧を描いて飛んでいった井守は、ちょうどバズの顔に張り付いてしまった。
「・・・・・・」
「今日はついてないね、バズ」
「本当ですよ」
バズは怒気を押し殺し、顔に張り付いたままの井守を横に放った。
「エアル」
井戸の深さと様子を調べていたオリオンが、不意に顔を上げた。
「深さはそれほどないが、中腰になれば歩く事は出来るだろう。敵もいなさそうだし、1人1人確実に、急いで中へ入ろう」
「分かった」
彼の言葉に頷き、エアルは無言で部下や『風』の剣士たちを誘導した。
敵に居場所が見つかる前に、急いで行動しなければならない。
薄暗い井戸に入ると、中は地下道になっていた。
意外と高さはあるようだ。
この井戸は元々、飲料水を流す為でなく、何かの脱出用経路として使っていたのかもしれない。
証拠に、水を流していた形跡が全く無い・・のだと、ウェンは言った。
エアルを始め、白騎士にはさっぱり分からない。
どのくらい歩いただろうか。
かなり長い地下道を抜けると、久しぶりに光が差し込んできた。
無事、地下道を出たようだ。
地図に記してあった通り、地下道は森の近くへと繋がっていた。
先程の入り口には腐った倒木しか無かったのに、不思議だ。
「では、ここから二手に分かれよう」
作戦通り、エアルのグループと一部の『風』の剣士たちは、古井戸の真ん前にある裏門から潜入する。
そして、オリオンのグループと残りの『風』の剣士たちは、遠回りして森から・・・。
「エアル、無理はするなよ。部署長になったとはいえ、実践はこれが初めてなんだからな」
エアルを案じたオリオンが、優しく微笑みかけてくる。
彼の温かい気持ちに、エアルの顔にも自然と笑みが零れた。
「うん。オリオンこそ、気をつけてね」
そう声を掛けると、オリオンは無言で笑って、身を翻し森へ向かっていった。
彼を見届け、エアルは密かに拳を握る。
(今は私が、このグループの・・部隊の長。私が、しっかりしないと駄目なんだ)
「じゃあ、皆・・行こう」
エアルたちも、裏門へ足を進めた。
森に入ると、ルーヴは異様な気配を察した。
殺気。
間違いなく、この森に敵がいる。
オリオンも同じ事を考えたらしく、彼の剣を握る手に力がこもっていた。
がさがさっ。
前方の茂みが揺れて、その場にいた全員が剣を構えた。
「何だ、こいつら」
「白騎士じゃねぇか?」
何人かの『炎』の剣士たちが、ぞろぞろと茂みから出てきた。
白騎士や『風』の剣士たちは、彼らから視線を外す事なく、ただ無言で睨む。
そしてもう1人、敵の近くに人影が現れた。
「!?」
「木の上!?」
白騎士たちの中にどよめきが起こる。
人影は、木の枝から大胆に飛び降り、見事に地面に着地した。
木の葉がひらひらと宙を舞い、砂は敵を包み隠すように地を這う。
オリオンたちの前で、炎のような真紅の髪が揺れる。
立ち塞がったのは、1人の逞しい少年だった。
続く
↓今回の話の説明などは、追記にて
ほとんど話が進んでないに等しいです。
ごめんなさい。
次回では、オリオンたちと『炎』の剣士の戦いになります。
彼らの戦闘を1話でばばっとやっちゃいたかったので、今回はその予告のような感じになりました。
ついでに言うと、敵の意外な秘密も明かされるようです。予定です。
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No title
LandM 緊張感が伝わってきますね。
戦いっていうのは極度の緊張を産みますからね。
そのあたりの印象がすごい伝わってきます。
騎士ってカッコいいですね。・・・と何気に思っております。
Re: No title
mimi346 コメントありがとうございます!
ちゃんと伝わっていたようで嬉しいです^^
自分の拙い文章では、情景やら何やら伝わっていないかな、と思っていたので・・!
私も騎士がかっこよくて大好きです。
その割には、本編ではあまりかっこよくない気もしますが。。
精進します。すみません。
魔法ばかり重視するのではなく、もっと『騎士』としての一面を見せる事が出来たらなぁ、と思います・・・。
LandM 緊張感が伝わってきますね。
戦いっていうのは極度の緊張を産みますからね。
そのあたりの印象がすごい伝わってきます。
騎士ってカッコいいですね。・・・と何気に思っております。
Re: No title
mimi346 コメントありがとうございます!
ちゃんと伝わっていたようで嬉しいです^^
自分の拙い文章では、情景やら何やら伝わっていないかな、と思っていたので・・!
私も騎士がかっこよくて大好きです。
その割には、本編ではあまりかっこよくない気もしますが。。
精進します。すみません。
魔法ばかり重視するのではなく、もっと『騎士』としての一面を見せる事が出来たらなぁ、と思います・・・。